タイミング法

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タイミング法で妊娠しない原因とは?対策を解説

不妊治療の第一歩ともいえるタイミング法(タイミング指導)は、最も妊娠しやすいとされる排卵日を予測し、その時期に性交渉を持つことで自然妊娠を試みる治療法です。タイミング法を試みても妊娠しない場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。

本記事では、不妊治療におけるタイミング法の流れやメカニズムを解説した上で、妊娠に至らない場合に考えられる原因と対策をご紹介します。

タイミング法(タイミング指導)の流れ

クリニックでタイミング法(タイミング指導)を受けるにあたり、初診日は月経周期などを考慮する必要はありません。指導を受けたいと思い立ったときに受診し、治療を進めることができます。
まずは、にしたんARTクリニックにおけるタイミング法の流れを例にご紹介します。

1. 初診・検査を受ける

まずはクリニックを受診して、男女それぞれ、健康状態や不妊の原因をスクリーニングするための検査を受けます。
検査には下記のように、保険診療と自費診療の検査があります。初めに自費診療の検査を行い、保険診療の検査に進みます。

女性が行う検査

検査内容
保険診療血液検査 : PRL(プロラクチン)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、fT3・fT4(甲状腺ホルモン)、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査
内診 : クラミジアPCR検査、子宮腟部細胞診、超音波検査
自費診療風疹抗体検査、HIV(感染症検査)

男性が行う検査

検査
保険診療
自費診療感染症検査(B型・C型肝炎、梅毒)、精液検査
※HIV検査は「感染の疑いまたは既往があるとき」のみ保険適用となるため、通常の感染症検査には含まれません。
検査の結果、自然妊娠が可能であると判断されたら、必要書類を提出した上で治療計画書の作成に移ります。

2. 排卵日を推定する

排卵日は、これまでの月経周期や、ホルモン検査・超音波検査などの結果をもとに推定されます。
黄体ホルモンの分泌が続くのは、排卵から約14日間であるため、例えば月経周期が30日の場合は、月経開始日から16日目が排卵日と推定できます。

3. 卵胞をモニタリングする

タイミング法を行う月経周期を決定したら、月経開始日から10~12日目に通院を開始し、経腟超音波検査を行います。経腟超音波検査は棒状のプローブという器具を腟内に挿入し、卵胞や頸管の状態を画像で確認することができる検査です。排卵は卵胞が18~22mm程度になると起こるとされるため、卵胞の大きさを見て排卵日を推定します。

なお、この検査で卵胞の成熟が十分ではないと判断した場合には、排卵日の2日前を目安に排卵誘発剤を処方することもあります。

4. タイミングを合わせて性交渉する

推定された排卵日をもとに、医師の指定する日時に性交渉を持ちます。精子の寿命は72時間程度とされていますが、排卵4日前から排卵前日までは妊娠の可能性があり 、妊娠の成功率のピークは排卵日の1~2日前です。排卵6日以前と排卵翌日以降は妊娠の成功率がゼロになるため、排卵日の推定が要となります。

5. 妊娠の判定

タイミング法を行った次の月経開始予定日に月経が来ない場合、まずは市販の妊娠検査薬で検査してみましょう。陽性であればクリニックを受診し、hCGホルモン値を測定して妊娠の判定を行います。
hCGホルモンは、受精卵(胚)が着床すると分泌されるホルモンです。尿中からも検出されますが、クリニックではより確実に妊娠を判定するため、血液検査を行っています。

タイミング法(タイミング指導)によって妊娠しやすくなる理由

タイミング法(タイミング指導)は肉体的な負担も少なく、自然妊娠に近い不妊治療法といえます。
タイミング法が自然に任せた妊娠と異なるのは、妊娠の成功率が最も高い排卵の1~2日前を狙って性交渉を行うことです。女性の月経周期のうち、妊娠する可能性があるのは排卵の4日前から排卵後1日以内とされています。卵子の寿命は約24時間とされているため、丸1日経過すると妊娠率はゼロになります。

精子の寿命は約72時間とされているので、排卵の直前に性交渉を行い、卵子が排卵されたときには精子が卵管で待機しているような状態を作ることで、妊娠の成功率を高めるのです。

妊娠しやすいタイミングの例

タイミング法は医療介入レベルが低いこともあり、病院を受診せず自己流でタイミングを図っている方もいるかもしれません。自己流だと基礎体温の記録や月経周期からおおまかに予測することしかできませんが、医師によるタイミング法では、超音波検査やホルモン値の検査などによって、排卵日を正確に予測します。
また、タイミング法では、排卵が行われているか、排卵された卵子はきちんと成熟しているかなど、正常な妊娠に結び付くよう、細やかにチェックすることも可能です。排卵がない、卵子が成熟していないなどの排卵障害がある場合は、投薬などの治療を行ってスムーズな排卵をサポートすることもあります。

タイミング法(タイミング指導)の対象となる方

タイミング法(タイミング指導)は、妊娠の成功率が高い日に性交渉を行うことで、自然妊娠の確率を高める治療方法です。そのため、治療の対象となるのは、体内での自然妊娠が可能で、避妊をせずに半年間性交渉をしても、妊娠に至っていないご夫婦(カップル)となります。
ここでは、女性と男性それぞれに、タイミング法の対象となる条件をご紹介します。

タイミング法の対象となる女性

タイミング法の対象となる女性は、卵管や排卵に異常がなく、自然妊娠が可能な方となります。具体的に必要な条件は下記のとおりです。

左右の卵管に異常がない方

卵管とは卵巣から子宮までつながっている管のことで、排卵された卵子は卵管の端の卵巣付近で精子が来るのを待っています。とても細い管なので狭窄や閉塞を起こすことがあり、不妊の原因にもなりうる器官です。
卵管の片側もしくは両側に異常がある場合、受精卵(胚)が子宮まで移動できない、あるいは卵管の途中で着床して子宮外妊娠を起こしてしまう可能性があるため、タイミング法を行う際は、左右の卵管に異常がないことを確認しておく必要があります。

重篤な排卵障害がない方

排卵障害があると、どれだけタイミングを図っても自然妊娠に至るのは難しくなります。強いストレスや過度な体重の増減、環境の変化などは排卵に異常をきたしやすく、まずは排卵障害の治療を行うことが優先されます。重篤な排卵障害であるPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)に罹患している場合も同様です。排卵誘発や腹腔鏡下術を用いて、まずは正常な排卵を目指します。
無月経や、月経周期が長引く稀発月経などがある場合にも、内服薬や注射剤などで排卵を促します。

タイミング法の対象となる男性

男性の場合は、精液検査の結果に異常がないことが治療を受ける条件となります。
精液検査では精子の数や濃度、形態、運動率などに異常がないかを確認します。自然妊娠をするために十分な数の精子が採取できない、正常な形をした精子が少ない、精子の運動率が低いなどの結果が出た場合は、タイミング法を行うことができません。

精液検査の結果に異常が出た場合は、男性不妊症診療を行う泌尿器科専門医を受診するか、タイミング法以外の不妊治療を検討します。

タイミング法(タイミング指導)で妊娠しない原因とは?

タイミング法(タイミング指導)で妊娠しない原因として、具体的にどのようなことが考えられるのでしょうか。ここでは、4つの原因を解説します。

正確な排卵日が推定できていない

タイミング法で妊娠しない原因としてまず挙げられるのが、最も妊娠しやすいとされる排卵日を推定できていないまま性交渉を行っていることです。自己流の基礎体温記録や周期判定では、排卵日を正確に推定できていない可能性があります。
排卵日を正確に推定するには、医療機関で診察や検査を受け、医師の指導を受けるのが確実です。

生活習慣が乱れている

タイミング法で妊娠しない原因に、生活習慣の乱れがあります。生活習慣が乱れるとホルモンバランスが崩れ、排卵が正確な周期で訪れなくなります。予測した排卵日がずれていると、タイミング法は意味をなしません。栄養バランスの偏った食事、睡眠不足、運動不足または過度な運動などは見直しの必要があるでしょう。
男性の場合は、体調やストレスによって精子の状態が変化します。アルコールやたばこは精子だけでなくほかの臓器にも悪影響を及ぼすため、できるだけ控えることをおすすめします。

排卵障害や異常精子など医学的な問題がある

特に自己流でタイミング法を行っている場合、妊娠しない原因に医学的な問題が関係している可能性もあります。女性の場合は卵管異常、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、無月経、稀発月経などの排卵障害などが考えられます。男性の場合に考えられるのは、十分な精子の数が存在しない、正常な形態の精子が少ない、精子の運動率が低いなどの精子異常です。

クリニックでタイミング法を行う場合は事前に検査を行うため、これらの問題がある方はそもそもタイミング法を受けることができません。

性交渉のタイミングが合っていない

タイミング法で妊娠しない原因に、排卵日に対して性交渉のタイミングが合っていない可能性があります。
妊娠の確率を高めるには性交渉の頻度も重視する必要があり、排卵日の数日前から2~3日おきに性交渉を持つことが望ましいとされています。頻度が低すぎると妊娠の確率も自然と低くなるため、性交渉のタイミングと併せて、頻度も見直すことがポイントです。

タイミング法(タイミング指導)で妊娠しない場合の対策

タイミング法(タイミング指導)は、6~12ヵ月程度を目安に行うのが一般的です。それ以上行っても結果が出なければ、不妊治療の次のステップへ進むことが推奨されます。
ここでは、タイミング法で妊娠しない場合の対策を、2つご紹介します。

医師のタイミング法を受ける

そもそも医療機関を受診しておらず、自己流でタイミングを図っている場合は、医師の指導を受けることが大切です。診察や検査によって、タイミング法で自然妊娠が望めるかどうかがわかり、正確な排卵日が推定できます。卵胞の状態も確認できるため、妊娠の可能性も高められるでしょう。

また、タイミング法での妊娠が難しい場合も、まずは医療機関で診察と検査を受けることが重要です。検査を通して、排卵障害や子宮・卵管などの器官の問題、男性側の精子の状態といった不妊に影響を与える要因を特定できます。
医師に相談する際は、生活習慣や性交渉の頻度なども伝えることで、より適切なアプローチができるようになります。

不妊治療のステップを次に進める

タイミング法での妊娠が難しい場合、不妊治療の次のステップとして人工授精(AIH)や体外受精(Conventional-IVF/ふりかけ法)などを検討することとなります。
これらの治療法は、排卵障害や精子の問題がある場合にも有効と考えられています。まずは医療機関へ相談し、自身にとって最適な治療法を見つけることが大切です。

タイミング法(タイミング指導)で妊娠しない原因を特定して、
妊娠の成功率を上げよう

タイミング法(タイミング指導)で妊娠しない場合、その原因は多岐にわたる可能性があり、医療機関での診察と検査を行う必要があります。自己流でタイミングを図っている場合、まずはクリニックを受診し、検査や排卵日を推定するところからスタートしましょう。
また、医師の指導を受けても妊娠せず、原因となる病気等も見られない場合は、不妊治療を次のステップへ進めることも視野に入れます。

にしたんARTクリニックでは、患者さまのご意見とご希望を最優先にしながら、一人ひとりに合わせた治療をご提案しています。タイミング法を受けながら、人工授精(AIH)や体外受精(C-IVF)へのステップアップの準備を同時に進めることも可能です。
タイミング法をはじめ、不妊治療についてお悩みの方は、にしたんARTクリニックへお気軽にご相談ください。

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