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プラノバールとは?不妊治療で使用する目的と注意点を解説

プラノバールとは?不妊治療で使用する目的と注意点を解説

不妊治療では、目的に沿ってさまざまな薬が処方されます。なかには使い方や使うタイミングで効果が変わる薬もあるため、自身に処方された薬について「なんのために、いつ、どれくらい飲むのか」を理解して服用することが大切です。

この記事では、中用量ピルとして月経周期の調整に使われることが多いプラノバールについて、不妊治療で使われる際の目的や注意点などを詳しく解説します。

プラノバールとは、ホルモンバランスを調整する作用がある薬のこと

プラノバールは、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を補うことができるホルモン剤です。エストロゲンとプロゲステロンを補充するとホルモンバランスを整えられるため、一般的に婦人科では月経周期や経血量に異常がある場合や、子宮内膜症、卵巣機能不全などの改善のために処方されます。

また、月経をコントロールしたいときの中用量ピルとして処方されることもあります。プラノバールを服用すると、プロゲステロンの効果で基礎体温が上がり、「今は高温期である」と脳に錯覚させることができます。その結果、排卵を抑制したり、月経周期を管理したりすることが可能です。

こうした効能を活用し、プラノバールは不妊治療でも使用されています。不妊治療でプラノバールが用いられる例については後述します。

プラノバールの効果は「いつ、どれくらい飲むか」によって変わるため、医師の説明をよく聞き、正しく使用することが大切です。

不妊治療でプラノバールを使用する目的

不妊治療の一環としてプラノバールが処方される場合、大きく3つの目的があります。それぞれ服用するタイミングで目的が異なるため、きちんと理解した上で服用しましょう。

月経をコントロールし、月経不順を整えるため

プラノバールを服用する目的は、月経周期を調整することです。

不妊治療で必要な検査や治療の多くは、排卵のタイミングや月経周期に合わせて行われます。そのため、月経周期が安定していることは、予定どおり治療を進める上で重要なポイントのひとつです。
不妊治療を始める際、月経不順の場合はプラノバールを処方して、月経周期を整えることから始めることが多いでしょう。

プラノバールを服用している間は、プロゲステロンの影響で月経が抑制され、服用をやめると月経が始まります。プラノバールをタイミングよく服用することでこの作用を引き出し、月経周期をコントロールできる仕組みです。
月経を早めたい場合は月経開始1日目から数えて5日目から服用し、遅らせたい場合は月経予定日の5~7日前に服用します。

飲むタイミングが遅れると月経周期をコントロールできないため、医師の説明を聞いた上で正しいタイミングで服用するようにしてください。

卵巣内で卵胞の成長を促し、卵子の質を良くするため

プラノバールには、卵巣内に卵胞を長くとどめて、十分に成長させる効果があります。

体外受精(IVF/ふりかけ法)や顕微授精(ICSI/イクシー)では、体外で卵子と精子を受精させますが、卵子がしっかりと成熟した状態でないと受精の成功率が下がります。そこで、排卵前からプラノバールを服用して排卵を抑制し、卵巣内で卵胞を成熟させることで、卵子の質を高められます。排卵を一周期休むと卵胞は大きく成長し、次の周期で質の良い卵子を採卵することが可能です。

黄体ホルモンを補充し、着床を補助するため

プラノバールは、受精卵(胚)の着床をサポートする目的にも使われます。

この場合は、プラノバールは排卵後の胚移植の周期に服用します。この時期にプラノバールを服用することでプロゲステロンが補充され、子宮内膜の厚みが増して受精卵が着床しやすい環境を整え、妊娠の可能性を高めます。

プラノバールの主な副作用

プラノバールの服用量は、服用する目的や症状などに合わせて医師が決定します。処方された用量・用法どおりに服用すれば高い効果が期待できますが、副作用がないわけではありません。
ここでは、プラノバールの主な副作用と自覚症状について紹介します。もし、次のような症状が現れた場合は、医師に相談しましょう。

体重の増加やむくみ

プラノバールを服用すると、一時的にむくみが出たり、体重増加が見られたりする可能性があります。これは、プラノバールに含まれるエストロゲンが水分や栄養分を溜め込み、妊娠を継続させようとするからです。

また、プロゲステロンには食欲を増加させる効果があるため、食事量が一時的に増える可能性もあります。ただし、不妊治療においてプラノバールは長期的に服用するものではないため、体重増加やむくみも一時的であることが多いです。

吐き気、嘔吐、食欲不振など

ホルモン剤全般に見られる副作用と同じく、プラノバールを服用することで、吐き気や嘔吐、下腹部の張り、食欲不振といった症状がみられることもあります。ほとんどは一過性で、ホルモン剤に慣れてくれば気にならなくなりますが、症状が続く場合は医師に相談することをおすすめします。

血栓症

全体の0.1~0.2%未満ではあるものの、プラノバールの副作用として血栓症を発症するおそれがあります。飲み始めだけでなく服用中は常にリスクがあり、ひどい場合は命に関わることもあるため、自覚症状が出たらすぐに服用をやめて医療機関を受診してください。

血栓症の主な自覚症状には、ふくらはぎの痛みや腫れ、手足のしびれ、鋭い胸の痛み、めまいなどがあります。なお、長時間のデスクワークなどで、同じ姿勢で過ごす時間が長い人は特に血栓症のリスクが高いため、こまめに立ち上がったり、歩き回ったりして、下半身の血流が停滞するのを防ぎましょう。

プラノバールを服用する際の注意点

月経周期が不順な方にとっては、欠かせないホルモン剤であるプラノバールですが、服用の際には注意点があります。プラノバールを処方されたら、下記の点に注意して服用してください。

医師の指示どおりに正確に服用する

プラノバールは、医師や薬剤師の説明をよく聞き、指示されたとおりに服用しましょう。また、自己判断で使用をやめたり、量を増減させたりしないようにしてください。服用の仕方によってまったく異なる効果を発揮するため、不妊治療で服用する場合は、卵子の質を高めてから採卵するためか、排卵後の受精卵の着床を助けて妊娠しやすくするためかによって、服用するタイミングが異なります。

頭痛薬との併用に注意する

薬同士には相性があり、中には同時に服用すると重大な副作用を招く薬もあります。

不妊治療では多様な薬を用いるため、自己判断で市販薬などを追加するのは危険です。医師が処方した薬だけを服用するようにし、どうしても服用したい薬がある場合や、頭痛などの持病があって頓服したい場合は、必ず医師に相談してください。

特に、頭痛薬の一種であるアセトアミノフェンはプラノバールとの飲み合わせが悪く、副作用が強く出るなどのリスクがあります。不妊治療前に飲んでいた薬などを安易に飲むのは避けましょう。

飲み忘れないように気をつける

プラノバールは、毎日同じ時間に欠かさず服用するのが基本です。
もし飲み忘れてしまったら、クリニックへお問い合わせください。

服用時は禁煙する

プラノバールを服用している間は、禁煙してください。

喫煙は、プラノバールの副作用である血栓症などの心血管系の疾患を誘発することがわかっています。35歳以上の女性では特に危険性が高いため、プラノバールの服用が決まったら加熱式たばこを含めて禁煙しましょう。

なお、喫煙は卵子や精子の質を低下させたり、子宮内膜の状態を悪化させたりと、不妊治療全般に悪影響があります。妊娠後も、早産や低体重児の出産、胎児の発育遅延などにつながるため、妊活を始めた時点で禁煙することをおすすめします。

にしたんARTクリニックでは、治療中の薬についても丁寧な説明をしています

プラノバールは、不妊治療中によく使われる薬です。プラノバールは服用するタイミングによって効果が変わるため、医師の指示どおりに服用するようにしましょう。

不妊治療ではさまざまな薬を用いますが、にしたんARTクリニックでは患者さま自身が薬の効能・効果、使用する目的を理解して使用いただけるよう、しっかりとサポートいたします。使用する薬について一つひとつ丁寧な説明を心掛けていますので、安心して治療に臨んでください。

副作用に対する不安や、薬の飲み合わせについてなど、ご不明な点があればいつでもお問い合わせください。

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