不妊症

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腟炎は不妊症の原因になる?症状や種類、治療を詳しく解説

腟炎は不妊症の原因になる?症状や種類、治療を詳しく解説

腟炎は、女性なら誰でもかかる可能性がある病気のひとつで、腟に起こる炎症の総称です。放置すると不妊の原因になったり、妊娠率を低下させたりする可能性があります。

この記事では、腟炎の症状や種類ごとの原因、治療法などについて詳しく解説します。

腟炎は不妊症の原因につながるため、早期の治療が必須

腟炎とは、腟内の粘膜に起こる炎症のことです。外陰部の炎症を伴うこともあります。
 
腟炎の原因は菌で、その種類は2種類に大別され、性交渉によって人から人へ感染する場合と、性交渉を含めた何らかのきっかけで常在菌のバランスが崩れて発症する場合があります。
 
性感染症に分類される腟炎には症状の原因となる特定の病原菌や微生物が存在しますが、常在菌が原因の腟炎には特定の病原菌はありません。

腟炎の症状

腟炎を早期発見・早期治療するには、症状を知っておくことが大切です。主な症状を見ていきましょう。

腟炎の主な症状

  • 黄色や灰色のおりものが増加する
  • 水っぽいおりものが増加する
  • おりものから悪臭がする
  • 外陰部にかゆみ、かぶれ、赤み、痛みが生じる(外陰炎)
  • 性交痛や、性交渉に伴う出血がある

通常、腟内は強い酸性に保たれ、体に良くない影響を及ぼす菌の繁殖を防ぐ「自浄作用」が働いています。そのため、自浄作用が追いつく範囲であれば腟炎が自然治癒することも少なくありません。

しかし、症状が続くにもかかわらず放っておくと、子宮内膜炎や子宮頚管炎、卵管炎、骨盤腹膜炎などを発症することがあります。
これらの疾患は、不妊や子宮外妊娠の原因になる卵管の閉塞や腹膜炎、卵管卵巣膿瘍といった合併症を引き起こす可能性があるため、下腹部痛、吐き気、発熱、性交痛、排尿痛、不正性器出血などが見られた場合はすみやかに医療機関を受診してください。

後述する細菌性腟症は、赤ちゃんを包む膜に炎症が起こる絨毛膜羊膜炎、子宮感染症、早産などの原因になるため、妊娠中も注意が必要です。

腟炎の種類と原因

腟炎は主に次の5種類に分けられます。それぞれの原因を解説します。

細菌性腟炎

細菌性腟炎は、女性の体に元々いる菌が性交渉によって腟内に侵入することで起こります。また、洗いすぎによって腟内の自浄作用が落ちて雑菌が増殖したりすることも原因となる場合もあります。

カンジダ腟炎

カンジダ腟炎は、免疫力の低下や、抗生物質の長期間服用などをきっかけに、人間の体を含めてあらゆる場所にいる真菌の「カンジダ・アルビカンス」が増殖することが原因です。罹患する可能性が非常に高い腟炎で、直接的な不妊の原因にはなりにくいものの、妊娠率が低下するといわれています。

トリコモナス腟炎

トリコモナス腟炎は腟トリコモナスという原虫による腟炎で、性感染症です。腟に侵入して長く潜伏することがあり、避妊具を使用しない性交渉が原因で感染が拡大します。

淋病性腟炎

淋病性腟炎は、淋菌による性感染症の淋病に感染することにより、腟や子宮頸管に起こる炎症です。子宮内膜炎や卵管炎、骨盤腹膜炎を発症すると下腹部痛や発熱の症状が表れます。骨盤内に炎症が広がると卵管周囲が癒着し、不妊の原因になります。

クラミジア子宮頸管炎

クラミジア子宮頸管炎は、子宮頚管に起こる炎症のうち、クラミジア・トラコマチス(クラミジア)という細菌によって起こる性感染症です。かかっても約75%の方には症状が出ず、気づかないうちに病状が広がる可能性があり、パートナーにも性交渉で感染します。子宮頸管から骨盤内に感染が広がるため、早期の治療が重要です。

腟炎の検査

前述した症状を自覚している場合や、パートナーが性感染症に感染していた場合には、婦人科や泌尿器科などのクリニックで検査をし、正しい診断・治療につなげることが大切です。

通常、腟炎の診断は、身体診察や内診、具体的な症状の発症時期などの問診などにもとづいて行われます。状態に応じて分泌物(おりもの)を採取し、細菌や真菌の増殖の有無を調べたり、細菌を培養して種類を特定したりし、正確な病名が判定されます。

腟炎の治療

検査の結果、病原菌が特定できたら、原因に応じた薬剤を使って治療を行います。
細菌性腟炎であれば、腟錠や経口薬による抗生剤の服用が一般的です。カンジダ腟炎では、経口薬や局所に使用するクリームなどで抗真菌薬が処方されます。トリコモナス腟炎は、抗寄生虫薬の経口での服用を基本として、クリームなどによる局所治療を併用することもあるでしょう。

いずれの場合も、医師に指示された服用期間と服用方法を守り、症状が緩和されても自己判断で服用をやめないことが大切です。再発を繰り返さないよう、完治するまで治療するようにしてください。
中でもクラミジア子宮頸管炎や淋病性腟炎は、抗生剤による治療を行った後に再び検査をし、陰性の結果が出て初めて完治となります。

自覚症状がある腟炎の多くは、腟の自浄作用が及ばない状態で、自然に回復することはありません。特に性感染症の場合は必ずパートナーもいっしょに受診して治療をするようにしてください。

腟炎を予防するためにできること

腟炎は一度発症すると何度も再発する場合があるため、予防に努めましょう。具体的な予防策は、次のとおりです。

免疫力をつける

免疫力の低下は、腟内の菌のバランスが崩れる大きな原因になります。心身をすこやかに保って妊活を進めるためにも、ストレスや疲れを溜めないようにしましょう。

抗生剤の服用は避ける

抗生剤は、おりものの中にいるカンジダ以外の細菌を死滅させ、カンジダだけを増やしてしまうことがあります。抗生剤は歯科治療などでも処方されますが、妊活中は事情を説明し、種類などを考慮してもらうと良いでしょう。

通気性の良い服装を心掛ける

局部が蒸れると、菌が繁殖しやすくなります。通気性の良い下着をはじめ、締め付けの少ない服装を心掛けてください。生理用品やおりものシートをこまめに変えることも大切です。

入浴やシャワー後はデリケート部分の乾燥を防ぐ

乾燥は腟炎の原因になります。入浴やシャワー後は、デリケートゾーンの乾燥を防ぐため、専用のクリームやオイルなどを使って保湿することをおすすめします。

外陰部を洗いすぎない

外陰部をきれいに保とうとして洗いすぎると、腟を酸性に保つために必要な常在菌まで洗い流してしまい、自浄作用が低下します。刺激が少ないデリケートゾーン専用のソープを使い、腟の外側だけを優しく洗うように心掛けてください。

もしかして腟炎かな?と思ったら、早期にクリニックで検査・治療をしましょう

腟炎の初期は、かゆみやおりものの増加といった比較的よくある症状が多く、自己判断で悪化させるケースが少なくありません。悪化すると大きな病気のほか、不妊や妊娠率の低下にもつながるため、妊活中の方で「おかしいな」と思ったら、お近くの婦人科で検査を受けて影響を低減しましょう。

膣炎が治り、コンディンションが整ったら妊活を始めることも可能です。にしたんARTクリニックでは、不妊治療にかかわる悩みやご質問に丁寧にお答えするカウンセリングを強化しています。お気軽にお問い合わせください。

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