不妊治療

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子宮後屈とは?不妊との関わりや治療の必要性について解説

子宮後屈とは?不妊との関わりや治療の必要性について解説

婦人科健診や不妊治療前のスクリーニング検査で「子宮後屈」と指摘され、不安を覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
子宮後屈とは、子宮が骨盤の中で背中側に傾いている状態のことです。病気ではなく、多くの場合は生まれつきのものといわれています。

この記事では、子宮前屈と子宮後屈の違いや不妊との関わり、治療の必要性について詳しく解説します。子宮後屈について気になっている方は、ぜひ参考にしてください。

子宮後屈は病気ではなく、不妊との関わりも認められていない

子宮は可動性が高い臓器で、ほかの臓器のあいだで靭帯によって骨盤にぶら下がっているような状態で支えられています。前方にある膀胱や、後方にある直腸の充満状態によっても位置が変動するほど、自由に動きます。可動性が高いからこそ、妊娠中の子宮は胎児の成長に合わせて大きさや位置が変動することができるのです。

数十年前までは、子宮後屈が不妊の原因のひとつであるといわれていましたが、現在では不妊の原因になることはないとされています。
ただし、ほかの要因と組み合わさった場合、不妊のリスクが増加する可能性はあるため、ほかの症状はないかをしっかりと見極めることが必要です。

子宮前屈と子宮後屈の違い

子宮は、子宮頸部と子宮体部の境目で折れ曲がっていますが、前(おなか側)と後ろ(背中側)のどちらかに傾いています。子宮体部が前に傾いているのが子宮前屈、後ろに鋭角に傾いているのが子宮後屈です。

骨盤の中で前方(おなか側)に傾いている「子宮前屈」が、子宮の通常の状態といわれています。しかし、まれに背中側に傾いている場合があり、この状態を「子宮後屈」といいます。子宮前屈は女性のうち約8割、子宮後屈は約2割で、先天的にそのような形状で生まれることがほとんどで、病気ではありません。

子宮前屈か子宮後屈かは、婦人科健診や不妊治療前のスクリーニング検査での経腟超音波検査ですぐにわかります。いずれにせよ、特に症状がない限り、健康上の問題はありません。

子宮後屈の症状

子宮後屈は病気ではないので、症状がないことがほとんどです。しかし、子宮頸部と子宮体部の境目で折れ曲がる角度が鋭いため、下記のような症状が現れることもあります。

便秘や下痢・排尿障害

子宮は前方に膀胱、後方に直腸があるため、後屈の角度が強い場合、腸や膀胱の出口を圧迫することで便秘がちになったり、排尿障害が生じたりする可能性があります。

月経困難症・腰痛

子宮後屈の場合、月経の際に経血がスムーズに排出されにくくなるため、骨盤内の血管を圧迫したりし、月経痛や腰痛につながることがあります。

性交痛

性交痛とは、主に女性側が性交渉時やその前後に感じる痛みや不快感のことです。子宮後屈の場合、下腹部の深い部位に痛みが出ることがあり、工夫が必要です。

後天性子宮後屈で治療が必要となる場合

子宮後屈は、症状がないようであれば治療は必要ありません。また、不妊の原因でもないので、不妊治療の際に指摘があっても、特別な対応があるわけでもありません。

ただし、後天的な疾患が原因で子宮後屈になっている場合、治療を要することもあるので注意が必要です。例えば、別の疾患が原因で骨盤内のほかの臓器とのあいだに癒着が起き、後ろに引っ張られる形で子宮後屈になっているケースは「癒着性子宮後屈」と呼ばれ、その疾患が不妊の原因である場合もあります。

子宮後屈と診断されても安心せず、その裏側に別の疾患が隠されていないか、またその疾患が原因で不妊になっていないかを適切に診断してもらうことが重要です。
ここでは、癒着性子宮後屈の原因となる病気とその治療法を見ていきましょう。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮内膜が子宮外に発生する病気であり、痛みや不妊の原因となります。特にダグラス窩と呼ばれる骨盤の後方部分に発生することが多く、病状が進むとダグラス窩や周辺の臓器と癒着を起こし、子宮後屈を引き起こします。
子宮内膜症は不妊の原因となるため、薬物治療や腹腔鏡手術、重度の場合は開腹手術を行い、内膜症病変の除去を行います。内膜症病変を除去することで、子宮後屈も改善することが可能です。

骨盤内炎症性疾患

骨盤内炎症性疾患とは、子宮・卵管・卵巣に生じる複数の感染症のことです。性交渉時にクラミジアや淋菌などに感染することが原因で、下腹部痛や発熱、おりものの増加、不正出血などの症状を引き起こし、不妊のリスクもあります。
ひどくなると腫瘍ができ、周囲の臓器と癒着が起き、子宮後屈につながります。治療は抗生物質の投与が一般的です。広がった炎症が治まり、癒着を改善することができれば、子宮も正常な位置に戻ることがあります。

子宮筋腫・卵巣嚢腫

子宮筋腫は子宮の筋肉層にできる腫瘍で、卵巣嚢種は卵巣に発生する液体が溜まった腫瘍です。いずれも良性の腫瘍ですが、できる場所や大きさによっては子宮の位置に影響を与え、子宮が後ろに傾いて子宮後屈が生じることがあります。
子宮筋腫や卵巣嚢腫が大きくなったり、周囲の臓器と癒着したりすると、子宮や卵管内のスペースを圧迫し、不妊の原因となるため注意が必要です。子宮筋腫や卵巣嚢腫の治療は、薬物療法や腹腔鏡手術が一般的で、不妊治療の一環として行われます。治療が完了すれば、子宮の位置も正常に戻ることがあります。

子宮後屈の方におすすめされるうつ伏せ寝とは?

先天性の子宮後屈は前述のとおり、不妊や流産との関連はないと考えられています。とはいえ、物理的に子宮頸部と子宮体部が鋭角に曲がっているため、妊娠を望む方の中には、性交渉後に精子がスムーズに子宮内に進めるかどうか、心配な方もいらっしゃるかもしれません。このような場合、うつぶせ寝が推奨されることがあります。

子宮後屈の方は性交渉後、10~15分程度うつ伏せに寝ることで、精液が子宮口により近づくとされています。これにより、精子が子宮内に入って進みやすくなるため、妊娠の可能性を高めることが可能です。子宮後屈の女性にとって、うつぶせ寝は妊娠しやすくするためのひとつの工夫と考えてください。

子宮後屈など妊活中の心配がある方は、
にしたんARTクリニックへご相談ください

子宮後屈は2割の女性に見られるもので、病気ではなく、不妊の原因でもありません。婦人科健診や不妊治療前のスクリーニング検査で指摘されても、心配しすぎないようにしてください。ただし、子宮後屈の原因がほかの疾患が原因の場合は、その疾患が不妊の原因になることもあるため、ほかに症状はないか、しっかりと検査することをおすすめします。

子宮後屈など、妊活中や不妊治療中で心配やお悩みがある方は、一度にしたんARTクリニックへご相談ください。すべての院で無料のカウンセリングを実施し、患者さま一人ひとりに寄り添った治療を行っています。

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