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40代の妊娠率は?妊娠が難しいといわれる理由やリスクを解説

40代の妊娠率は?妊娠が難しいといわれる理由やリスクを解説

女性の社会進出や晩婚化が進む昨今では、40代で妊娠・出産する方も増えています。しかし、年齢が高くなるほど、妊娠・出産にリスクが伴うことを知らない方もまだまだ多いようです。

この記事では、40代の妊娠率や40代の妊娠・出産が難しいといわれる理由、母体と胎児に与えるリスクを解説します。

40代の妊娠率は36%程といわれている

40~44歳の女性が、1年間避妊せずに性交渉を行った場合の妊娠率は36%程です。
妊娠率は20~24歳の86%をピークに徐々に低くなり、40~44歳では36%、45~49歳では5%にまで低下します。また、排卵1周期あたりの妊娠率は、25~30歳で25~30%、35歳でも18%とされ、40歳では5%とかなり下がるといわれています。

厚生労働省によると2022年の総出生数770,759人のうち、40~44歳の女性から生まれた子どもの数は46,338人と、全体の6%程と発表されました。このようなことからも、年齢が上がるにつれて、自然妊娠に至る確率は低くなることがわかります。
ただし、妊娠・出産の可能性は年齢の問題だけでなく個人差が大きいものです。40代でもスムーズに妊娠に至る方もいれば、20代でも妊娠が難しい方もいます。

なお、40代の妊娠・出産は、初産婦・経産婦を問わず高齢妊娠・高齢出産といわれることが一般的です。高齢妊娠や高齢出産は母子ともにリスクが高く、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症のリスクや、流産・早産のリスク、胎児の先天異常のリスクなど、妊娠・出産に至ってからもさまざまなリスクが伴います。
近年では、晩婚化や女性の社会進出、不妊治療を含めた医学の進歩により、妊娠・出産のタイミングも自由度が増しており、40代で出産する方も増えていますが、さまざまなリスクを伴うことが多いのも事実です。40代で妊娠・出産を望む場合は、リスクを理解した上で妊活に取り組む必要があるでしょう。

※出典 厚生労働省「母の年齢(5歳階級)・出生順位別にみた出生数」、M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition

40代で妊娠率が低下する理由

40代で妊娠率が低下する主な理由は、加齢による卵巣機能の低下や卵子の減少や老化です。どんなに健康な方でも、35歳頃から卵巣機能は低下し、質の良い卵子が減少したり、排卵の頻度が減ったりするため、妊娠率が大きく下がります。

また、卵子は胎児期に約200万個作られ、それ以降新しく作られることはありません。排卵が始まると年齢とともに減り続け、卵子そのものも老化して質が低下します。このような要因により、40代での妊娠は難しいといわれています。

不妊治療の妊娠率と流産率

※出典 公益社団法人日本産科婦人科学会「2021年体外受精・胚移植等の臨床実施成績」
※出典 公益社団法人日本産科婦人科学会「2021年体外受精・胚移植等の臨床実施成績

また、妊娠が成立した場合でも、40代では妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症のリスクや、流産や死産、難産などのリスクも上がります。上のグラフによると、40歳の妊娠率は30%程なのに対し、流産率は35%程と、流産率のほうがやや上回ることもわかるでしょう。

妊娠初期の流産の原因のほとんどは胎児の染色体異常によるものといわれていますが、染色体異常は卵子の老化によって起こる可能性も高く、年齢が上がるほどに流産率も上がると考えられます。高齢妊娠の場合、胎児に先天異常がある確率も上昇するとされており、染色体異常が原因となる21トリソミー(ダウン症候群)や、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)などのリスクが上がります。

40代で妊娠した場合の母体へのリスク

40代での妊娠は、母体にさまざまなリスクが伴います。定期的に検診を受けることでリスクを減らすことはできますが、中には対処が難しい場合もあるため、事前にしっかりと理解しておきましょう。40代の妊娠に伴う母体へのリスクは次のとおりです。

妊娠高血圧症候群のリスク

40代の妊娠の場合、妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなります。妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降から産後12週までに高血圧がみられる症状のことで、日本産科婦人科学会によると、妊婦の約20人に1人の割合で発症する疾患です。

重症化すると、脳出血やけいれん、胎盤が子宮の壁からはがれる常位胎盤早期剥離、血液が固まりにくくなるHELLP症候群、肺水腫などが発症する場合もあります。また、胎児の発育不全や機能不全につながるケースもあるので、注意が必要です。

妊娠糖尿病のリスク

40代の妊娠は、妊娠糖尿病にかかるリスクも若い方に比べて高くなります。妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見される糖の代謝異常のことで、妊娠糖尿病になると、妊娠高血圧症候群や羊水過多、難産などのリスクが高まります。また胎児にも、巨大児、心臓の肥大、低血糖、多血症など、さまざまなリスクがあるので注意しましょう。

流産・死産のリスク

前述のとおり、40代では流産(妊娠22週未満)のリスクも高くなります。加えて、妊娠22週以降の胎児が亡くなる死産の確率も、年齢とともに上昇します。妊娠満22週以後の死産率は、25~29歳では2.4%ですが、徐々に上昇し、40~44歳では6.2%、45歳以上では8.2%にまで上がるのが実情です。

※出典 内閣府 男女共同参画白書 平成25年版「母の年齢別周産期死亡率(平成23年)
 

早産・難産のリスク

早産とは、妊娠22週0日から36週6日までの出産のことです。高齢出産になると、早産になりやすいことがわかっています。また、お産に時間がかかりすぎる難産も、母体が高齢なほどリスクは高くなります。これは出産の際に赤ちゃんが通る産道や子宮口は年齢とともに硬くなり、お産がスムーズに進みにくくなるためです。前置胎盤や胎盤早期剥離のリスクも年齢とともに高まるため、場合によっては帝王切開になる可能性があります。

妊娠うつ・産後うつのリスク

高齢出産の場合、流産や早産の心配から妊娠うつになったり、産後の回復が思うようにいかないことにより、産後うつになったりするおそれがあります。高齢出産では、妊娠前との環境変化や産後の体力の消耗の激しさなどに戸惑うことも多く、産後うつになりやすいといわれています。さらに、妊婦さんのご両親が高齢である場合も多く、家族の助けを得にくいことも、妊娠うつ・産後うつになりやすい要因のひとつです。

40代で妊娠した場合の胎児へのリスク

高齢出産は、母体だけでなく胎児にもリスクがあります。中でも大きなリスクが、先天異常を持って生まれる可能性が高いことです。
 
前述のとおり、高齢出産では胎児が先天異常を持つ確率が高くなります。染色体異常が原因となる21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)などの疾患のほか、発育不全による低出生体重児が生まれる確率も高いでしょう。先天異常を持つ赤ちゃんは、発育や発達の遅れが出やすく、長期的なサポートが必要になる場合もあります。
 
高齢出産のリスクや注意点については、こちらのページをご覧ください。
高齢出産は何歳から?母体や胎児へのリスクを詳しく解説

40代で妊娠を望むときに準備したほうがいいこと

40代で妊娠を望むのであれば、しっかり準備をして妊活をスタートしましょう。ここでは、40代の妊娠に備えるためのポイントを紹介します。

リスクを理解して妊活を進める

高齢出産となる40代の妊娠は、上記のようにさまざまなリスクを伴うおそれがあります。まずは、どんなリスクがあるのかを理解した上で、妊活を進めることが大切です。

妊娠糖尿病に備えて食生活を整える

高齢妊娠のリスクのひとつである妊娠糖尿病は、食事の見直しで予防することができます。日本産科婦人科学会によると、血糖値を食前100mg/dl未満、食後2時間120mg/dlを目標に管理すると、妊娠糖尿病のリスクを抑えられます。血糖値が上がりにくい食事のコツは、食事を抜かずに1日3食をきちんと食べることです。また、血糖値が上がりにくい食品を選んだり、食物繊維の多いものから食べるよう意識したりすると、より効果的でしょう。

胎児の成長を助ける葉酸を摂取する

葉酸は、胎児の脳や脊髄、内臓を作るために欠かせない栄養素です。葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害や口蓋口唇裂、先天性心疾患のリスクが高まります。細胞の増殖に関わる栄養素なので、妊娠超初期にも不足することがないように、妊活中から葉酸をとっておきましょう。
厚生労働省では、妊娠の1ヵ月以上前から妊娠3ヵ月までの期間で、1日400μg(0.4mg)の葉酸を摂取することを推奨しています。

※出典 厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推奨について

早めに不妊治療に挑戦する

年齢を重ねるごとに自然妊娠が難しくなり、妊娠後のリスクも上がっていくため、早めに不妊治療を始めるのもおすすめです。不妊治療の成功率も年齢とともに下がっていくので、40代で妊娠を希望する場合は、早めに不妊治療専門のクリニックを受診しましょう。

PGT-A(着床前検査)を受ける

体外受精(IVF/ふりかけ法)や顕微授精(ICSI/イクシー)などの生殖補助医療(ART)での妊娠を考えている場合は、PGT-A(着床前検査)で着床前の受精卵(胚)を検査して染色体に異常がないかを調べることも可能です。受精卵(胚)の細胞の一部を採取して染色体数を調べ、その検査結果をもとに、染色体異数性がないと判定された胚を移植すれば、移植の不成功や流産の減少が期待できるといわれています。
ただし、PGT-Aは「胚移植を行い、2回以上不成功の既往がある方」「2回以上の流死産(生化学妊娠を除く)の既往がある方」しか受けることができません。また、保険適用外のため全額自費診療となります。
にしたんARTクリニックでは、神戸三宮院がPGT-Aを実施しています。気になる方はぜひご相談ください。

妊婦健診を受けてリスクを確認する

妊娠したら、定期的に妊婦健診を必ず受けましょう。妊婦健診では、体重や血圧のチェック、さまざまな検査を通して、妊婦と胎児の健康に問題がないか確認します。医師は高齢出産のリスクも熟知しており、検診を受けることで上記のリスクの予兆を早期に発見できる可能性もあるため、必ず受診するように意識してください。

40代で妊娠を望む方は、にしたんARTクリニックにご相談ください

40代の妊娠には、さまざまなリスクが伴います。高齢妊娠や出産のリスクを理解した上で妊娠を希望する場合は、すぐに妊活を始めることをおすすめします。年齢を重ねるほど、妊娠・出産は時間との勝負となるため、妊活を始めてもなかなか妊娠に至らない場合は、できるだけ早めに不妊治療専門のクリニックを受診しましょう。

にしたんARTクリニックでは、各院で無料カウンセリングを実施しています。年齢問わずにカウンセリングを受けていただくことができるため、高齢妊娠や高齢出産に不安がある方は、まずは無料カウンセリングで不安な気持ちをご相談ください。

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