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不妊治療では保険適用以外にも、高額療養費制度や民間の医療保険を利用することもできます。保険適用と組み合わせることで、さらなる医療費の負担軽減が期待できるでしょう。下記で詳しくご説明します。
高額療養費制度とは、保険適用の治療において1ヵ月の医療費が高額になったときに、本人の自己負担限度額を超えた額が公的医療保険(健保や国保)から払い戻される制度です。
高額療養費制度を利用するには、下記の2つの方法があります。
医療機関ですべての治療費をいったん支払い、後日加入している公的医療保険に申請して、払い戻しを受ける。
あらかじめ公的医療保険に「限度額適用認定申請書」を提出して「限度額適用認定証」を入手し、医療機関受診時に提示する。
高額療養費制度の1ヵ月あたりの自己負担限度額は所得や年齢によって決まり、70歳未満の場合はこちらの表のとおりです。
※厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
所得水準 | 1ヵ月あたりの自己負担限度額 |
---|---|
年収約1,160万円~ | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
年収約770万~約1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
年収約370万~約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
~年収約370万円 | 57,600円 |
住民税非課税者 | 35,400円 |
2022年4月から保険適用になった人工授精(AIH)や体外受精(IVF/ふりかけ法)、顕微授精(ICSI)を行うときも、高額療養費制度を利用することが可能です。その際、主に医療機関を受診する女性の年収で自己負担限度額が決定されます。
例えば、1ヵ月の治療費が保険適用後に100,000円になった場合、女性の年収が370万円未満であれば100,000-57,600円=42,400円が後日払い戻されます。支給までの目安は3ヵ月程です。
また、高額療養費制度には、直近12ヵ月間に3回以上、高額療養費制度の対象になった場合、4回目からさらに自己負担限度額が軽減される「多数回該当」制度もあります。
なお、高額療養費制度では、自費診療のみの治療や、保険診療と併用できる先進医療を対象としていないので注意が必要です。
不妊治療の保険適用に伴い、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)は「手術」に分類されるようになったため、民間の医療保険の給付金も活用できるようになりました。自費診療である先進医療にも対応している医療保険もあります。
厳密には、不妊治療に特化した保険商品は存在せず、現在販売されている医療保険は病気やケガに備える一般的な医療保険+不妊治療の保障(特約)が主流です。
具体的な給付条件や給付回数上限は保険会社によって異なります。体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)で、採卵または胚移植を行った際に給付金を受け取れる医療保険がほとんどですが、中には男性の不妊治療も支払い対象としている商品もあります。
ただし、不妊治療への保障が開始されるのは保険契約から2年後など、契約後一定期間の治療は保証対象外という保険商品も多いので、事前にしっかりと免責期間を確認しておきましょう。なお、給付金を受け取れるのは、治療費のすべての支払いが終了し、保険会社に請求した後なので注意してください。