不妊症
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男性不妊は、不妊の原因の約半数を占めるといわれています。「不妊は女性の問題」と捉えられることが多いかもしれませんが、男性側の健康状態やライフスタイルが、妊娠に大きく影響することがわかっているのです。
この記事では、男性不妊になりやすい人の特徴を解説し、不妊治療専門クリニックで行われる原因究明や治療法について詳しくお伝えします。不妊でお悩みの方や、これから治療を検討している方はぜひ参考にしてください。
不妊の原因は、男女それぞれに存在し、男性に起因する原因も半分あるとことがわかっています。不妊が疑われるご夫婦(カップル)は、「不妊=女性側の問題」と決めつけずに、お二人揃ってクリニックを受診することが重要です。
男性不妊になりやすいとされる主な特徴を下記で紹介します。不妊を疑っていて該当する項目がある場合は、早めに男性不妊の検査をご検討ください。
精子が含まれる精液の状態は、男性不妊の診断において非常に重要な要素です。精液の状態が正常でない場合、妊娠の可能性が低くなります。普段から次のような状態に該当する場合は、精子検査をご検討ください。
射精した精液量が1.5ml以下の場合は、精子の数が少ないといえます。精液量の平均は約3mLです。
精液の色が透明または薄すぎる場合、精子の濃度が低いかもしれません。通常、健康な精液は乳白色をしています。
精子を作る部位である睾丸の状態も、男性不妊を診断する上で重要なポイントです。睾丸の状態が正常でない場合、精子を作り出す精製や質に問題が生じる可能性があります。以下のような状態の人は注意が必要です。
思春期以降、睾丸が十分に発達していない場合、精子の精製能力に問題がある可能性があります。
睾丸が通常より柔らかい場合、精子を作る機能が低下していることがあります。
睾丸が通常の位置からずれている場合、精子の精製に影響を及ぼすことがあります。
陰嚢に静脈瘤(精索静脈瘤)がある場合、睾丸の温度が上昇し、精子の質が低下する可能性があります。
過去の病歴が原因で、精子を作る力に影響が及ぶ場合があります。以下のような病歴がある方は、男性不妊のリスクが高まる可能性があるため注意が必要です。
鼠径ヘルニアの手術によって、睾丸や精管が影響を受ける場合があります。
おたふく風邪などで高熱を経験し、その後睾丸が腫れたり痛みを感じたりしたことがある場合、精子の精製能力に問題がある可能性があります。
抗がん剤治療や放射線治療では、その過程で精子を作る機能にダメージを与えることがあり、男性不妊のリスクが高くなります。
停留睾丸は精子を精製する能力に影響を与える可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。
特別な病歴がなくても、日常的な生活習慣が男性不妊の原因となることがあります。特に睾丸に悪影響を与える次のような習慣がある方は、注意が必要です。
ぴったりとしたズボンや下着など、体に密着するタイトな衣服は睾丸を圧迫し、温度が上昇することで精子の質が低下する可能性があります。
サウナや長風呂といった高温環境は睾丸の温度を上げるため、精子の精製を妨げる要因となります。妊活中は控えてください。
なにげなく膝の上でノートパソコンを使うことがあるかもしれませんが、ノートパソコンの熱が睾丸を温め、精子の質に影響を与えることがあります。妊活中は注意してください。
火を使う環境で長時間調理をすることも、睾丸の温度が上昇する原因となります。
喫煙は活性酸素を増加させ、精子のDNAにダメージを与えることがわかっています。妊活中は禁煙しましょう。加熱式たばこや電子たばこも同様です。
上記のような生活習慣を見直すことで、不妊リスクを軽減できる場合があります。不妊でお悩みの方は、日々の行動を振り返ることも大切です。
男性不妊の原因はさまざまですが、その中でも疾患が原因となる場合があります。男性不妊の主な原因となる疾患は、次のとおりです。
造精機能障害とは、精巣や精巣上体に異常があり、精子を作る機能に支障がある状態を指します。男性不妊の原因の中で最も多く、全体の80〜90%を占めるといわれています。造精機能障害の場合、精子の通り道は確保されているため、造精機能を改善する手術を受ければ、妊娠は可能です。
この障害を引き起こす主な原因を、見ていきましょう。
睾丸や陰嚢の静脈が拡張し、血液の流れが悪くなることで精子の精製に影響を及ぼします。
幼少期に睾丸が正常な位置まで下降しない場合、精巣の温度が高くなり、精子の精製に悪影響を与えます。
おたふく風邪などの感染症による炎症が睾丸に影響を与え、精子を作る能力を低下させることがあります。
遺伝的要因が原因で精子がうまく作れない場合もあります。
精路通過障害とは、精巣で精子が作られているにもかかわらず、その通り道に問題があり、精子を外に出せない状態を指します。この障害の原因は以下の通りです。
鼠径ヘルニア手術や精巣上体炎の手術や炎症の影響により、精子の通り道が閉塞することがあります。
先天性の両側精管欠損とは、生まれつき精子を運ぶ精管が欠損、または閉塞しているケースを指します。
精路通過障害の場合、閉塞した通路を通す手術を行うか、睾丸から直接精子を取り出す手術が必要になります。この治療で、妊娠する可能性は高まるでしょう。
性機能障害は、勃起や射精の機能に問題があり、自然妊娠が難しい状態を指します。この障害には以下のような原因があります。
有効な勃起が起こらない場合、性行為自体が難しくなります。
勃起はするものの射精ができない、あるいは射精しても精液が膀胱内に逆流する逆行性射精が起こることがあります。射精障害は、糖尿病やその手術で生じやすいといわれています。
不妊治療に対するプレッシャーや不適切な自慰行為が、射精障害につながることもあります。
性機能障害は適切な指導や治療を受けることで改善が期待できます。カウンセリングやホルモン療法、必要に応じて人工授精や体外受精などの治療を併用することもあります。
男性不妊は、原因を正確に突き止めて適切な治療を行えば改善することが可能です。治療を通じて妊娠の可能性を高めることができます。ここでは、代表的な治療法について詳しく解説します。
薬物療法では、男性ホルモンの分泌を促す薬剤や、精子の状態を改善する薬が用いられます。特にホルモンバランスが崩れている場合に有効で、精子の数や運動率を向上させることを目的としています。
この治療法は即効性があるわけではなく、根気強く続けることが重要です。医師の指導のもとで治療を継続していけば、少しずつ改善が見られることがあります。
人工授精(AIH)は、男性の精子を採取して洗浄・濃縮し、女性の子宮内に直接注入する方法です。この方法は、女性側の体内で受精可能な場合に有効とされています。
ただし、精子の状態が著しく悪い場合は、精子が卵子と受精することが難しくなるため、人工授精では効果が得られないこともあります。その場合は、次に紹介する体外受精や顕微受精を検討することになります。
体外受精(IVF/ふりかけ法)や顕微受精(ICSI/イクシー)は、女性の卵巣から取り出した卵子と男性の精子を体外で受精させる方法です。受精卵(胚)ができた後、これを女性の子宮内に戻して妊娠を目指します。
体外受精とは、シャーレ上で卵子に精子をふりかけて受精を促す方法で、精子の運動率が一定以上ある場合に選択されます。
顕微授精とは、精子の運動率や数が低い場合、顕微鏡下で卵子の中に1個の精子を注入する方法です。この方法であれば、精子が1個あれば受精を目指すことが可能です。
これらの治療法は、高度な医療技術を用いるため費用がかかりますが、精子の状態に応じて柔軟に対応できるというメリットがあります。
不妊かどうかで不安に感じたら、男性も積極的に医療機関を受診することをおすすめします。不妊の原因の半分は男性に起因するとされているため、男性不妊が原因だった場合など、効率的に不妊の原因を特定可能です。
また、にしたんARTクリニックでは、男性向けのブライダルチェックを受けられます。ブライダルチェックに含まれる精液検査は、精子をご家庭で採取するか、院内で採取するかを選べます。
にしたんARTクリニックのブライダルチェックについては、こちらをご覧ください。
男性不妊だった場合、検査を受け、原因を早期に特定することで、適切な治療を始めることができます。精子の状態によって不妊治療の方法が異なるため、検査結果をもとに最適な方法を選べます。また、検査で得た情報をもとに、妊娠に向けた準備をスムーズに進められることもメリットです。
不妊の原因は、女性側にも男性側にも考えられるため、まずはご夫婦(カップル)でいっしょに検査を受け、今後の治療方針を固めましょう。妊活の第一歩としてブライダルチェックを受けることで、不妊リスクを把握できるだけでなく、妊娠に向けた準備がスムーズに進められます。男性不妊が疑われる場合は、専門クリニックを受診し、早期に治療を開始することが大切です。
男性不妊に関する悩みや不安をお一人で抱える必要はありません。にしたんARTクリニックでは、専門知識を持つ医師とスタッフが一人ひとりに寄り添いながらサポートしています。将来の妊活に備えたい方や、不安を解消したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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