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不妊検査とは?検査の種類や費用について解説

「もしかして不妊かも?」と思ったら、まずは検査を受けて原因を特定し、治療の必要性を検討することが大切です。自然妊娠の可能性は年齢とともに低下していくため、できるだけ早い段階で検査を受けることが望ましいでしょう。

毎日基礎体温をつけていれば、排卵日をある程度予測することはできますが、妊娠に必要な身体機能の状態などは病院の検査でないと把握できません。 しかし、検査を受けてみようと思っても、「どんな検査をするのか」「検査にいくらかかるのか」がわからず、不安な方もいると思います。

そこで本記事では、不妊検査の種類や内容、費用について詳しく解説します。

不妊とは、妊娠適齢期の男女が避妊をせずに性交渉をしても
妊娠しない状態のこと

不妊とは、身体的に健康で、妊娠適齢期にある男女が避妊をせずに性交渉をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態のことです。

公益社団法人日本産婦人科学会は、一定期間を「1年」としていますが、絶対的な定義ではありません。妊娠しない期間が1年に満たなくても、男女のいずれかに原因があることが検査で判明し、妊娠できる状態にするために治療が必要であれば、「不妊症」と診断されることもあります。

不妊の主な原因

不妊になる原因は男女ともに存在し、検査をしてみなければ原因を特定することはできません。ここでは、代表的な不妊の5つの原因について見ていきましょう。

卵巣因子

卵巣因子は、不妊の原因が卵巣に存在する場合のことをいいます。原因として例に挙げられるのが、卵巣に残っている卵子の数の目安を示す卵巣予備能の低下です。 体内にある卵子の数は生まれつき決まっており、加齢とともに減少し増えることはありません。そのため、卵巣予備能を調べるAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査を行い、現時点で卵巣内にある卵子の数を把握しておくことが重要です。

卵管因子

卵管因子とは、卵巣と子宮をつなぐ卵管に原因がある場合のことをいいます。卵管は、受精卵が再び子宮に戻るための通り道です。卵管狭窄(卵管の幅が狭くなる)や卵管閉塞(卵管が詰まる)があると、妊娠が阻害されます。 日常生活で何らかの症状を感じることはほぼないため、不妊症で受診した際のエコーなどで調べる必要があります。

子宮因子

子宮因子は、子宮に何らかの異常があり、妊娠が阻害される状態のことです。例えば、子宮筋腫やポリープがあったり、子宮の形に問題があったりすると、受精卵が子宮内膜に着床できません。 また、着床したものの、早期に流産してしまうこともあります。卵管因子と同様、多くの場合はエコーで確認が可能です。

男性因子

男性因子は、男性側に起因する不妊の総称です。代表的なものとして、精子の数が少ない、精子の動きが悪いといった精子の問題や、勃起や射精に関わる性機能障害などがあります。精液を採取して状態を調べる精液検査、ホルモン値の検査などで調べます。

免疫因子

免疫因子とは、免疫の力が精子を攻撃してしまい、妊娠に至らない場合をいいます。免疫は、体内の抗体によって細菌やウイルスから身を守る仕組みです。しかし、女性の身体に抗精子抗体ができていると、精子を敵とみなして運動を阻害します。この抗精子抗体があると、精子の動きは抑制され、受精が妨げられるのです。
場合によっては、男性側が抗精子抗体を持っていることもあります。抗精子抗体の有無は、血液検査で調べることが可能です。

不妊の検査ってどんなもの?

不妊は、男性にも女性にも等しく原因がある可能性があるため、夫婦(カップル)そろって検査を受けることをおすすめします。早めに検査を行って不妊の原因を知ることで、症状に合った治療を進めて妊娠・出産を目指すことができます。

妊娠できる力と年齢には深い相関関係があり、年齢が上がるほど不妊になる確率は上がります。妊活を始めたばかりの若年層ならば焦らずに様子を見ても構いませんが、若くても自覚症状のない不妊の原因が隠れている可能性はゼロではありません。
少しでも「妊娠しにくい」と感じたり、「もう少し積極的に妊娠を目指したい」と思ったりしたら、適切な治療に向けて検査を行いましょう。

不妊検査の種類

不妊治療を始めるにあたり、いくつかの検査を行ってその原因を探ることが重要です。ここでは、にしたんARTクリニックにおける検査について詳しくご紹介します。

女性が行う不妊検査

女性用の不妊検査は、月経周期に合わせて行われるため、受診時の1回の検査で原因を判断することはできません。一通りの検査を終えるまでに、1~3ヵ月の期間が必要です。下記は、女性が行う不妊検査となります。

経腟超音波検査

経腟超音波検査は、腟から経腟用プローブを挿入し、子宮や卵巣の状態を診る検査です。子宮筋腫や卵巣嚢腫はもちろん、自覚症状のない子宮や卵巣の問題も発見できるほか、子宮内膜の厚さなども調べることができます。
プローブは親指ほどの太さで、痛みはほぼありません。卵巣の位置などによっては、プローブを動かす際に違和感を覚えることがあるかもしれませんが、にしたんARTクリニックでは医師がスピーディーかつ丁寧に検査を行っています。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査

AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査は、卵胞から分泌されるホルモンの値から、卵巣にどれくらいの卵子が残っているかを予測する血液検査です。卵子の元になる卵母細胞の数は生まれたときに決まり、加齢とともに減少します。一般社団法人日本生殖医学会の調べによれば、卵母細胞の数は37歳頃を過ぎると急速に減少し て閉経に向かうことから、十分に卵子があるうちに妊活に取り組むことが重要です。
AMH検査を行うと、自分の卵子の現状を把握でき、ライフプランが立てやすいでしょう。

感染症検査

感染症検査は、B型肝炎、C型肝炎、梅毒などに罹患しているかを血液検査で調べるものです。罹患していた場合、不妊治療より先に感染症の治療が必要となります。

クラミジアPCR検査

クラミジアPCR検査は、腟分泌液から 体内にクラミジアの病原体が存在しているかどうかを調べます。クラミジアとは、卵管や卵巣の周囲を癒着させ、不妊の原因になるとされている菌です。
クラミジア抗体が陽性だった場合、 子宮卵管造影などによって卵管や卵巣の状態を確かめ、癒着の治療や適切な不妊治療を行うことをおすすめします。

子宮頸がん検査(子宮腟部細胞診)

子宮頸がん検査(子宮腟部細胞診)では、医師との問診の後、子宮の入り口を専用のブラシでこすって細胞を採取し、顕微鏡で異常細胞の有無を調べます。子宮頸がん検査は健康診断などと併せて定期的に行われる検査ですが、進行期以外の子宮頸がんと不妊との直接的な関係はありません。
不妊治療前に子宮頸がん検査を行う目的は、万が一がんを発症していた場合には治療を最優先し、がんが進行するのを防ぐためです。子宮頸がんは早期に発見できれば治癒率が非常に高く、適切な治療をすれば妊娠のための機能を温存することが可能なので、必ず検査を受けましょう。子宮頸がん検診は、原則として20歳から2年に1回定期的に受診することが 推奨されています。

男性が行う不妊検査

では、男性の場合はどのような不妊検査があるのでしょうか。男性用の不妊検査の内容は、下記のとおりです。

感染症検査

感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒)に罹患しているか否かを血液検査で調べます。罹患していた場合、不妊治療より先に感染症の治療をしなくてはなりません。精液検査を受けるためにも、感染症検査の結果が必要です。なお、HIV検査に関しては任意となっています。

精液検査

精液検査は、2~4日の禁欲期間の後に受診し、マスターベーションで採取した精液を顕微鏡で観察する検査です。男性不妊の検査において、最も基本的かつ重要な検査だといえるでしょう。
検査により、精液の量や濃度、精子の運動率などがわかり、自然妊娠できるかどうかの判断材料になります。

不妊検査を受けてわかること・わからないこと

不妊検査を行うことで不妊の原因を発見できることもありますが、検査をしても原因がわからない場合もあります。ここでは、不妊検査でわかること・わからないことを整理しておきましょう。

不妊検査をしたらわかること

不妊検査をすると、女性側の不妊の原因である「卵管通過障害」「排卵障害」「子宮内膜異常」はある程度把握できます。それぞれの症状は下記のとおりです。

卵管通過障害

卵管通過障害とは、卵管が詰まってしまったり傷ついてしまったりしたことにより起こる障害です。卵巣から排出された卵子は、卵管で精子と出会って受精し、受精卵となります。そのため、卵管に閉塞や狭窄があると、精子とうまく出会うことができません。

卵管通過障害を引き起こす原因としては、骨盤内感染症や子宮内膜症、チョコレート嚢腫などが挙げられます。

排卵障害

毎月、卵巣で卵子が成熟し、20mmくらいの大きさまで成長すると、1ヵ月に1個のペースで卵子が排出される排卵が起こります。排卵しなければ卵子は精子と出会うことができず、妊娠に至りません。排卵障害は、この排卵に何らかの障害がある状態です。 超音波検査とホルモン検査を合わせて行うことで、排卵障害の原因となる卵胞が小さいまま成長が止まってしまう多嚢胞性卵巣症候群や、卵胞の発育に関わるホルモン分泌に問題がある下垂体機能障害などの診断が可能です。

子宮内腔異常

受精卵が子宮内膜に着床すると妊娠が成立します。子宮内腔異常とは、子宮筋腫やポリープなどがあったり、子宮に奇形があったりして、受精卵がうまく着床ができない状態のことを指します。子宮内腔の異常を確認するには、超音波検査や子宮卵管造影検査が有効です。

不妊検査をしてもわからないこと

女性の不妊原因の約半数は、「原因不明」といわれています。これは、原因がないわけではなく、検査をしても原因が見つからないという意味です。原因不明不妊といわれたとき、考えられる要因は下記の3つの可能性が高いです。

卵管のピックアップ機能に問題がある

卵管のピックアップ機能とは、卵管采が卵子をキャッチする力のことです。排卵した卵子は、卵管の先にある卵管采と呼ばれる部分からが卵管の中に入ります。この機能に問題があると、卵子は卵管の中に入ることができず、受精に至りません。 しかし、ピックアップ機能を調べる検査は今のところ存在しないため、原因不明不妊に含まれています。

卵子の質に問題がある

卵子の元になる原始卵胞は、胎児の頃に作られて卵巣に貯蔵され、年齢とともに少しずつ減っていきます。原始卵胞が新しく作られることはありません。よって、排卵までに長く貯蔵されていた卵子の質も、年月が経つにつれて落ちていくと考えられます。 実際、女性の年齢が上がるほど妊娠率は低下することがわかっており、卵子の質が落ちることもその一因と推測されますが、体内にある卵子の質は検査できないため、原因不明不妊の原因とされています。

受精障害がある

受精障害は、精子と卵子が存在するのに受精をしない状態です。「卵子の殻の部分が固く精子が通過できない」「精子に卵子の殻を通過する機能がない」「殻を通過しても卵子が活性化しない」などの状態が考えられますが、 これも体外受精(IVF)の際に初めてわかることであるため、原因不明不妊となります。

不妊検査の費用について

不妊検査を行うにあたって、気になるのが費用面です。にしたんARTクリニックでは、女性用検査、男性用検査を下記の費用で行っています。

女性用の主な検査

保険診療自費診療
超音波検査                                1,590円         3,300円
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査1,790円6,600円
クラミジアPCR検査1,150円2,200円
子宮頸がん検査(子宮腟部細胞診)960円2,090円
スクリーニング検査7,250円22,990円
術前血液検査2,590円9,460円

男性用の主な検査

保険診療自費診療
感染症検査                                   ー         2,860円
精液検査5,500円
※精液検査を受けるには感染症検査の結果が必要です。

検査の費用については、こちらのページをご覧ください。各種検査費用

不妊の検査を受けるなら、にしたんARTクリニックへ

不妊の検査は、「妊娠しにくい」と感じたときに受け、根本的な原因を探るためのものです。妊活を始めてしばらく時間が経ち、少しでも「なかなか妊娠しない」「おかしい」と思ったら、まずは検査を受けてみましょう。不妊は女性の問題と思われがちですが、男女共に原因がある場合も少なくありません。お互いの不妊に対する意識の差を埋め、支え合って治療を乗り越えていく気持ちを醸成するために、検査は夫(パートナー)といっしょに受けてください。

早めに原因を探り、適切な治療を受けることによって、自然妊娠が可能になることもあります。また、自然妊娠の可能性が極めて低いことが早期にわかれば、不妊治療を始めるタイミングも早めることができます。 不妊の検査をご検討の際は、お近くのにしたんARTクリニックにお気軽にご相談ください。

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