妊娠初期に胸が張る理由とそのほかの体の変化と症状を詳しく解説

妊娠初期には、体内で急激な変化が起こります。その中でも、胸の張りや痛みはよく見られる症状のひとつです。これらは女性ホルモンの分泌が増加することによるもので、妊娠初期特有のサインといえます。

この記事では、不妊治療専門クリニックのにしたんARTクリニックが、女性ホルモンと胸の張りとの関係を詳しく解説するとともに、妊娠初期に起こるその他の体の変化や症状についてもわかりやすくお伝えします。妊娠初期の症状を知り、自分の体と向き合うための参考にしてください。

妊娠初期はホルモンの影響を受けて胸が張るなどの諸症状が起きる

妊娠初期には、ホルモンの変化によって胸が張り、痛みを感じることがあります。これらの症状は出産に向けて体が準備を始めているサインであり、多くの場合、妊娠が順調であることを示しています。ただし、症状の出方には個人差があり、胸の張りがまったくない方もいますので、あまり気にしすぎないことが大切です。

胸が張る原因

胸の張りが生じるのは、妊娠4～6週以降が一般的です。この時期から、出産と授乳に向けて胸が準備を始めます。原因は、体内でのホルモンバランスの急激な変化にあります。

妊娠すると、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といった女性ホルモンが増加します。これにより、乳腺が発達し、胸に張りや痛みを感じることがあります。

ただし、妊娠初期症状における胸の張り方や痛みの強さには、個人差があります。胸に変化を感じない場合でも、妊娠が順調でないというわけではありません。また、胸の違和感が急になくなったとしても、流産のサインとは限らないため、過剰に心配する必要はありません。

妊娠初期の胸の張り方

妊娠初期に感じる胸の違和感は人それぞれですが、次のような症状がよく見られます。

妊娠初期に現れる主な胸の変化

• 胸に張りや痛みが出る
• 乳首にかゆみや違和感がある
• 服がこすれるだけで痛い
• 乳輪に凸凹ができる
• 乳輪の色が濃くなる

いずれもホルモンの影響で生じる症状で、妊娠したときの自然な変化であり、出産と授乳の準備が進んでいる証拠です。

妊娠初期で胸が張る期間

胸の張りは妊娠4～6週以降から強くなることが多く、妊娠16週目頃まで続く方が多いでしょう。ただし、症状には個人差があり、妊娠中期や後期になっても張りを感じる方もいれば、早めに症状が落ち着く方もいます。

妊娠安定期に入る頃(妊娠16～20週頃)には、胸の張りはやわらぐでしょう。しかし、出産に向けて乳腺がさらに発達するため、再び違和感を覚えることもあります。

胸の張りが気になるときのケア

妊娠初期の胸の張りや痛みは、適切なケアを行うことでやわらげることができます。妊娠初期の胸の張りは、出産後に始まる授乳に向けた準備期間でもあります。この時期に胸をやさしくケアすることで、授乳時のトラブルを軽減できる可能性があります。自分に合った方法でケアを行い、快適な妊娠生活を送ってください。詳しいケア方法は、次のとおりです。

胸の張りのケア方法

• 下着や衣服をゆったりとしたサイズに変更しましょう。締め付けの少ないマタニティブラや、柔らかい素材の衣服を選ぶことで、痛みや違和感を軽減できます。
• 痛みが強い場合は冷たいタオルで冷やすと、炎症や痛みがやわらぐかもしれません。ただし、冷やしすぎには注意してください。
• 入浴時はやさしく泡で洗い、敏感になった胸や乳首を傷つけないよう、やさしくケアしてください。
• ときどき意識的に肩をまわすと、肩こりや血行不良を改善でき、胸の張りが楽になることがあります。
• 乳房全体を優しくマッサージすることで血流を促進し、張りを緩和できます。ただし、強い刺激を与えないように注意してください。

ほかにもある妊娠初期に体に表れるサイン

妊娠したときに最もわかりやすいサインは、月経が来ないことと高温期が続くことの2つです。ただし、それ以外にも妊娠初期には、さまざまな体の変化や症状が現れます。これらの症状は、ホルモンの変化や妊娠に向けた体の準備によるもので、起きるかどうか、また感じ方には個人差があります。

妊娠初期に表れるこれらのサインは、体が妊娠に適応するための自然な変化です。症状には個人差があり、まったく症状を感じない方もいますが、それも正常なことです。気になることがあれば、かかりつけの医師に相談しながら、安心して妊娠生活を送ってください。

以下で、代表的な妊娠初期のサインについて詳しく解説します。

着床出血やおりもの

妊娠初期に見られる特徴的なサインとして、着床出血やおりものの変化があります。

着床出血

受精卵が子宮内膜に着床する際に起きる少量の出血を指します。月経と区別がつきにくい場合もありますが、量が少なく、色はピンク色や茶色っぽいのが特徴です。通常、妊娠4週頃に見られることがありますが、必ず起きるわけではありません。

おりものの変化

妊娠初期になると、ホルモンの影響でおりものの量が増えることがあります。通常よりも粘り気がある場合もありますが、かゆみや異臭がない限り問題ありません。ただし、異常を感じた場合は医師に相談してください。

おなかの張りや痛み

妊娠初期には、おなかに張りや痛みを感じることがあります。妊娠して子宮が大きくなり始めることで、周囲の筋肉や靭帯に負担がかかるためです。下腹部がキリキリしたり、チクチクする感覚があったりする場合もあります。

痛みが強すぎたり、出血を伴ったりする場合は切迫流産の可能性もあるため、早めに医師に相談してください。

味覚や嗅覚の変化

妊娠初期には、味覚や嗅覚に変化を感じることもあります。普段食べていたものをおいしく感じなくなったり、酸味のある食べ物を好むようになったりすることがあるかもしれません。いわゆる「つわり」の一環として現れる場合もあります。

また、においに敏感になる方も多く、特定のにおいが気になる、または嫌いになることがあります。この症状も、ホルモンバランスの変化によるものです。

腰痛・頭痛

妊娠初期には、腰痛や頭痛といった症状が現れることも少なくありません。腰痛は、妊娠初期に分泌が増えるホルモン「リラキシン」が関節や靭帯を緩めるため、腰に負担がかかりやすくなるためです。また、子宮の変化による姿勢の変化が影響することもあります。

また、妊娠によるホルモンバランスの変化やつわりで頭痛がおこりやすくなることがあります。原因は様々ですが、痛みが強い場合は医師に相談してください。

イライラなど情緒不安定

妊娠初期はホルモンバランスの急激な変化により、感情が不安定になることがあります。突然イライラするほか、涙もろくなるなど、普段の自分とは違う感情の波を感じる方が多いでしょう。これらはホルモンの影響による一時的なものがほとんどです。

適度にリラックスする時間を作るほか、家族やパートナーと気持ちを共有し、感情の波をやわらげるようにしてください。

妊娠初期の注意ポイント

妊娠初期はまだ不安定な時期であり、流産の可能性が比較的高い時期です。また、赤ちゃんの成長にとっても非常に重要な時期です。この時期にできるだけ健康的な生活を心掛け、赤ちゃんが健やかに育つ環境を整えましょう。

おなかの赤ちゃんを守るため、次のポイントを意識して生活してください。

禁煙・禁酒を徹底する

妊娠がわかったら、禁煙と禁酒を徹底することが最優先です。たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素は、胎児の成長を妨げる可能性があり、低体重児や早産のリスクが高まります。

また、アルコールは胎児の発達に悪影響を及ぼし、胎児性アルコール症候群(FAS)の原因となることがあります。妊娠初期から徹底的に禁酒を心掛けましょう。

妊活中から禁煙・禁酒を実践することで、妊娠後の生活にもスムーズに移行できます。

市販薬は服用しない

妊娠中は、市販薬を安易に服用しないよう注意が必要です。

妊娠初期は胎児の重要な器官が形成される時期であり、市販薬に含まれる成分が赤ちゃんに悪影響を与えるかもしれません。例えば、解熱鎮痛薬や風邪薬の中には、妊婦に適さない成分が含まれている場合があります。

風邪や頭痛などでどうしても薬が必要な場合は、必ず医師や薬剤師に相談して、妊婦でも安全に使用できる薬を処方してもらいましょう。

激しい運動は控える

妊娠初期には、激しい運動や体に負担のかかる動きは控えることが重要です。無理な運動をすることで腹部に負担がかかり、流産のリスクを高める可能性があります。特に、ジャンプを繰り返すような運動や激しい衝撃を伴うスポーツは避けましょう。

一方で、ウォーキングや軽いヨガなどの適度な運動は、血流を促進し、ストレスを軽減する効果が期待できます。自分の体調と相談しながら、無理のない範囲で運動を取り入れてください。

カフェインを控える

妊娠初期は、カフェインの摂取量を控えることが大切です。カフェインは胎盤を通じて赤ちゃんに届くため、胎児の発達に影響を与える可能性があります。また、大量のカフェインは流産のリスクを高めるとの研究結果もあります。

1日あたり、カフェイン200mg(コーヒー約1～2杯程度)を超えないようにしましょう。カフェインが含まれるコーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどの飲み物やチョコレートなどの摂取量に気を配ることが大切です。

感染症にかからないよう注意する

妊娠初期は、感染症にかからないよう細心の注意を払う必要があります。

妊婦さんが感染症にかかると、胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、風疹やトキソプラズマ感染症などは胎児の発育に重大な影響を与えることがあります。

外出時は手洗いやうがいを徹底し、人混みを避けるようにしましょう。また、ペットを飼っている場合は、トキソプラズマ感染症を避けるため、猫のトイレ掃除などを他の家族に任せると安心です。

また、妊娠前に風疹の抗体検査を受け、不足している場合は予防接種を検討することをおすすめします。ただし、妊娠判明後は予防接種を受けられないことがあるため、医師に相談しましょう。

にしたんARTクリニックは不妊治療から妊娠成立まで、患者さまに寄り添った治療を目指しています

妊娠の確実な成立までは、不安や疑問が起こりやすいかもしれません。胸の張りや体の変化、妊娠初期の症状など、少しでも気になることがあれば、かかりつけのクリニックへの相談がおすすめです。
にしたんARTクリニックでは、不妊治療から妊娠成立まで、患者さま一人ひとりに寄り添ったサポートを心がけています。
不妊治療や妊活でお悩みの方は、にしたんARTクリニックをご検討ください。すべての院が駅チカで通いやすく、初めての不妊治療でも安心です。

この記事の監修者

にしたんARTクリニック
カウンセラー

松澤邦子

日本不妊カウンセリング学会認定 不妊カウンセラー。にしたんARTクリニックで、多くの患者さまのカウンセリングを担当。患者さまが安心して不妊治療を受けられる体制づくりに従事している。