体外受精

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体外受精(IVF)の胚移植は毎月できる?頻度と妊娠率を解説

体外受精(IVF)の胚移植は毎月できる?頻度と妊娠率を解説

体外受精(IVF/ふりかけ法)は、一般不妊治療で成果が得られない場合に有効な不妊治療法です。2022年から不妊治療が保険適用となり、これまで費用面がネックになって治療を始められずにいた方も治療に挑戦しやすくなりました。

体外受精で妊娠に至る確率には個人差があり、年齢によっても結果が異なりますが、可能な限りトライしたいと考える方も多いでしょう。

この記事では、体外受精の胚移植が毎月できるのか、現実的な頻度や妊娠率について解説します。

体外受精(IVF)とは、採卵した卵子に精子をふりかけ、
受精を促す不妊治療のこと

体外受精とは、採取した卵子に精子をふりかけ、体外で受精を促す不妊治療の方法です。体外受精で無事に受精した場合、得られた胚(受精卵)を培養器に入れて培養した後、子宮に移植して妊娠の成立を待ちます。また、複数個の卵子が受精に成功した場合は、胚を凍結保存し次回以降の周期に胚移植することが可能です。

体外受精の大まかな流れ

体外受精は、顕微授精(ICSI/イクシー)とともに生殖補助医療(ART)に分類され、タイミング法(タイミング指導)や人工授精(AIH)などの一般不妊治療で妊娠に至らない場合に適応となります。

自然妊娠や一般不妊治療では、卵子・精子共にある程度質が良く、妊娠する能力があることを大前提としており、卵管や卵巣、子宮も健康な状態でなければ、妊娠は難しいとされています。
一方、体外で受精を促す体外受精では、精子の数や運動率が不十分だったり、卵管に癒着や閉塞があったりして受精が成立しにくいケースでも妊娠できる可能性が高くなるのです。

公益社団法人日本産科婦人科学会によれば、2022年に生殖補助医療で生まれた赤ちゃんは過去最多の7万7,206人に上ります。厚生労働省の統計では、2022年の総出生数は約77万人だったことから、全出生児の10人に1人が生殖補助医療で生まれたことになります。
2022年から保険適用の範囲が拡大し、不妊治療にチャレンジするハードルが下がったことで、今後はさらに生殖補助医療での妊娠・出産が増えていくことが予想されます。

体外受精(IVF)について詳しくは、こちらのページをご覧ください。
体外受精(IVF)について

体外受精(IVF)の胚移植は毎月してもいい?

にしたんARTクリニックでは、月経3日目頃の子宮内膜の厚み・ホルモン値が正常である場合は、患者さまの予定や採卵後の卵巣の腫れなどの状態などを鑑みて、採卵をした次の周期に胚移植を行ったり、連続した周期に胚移植を行ったりする場合があります。

胚移植は、月経周期に合わせて行います。子宮内膜が着床しやすい状態になっていれば、同じ周期内に採卵した新鮮胚を移植することも可能です。もし、採卵と別の周期で胚移植を行う場合は、胚を凍結保存し、自然周期あるいはホルモン剤で子宮内膜の状態を整えた上で、胚移植の日程を決めるホルモン補充周期のいずれかで胚移植を行います。なお、この際に凍結した胚のことを凍結胚といいます。

にしたんARTクリニックでは、患者さまの体の状態が正常かつ、連続での胚移植を希望される場合は、毎月胚移植を行うことは可能です。ただし、体外受精が保険適用になったものの、回数が増えれば金銭的な負担が増えることも視野に入れて考える必要があります。

体外受精(IVF)の胚移植は何回行うのがいい?

通常、体外受精は3~4回を目途に顕微授精にステップアップするのが一般的です。体外受精を5回以上挑戦しても妊娠に至らない場合は、卵子や精子の質、あるいは子宮の機能などに何らかの問題があることも考えられます。より有効な治療を早めに開始するためにも、医師と相談の上でステップアップを検討することをおすすめします。

胚移植の種類で妊娠率は変わる?

移植する胚は、新鮮初期胚・新鮮胚盤胞・凍結初期胚・凍結胚盤胞の4種類があり、どの胚を移植するかによって妊娠率が変わります。

初期胚(分割期胚)とは受精後2~3日目の胚で、胚盤胞は受精後5~6日目の胚です。また、採卵周期に胚移植をすることを新鮮胚移植と呼び、胚を一度凍結保存して子宮の状態を整えてから胚移植をすることを凍結融解胚移植と呼びます。それぞれを組み合わせて胚移植には4つの種類があります。

胚の培養過程

一般的に、初期胚の状態で移植するよりも、胚盤胞まで培養してから移植したほうが着床率は高くなるといわれています。ただし、胚の成長は卵子と精子の質によるため、すべての胚が胚盤胞まで成長するとは限りません。そのため、胚盤胞まで成長しないことが予測される場合は、初期胚移植をすることもあります。
なお、移植のタイミングや凍結の可否、優先順位などは、胚培養士が胚の形態からグレードを評価して決定します。

移植する胚の種類ごとの妊娠率は下のグラフのとおりです。

移植ステージ別・年齢別の妊娠率

※出典 公益社団法人日本産科婦人科学会「2021年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績

グラフによると、どの年齢層においても凍結胚盤胞による移植が最も妊娠率が高いことがわかります。また、どの胚を使用しても、年齢が上がるとともに妊娠率が低下することも明らかです。

基本的に、にしたんARTクリニックでは、より妊娠率を高めるために胚盤胞まで育てた上で、胚移植をしています。また、原則として初期胚では凍結を実施していません。

胚盤胞移植について詳しくは、こちらのページをご覧ください。
胚盤胞移植で着床率を上げるには?妊娠の確率を高める方法を解説

凍結融解胚移植の妊娠率が高い理由

一般的には、採卵周期に移植する新鮮胚移植よりも、凍結保存した胚を次回以降の周期に融解して移植する凍結融解胚移植のほうが妊娠率は高いとされています。
これは、採卵直後よりも子宮の収縮が抑えられ、子宮内のホルモン環境が安定していることによるものと考えられます。また、妊娠の可能性が高い胚を選んで凍結できることも、妊娠率向上に貢献しているのです。

新鮮胚移植と凍結融解胚移植の違い

体外受精(IVF)の治療の流れ

ここからは、にしたんARTクリニックで体外受精を行う際の流れを解説します。体外受精を受けようか検討している方は、参考にしてください。

体外受精の治療の流れ

1.スクリーニング検査

体外受精を望むご夫婦(カップル)は、スクリーニング検査を行い、不妊の原因や排卵の状況を探ります。スクリーニング検査は、不妊の原因を探るために行う血液検査や超音波検査、精液検査などのことです。検査で不妊の原因が疾患であることがわかった場合は、疾患の治療を終えてから不妊治療をスタートします。

2.投薬

スクリーニング検査の結果で、体外受精の実施が決まったら、月経周期に合わせて自然排卵を防ぐ薬を投与します。体外受精のために、採卵を行う必要がありますが、採卵前に排卵してしまった場合、採卵することができません。そのため、採卵する周期前の自然排卵を押さえる薬を投与する必要があるのです。

3.卵巣刺激

投薬により自然排卵を押さえたあと、月経3日目を目安に卵巣刺激を行います。卵巣刺激は、成熟した卵子をつくるために大切なプロセスです。卵巣機能・ホルモン値などに応じた卵巣刺激法を医師が判断し、内服薬や点鼻薬のほか、自己注射で卵巣を刺激して卵子を育てます。
また、採卵日の前日には排卵誘発剤を使用します。排卵誘発剤は、卵子の最終的な成熟を促すトリガーの役割を持っているのです。

4.採卵・採精

排卵誘発剤にて排卵を促した翌日に、成熟した卵子が確認できたら、卵巣内の卵胞から成熟した卵子を採取する採卵手術を行います。当日、夫(パートナー)はクリニックの採精室か自宅で採精し、精液の提出が必要です。提出いただいた精液は、胚培養士がお預かりし、洗浄・濃縮して受精に適した状態に調整します。

5.受精

採卵・採精後は、胚培養士が卵子と精子を受精させる受精操作を行います。体外受精では、精子が自力で卵子に侵入する必要があるため、当日の精子の質がとても重要です。

6.胚培養

受精操作で受精が成立した卵子(受精卵)を胚と呼びます。胚を培養器に入れ、胚盤胞になるまで最長で6日間培養します。なお、胚が複数できた場合は、次回の胚移植のためにクリニックにて凍結保存することが可能です。

7.胚移植

無事、胚盤胞まで育ったら医師がカテーテルで子宮に胚を移植します。このとき、採卵周期と同じ場合は新鮮胚を、別周期の場合は凍結胚を移植します。
なお、にしたんARTクリニックでは、胚盤胞に育つ前の初期胚での胚移植は基本的には行っていません。

8.黄体補充

移植後は、胚が着床しやすいよう、黄体補充の投薬を行い、子宮内膜の状態を整えます。黄体補充の薬剤は、貼り薬や内服薬など種類があり、医師が判断して処方します。

9.妊娠確認

妊娠が成立したかどうかは、胚移植から2週間程で確認可能です。クリニックの指定する来院日に合わせて受診しましょう。尿検査や血液検査で妊娠判定を行います。そこから数週間にわたって受診し、超音波検査等で問題がなければ、不妊治療を卒業して産婦人科へ移るのが一般的です。
陰性の場合は原因を探り、次の胚移植、あるいは採卵に向けて準備を進めます。

体外受精の流れについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。
【図解でわかる】初めての体外受精(IVF)|対象の人や流れを詳しく解説

体外受精(IVF)で妊娠できなかったら次のステップへ

体外受精に3~4回程トライしても妊娠が成立しない場合、顕微授精(ICSI)へのステップアップを検討してもいいでしょう。

不妊治療のステップ

通常の体外受精では、採卵した卵子に精子をふりかけて受精を促すのに対し、顕微授精は胚培養士が選んだ状態の良い精子を顕微鏡下で卵子に直接注入します。
顕微授精は理論上、元気な精子が1個でもいれば治療を行うことができるため、精子の数が少なかったり、運動性が低かったりする場合に有効な治療法といえます。また、質の良い精子を直接卵子に注入するため、体外受精よりも受精率が高い点も、顕微授精の強みといえるでしょう。

体外受精(IVF)のスケジュールについては、
にしたんARTクリニックにご相談ください

体外受精の胚移植は、患者さまの体の状態が正常かつ、連続での移植を希望される場合は、胚移植を毎月行うことも可能です。ただし、回数が増えることで経済的な負担も増えるため、医師とよく相談し、無理のないスケジュールで治療することをおすすめします。

体外受精のスケジュールについて詳しく知りたいと考えている方には、まずはカウンセリングでご相談ください。にしたんARTクリニックは、すべての院にカウンセラーが常駐していますので、お気軽にお問い合わせいただけます。

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