各種検査
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不妊症の治療に際してはホルモンや抗体など様々な血液検査を受けていただく必要があります。
これらの検査は排卵や妊娠がうまくいかない原因について診断するために必須な検査です。
FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)は下垂体から分泌されるホルモンで卵巣に働きます。FSHは卵胞を大きくする働きをし、またLHは排卵の前に多量に分泌され卵胞に働き排卵を起こします。これらのホルモンはこのほかにも様々な働きをしています。
LHが高値でFSHが正常、またGn-RHテストでFSHが正常反応を示し、LHが過剰反応をするときには多嚢胞卵巣が疑われます。こういった場合にはエストロゲン、男性ホルモンの測定や超音波検査で確認します。
FSH、LHいずれもが低値で、Gn-RHテストでもFSHとLHの反応がないか悪いときには下垂体の異常か、長く続いた視床下部の異常が考えられます。
FSHが異常高値を示すときには卵巣に異常があります。このときはLHも高くなっている場合が殆どです。更年期以降の女性ではFSH、LHいずれも高値ですが、これは卵巣が働かなくなっているためです。FSH、LHの測定は月経が始まってから行います。
プロラクチンは妊娠中やお産の後に下垂体から分泌されて乳汁を分泌させるホルモンです。このホルモンが妊娠に関係のないときに異常に分泌されて高値となると、排卵や月経の異常を引き起こしたり乳汁が出たりします。
プロラクチンが高値となる病気には下垂体の腫瘍、またCTやレントゲン検査ではわからないような微少腺腫があげられます。またドグマチールという胃の薬や安定剤などの向精神薬を服用していてもプロラクチンが高くなります。
排卵に向かって卵胞が大きくなっていくと、卵胞からはエストロゲン(卵胞ホルモン)がたくさん分泌されるようになります。エストロゲンは子宮の内側の膜を分厚くして妊娠しやすくするほかに、骨の新陳代謝を調節したり、2次性徴といって、いわゆる女性らしさを作ったりと、体全体でさまざまな作用を発揮しています。
卵胞から十分エストロゲンが分泌されているかどうかを調べるために、排卵の前にエストロゲンを測定します。エストロゲンには3種類ありますが、不妊症の方で一般に測定するのはこのうちのエストラジオール(E2)と呼ばれるものです。また、hMGやFSHの注射で排卵を促進する治療を受けているときには、それまでに投与した注射がどれくらい効いているかを調べるためにエストラジオールを検査することもあります。
排卵前の正常な血中エストラジオールは100pg/ml以上になります。
排卵したあとに卵巣にできる黄体からは、プロゲステロンがエストロゲンと一緒に分泌されて、排卵の前にすでに分厚くなっている子宮の内側の膜を更に妊娠しやすいように変化させます。この黄体が十分に働かないと黄体機能不全といって妊娠しにくい状態になってしまいます。
不妊症の方では、黄体機能不全がないかどうかを調べる検査のひとつとして、血中のプロゲステロンの量を測定します。この検査は、排卵してから1週間目ぐらいに行います。
排卵後の正常な血中プロゲステロンは10ng/ml以上になります。
甲状腺からは体全体の代謝を調節するホルモンが分泌されています。甲状腺ホルモンの分泌が悪いと体がむくんだり、しんどくなったり、寒さがこたえたりと症状が出ますが、そこまでいかなくても女性の方では甲状腺の調子が悪いと月経や排卵の調子が悪くなったり、妊娠しにくくなったりすることがあります。ですから不妊症の検査では甲状腺に異常がないかを調べるために甲状腺ホルモンの検査をします。
下垂体から分泌されるものを甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺から分泌されるものを甲状腺ホルモン(FT3、FT4)といいます。当クリニックではまず、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の検査から行います。
TSHが高いと甲状腺機能低下、TSHが低いと甲状腺機能亢進です。
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