不妊症

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子宮頸管因子の不妊とは?子宮頸管や頸管粘液の異常を詳しく解説

子宮頸管因子の不妊とは?子宮頸管や頸管粘液の異常を詳しく解説

子宮頚管、および子宮頚管で分泌される頸管粘液は、妊娠や出産において重要な役割を果たします。このいずれか、あるいは両方にトラブルがある場合、精子が子宮に入ることができず、妊娠することができません。これを「子宮頚管因子による不妊」といい、妊娠を希望する方は不妊治療が必要です。

この記事では、子宮頚管因子の不妊について、具体的な種類や不妊治療の方法を解説します。

「子宮頚管因子の不妊」とは子宮頚管や子宮頸管粘液による不妊のこと

子宮頚管因子の不妊とは、子宮頚管、または子宮頸管から分泌される子宮頸管粘液の異常によって精子が子宮頸管を通過することができず、妊娠しづらくなっている状態です。

子宮頚管は、子宮と腟をつなぐ2〜3cmほどの筒状の器官です。子宮の入り口に位置し、管のような形状で子宮と腟をつなぎ、女性の体の変化に応じてさまざまな役割を果たします。

子宮体部と子宮頸部

子宮頚管の主な働き

  • 子宮頸管粘液を分泌して雑菌などが入るのを防ぐ
  • 性交渉後、精子が子宮に向かうための通路になる
  • 精子が通過しやすいよう、子宮頸管粘液を分泌する
  • 妊娠中、胎児が子宮から出るのを抑える
  • 出産時、赤ちゃんが通過する産道になる

このように、子宮頸管は妊娠・出産においても非常に重要な働きをしています。特に妊活中には、子宮頸部は精子が子宮へ移動する通り道となり、子宮頸管粘液は精子が子宮に到達できるようにサポートする役割を果たします。そのため、子宮頚管そのものに炎症や狭窄などの異常があると、不妊や流産の原因になりうるでしょう。

また、分泌する子宮頸管粘液(一般的にいうおりもののこと)の量が少ない場合や、精子との相性が悪い場合も妊娠を助けることができません。

生殖年齢の健康な男女が妊娠を希望し、1年以上妊活をしているにもかかわらず妊娠に至らない場合、不妊であると考えられます。不妊治療専門クリニックで検査し、子宮頸管因子の不妊が判明した場合には、有効な治療法の検討・実施が必要です。

不妊の原因になる子宮頚管の異常

不妊につながる可能性が高い子宮頚管の異常には、どのようなものがあるのでしょうか。具体的に解説します。

子宮頚管の炎症

不妊につながる子宮頚管の異常として挙げられるのは、子宮頸管の炎症です。子宮頸管の炎症は、一般細菌のほか、クラミジア・トラコマチスと呼ばれる菌に感染する、クラミジア感染症によって起こります。
クラミジア・トラコマチスは、主に性交渉や性交渉類似行為によって感染する細菌で、クラミジア感染症は代表的な性感染症として知られています。感染した状態で放置すると卵管炎や骨盤髄膜炎を引き起こすこともあるため、早期に対処すべきですが、自覚症状は少なく、受診の遅れに注意が必要です。

妊活しているにもかかわらずなかなか妊娠しない場合は、クラミジア感染症を疑い、婦人科で検査を受けることをおすすめします。なお、クラミジア感染症が疑われる場合、必ずパートナーもいっしょに検査と治療を受けてください。

子宮頚管狭窄症

子宮頸管狭窄症も、不妊につながる子宮頚管の異常のひとつです。子宮頸管狭窄症とは、子宮頚管が狭くなったり、閉鎖したりした状態をいい、精子が通り抜けられないため妊娠に至りません。子宮頸部異形成の治療として子宮頸部を切除した後に起こることが多いでしょう。

子宮頸管狭窄症の症状として、無月経や強い痛みのある月経困難症、不正出血などの月経異常が挙げられます。ただし、自覚症状がないことも多いようです。

子宮頸管狭窄症が不妊の原因と認められた場合は子宮頸管拡張器を使い、物理的に子宮口を広げる処置を行うことで改善する場合もあります。

不妊の原因になる子宮頸管粘液の異常

頸管粘液の異常も、不妊の原因です。
前述のとおり、通常の子宮頚管からは濃く粘り気のある子宮頸管粘液が分泌され、子宮内に細菌や病原微生物などの異物が子宮に入り込むのを防いでいます。

排卵期が近づくと子宮頸管粘液は分泌量が増え、透明でよく伸びる性質に変わって、精子が子宮内に向かって子宮頸管を通過するのを助けます。

そのため、排卵期になっても子宮頸管粘液の性質が正しく変化しない、分泌量が増えないといった場合、妊娠しづらくなります。子宮頸管粘液にトラブルが生じる原因は、大きく下記の2つです。

子宮頸管粘液不全

精子を子宮に招き入れるのに必要な子宮頸管粘液が分泌されず、精子が入り込めない状態です。原因は子宮頚管の炎症のほか、不妊治療中で、排卵を促す排卵排誘発剤を長期服用しているケースなどが考えられます。

また、子宮頸がんの前がん病変、および子宮頸がんの切除のため、子宮頸部円錐切除術(LEEP)を行った方にも見られます。

抗精子抗体が存在する

抗精子抗体とは、女性の体内にはもともとない精子を異物と判断し、精子の働きを阻害したり、動きを止めたりする抗体です。多くの場合この抗体はありませんが、不妊の女性のうち約3%の方に見られ、受精能力を妨げます。抗精子抗体は子宮頚管粘液内、子宮腔、卵管などに生じます。

精液検査で異常がなくヒューナー検査(性交後検査/フーナーテスト)の結果が悪い場合に、抗精子抗体検査(血液検査)を行うことで抗精子抗体の有無を調べることが可能です。

子宮頸管因子の不妊は人工授精(AIH)が適応になる

子宮頚管や子宮頸管粘液に異常がある場合、人工授精(AIH)の適応となります。

人工授精は、一般的にタイミング法(タイミング指導)で妊娠に至らなかった場合の選択肢として実行される不妊治療です。排卵日から妊娠の可能性が高い日を検査で正確に予測し、パートナーから採取した精液を洗浄・濃縮し、子宮内に直接注入します。

自然妊娠やタイミング法において、精子は腟から子宮頚管を泳いで子宮に到達し、卵子と受精します。そのため、子宮頚管に異常があったり、子宮頚管粘液が不足していたりして精子が子宮頚管を通り抜けられない場合、この方法では妊娠することができません。

人工受精は子宮頚管を精子が泳ぐプロセスをカットして子宮に直接精子を届けることができるため、通常の性交渉やタイミング法で妊娠が困難な場合でも受精の確率を上げることが可能です。その後、体内で精子と卵子が出会って受精し、着床に至る流れは、自然妊娠とまったく同じです。

人工受精のイメージ

人工受精について詳しくは、こちらをご覧ください。
人工授精(AIH)

子宮頸管因子の不妊が疑われる方は、にしたんARTクリニックへご相談ください

腟から子宮へと精子が泳いで向かうための通路である子宮頚管の異常や、精子が子宮へ向かうのを助ける子宮頸管粘液の不足は、物理的に精子と卵子の遭遇を阻害するため、大きな不妊要因のひとつです。

生殖年齢の健康な男女が約1年間、妊娠の可能性が高いタイミングで性交を行っても妊娠に至らない場合、子宮頚管因子の不妊を疑って検査をしてみると良いでしょう。全国にあるにしたんARTクリニックでは、患者さまのお話にじっくり耳を傾け、適切な検査を行って不妊原因を検討します。

原因が判明した後の治療についても、患者さまのご意向を尊重し、治療は話し合いながら進めていきますので、安心してご来院ください。検査や治療に不安がある方、不妊治療について詳しく知りたい方には、無料で何回でもカウンセリングを受けることが可能です。まずはお気軽にご相談ください。

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