学会参加レポート
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こんにちは。にしたんARTクリニック管理胚培養士の遠藤です。
少し前のことになりますが、5月31日に広島コンベンションホールで開催された第66回日本卵子学会に、発表および参加いたしましたので、その報告をいたします。
日本卵子学会は生殖補助医療胚培養士を認定する学会です。今年度も4月に試験が行われ、新たに139名の培養士が認定されました。今回の学術集会は全国より850名を超える医師、胚培養士が集まり、白熱した議論が繰り広げられました。
本学会は農学系の技術系研究者と産婦人科医の医療系研究者が運営している珍しい学会です。日々臨床にどっぷりつかっていると、斜め上からの農学系研究者の意見に驚きます。しかし多様な意見を考え、考えもしなかった側面の知識や理論を深め、そして医療知識技術の発展につなげなければいけません。
また、胚培養士を審査する大学の教授と一緒に会食する機会をいただき、アカデミアンが考える胚培養士の未来について熱く語っていただきました。
胚培養士は研究と臨床の架け橋をする職業だと思います。研究者が開発した新技術を臨床応用できるように発展させるために、今後も取り組んでいきたいと改めて思いました。
名古屋駅前院の胚培養士の鈴木さんと、私と、下記演題にてそれぞれ口演発表を行いました。
「03 遠心処理不要の膜構造を用いた精子調整用デバイスSwimCount™ Harvester によるcIVF/ICSI の胚培養成績」
発表者:鈴木万理 胚培養士
共同研究者:糟井翼 培養室長・増田 知之 医師・大本 政人 院長・遠藤 雄史 管理胚培養士
「04 遠心処理不要の膜構造を用いた精子調整用デバイスSwimCount™ Harvester を乏精子症患者に用いた時の胚培養成績」
発表者:遠藤 雄史 管理胚培養士
共同研究者:糟井翼 培養室長・鈴木万理 胚培養士・増田知之 医師・大本政人 院長
にしたんARTクリニックでは多くの院で膜構造を用いた精子調整用デバイス「ハーベスター」を使用しています。当方法は遠心処理不要で精子DNAダメージを軽減できることが分かっていますが臨床成績の報告はなく、今学会で初めて発表されました。
発表後には多くの質問があり、注目度の高さを感じました。日本の胚培養士たちはみんな切磋琢磨している仲間なので、質問にも互いに高めあいたい気持ちが伝わっていました。有意義なディスカッションができました。
膜構造を用いた精子選別術は、簡単に精子DNAダメージが少ない精子を回収できる方法であることはわかっていますが、受精率、胚盤胞到達率に差がない、正倍数性の胚盤胞が多くなると論文が多数発表されています。
対象患者の絞り込みや、より有効な方法の開発、精漿成分が本当に受精を阻害するのかどうかなど、未知な部分が多いです。新事実を突き止め、患者さまによりよい医療技術を提供できるよう今後も研究を続けてまいります。
今回の学会には全国のにしたんARTクリニックで働く多くの胚培養士が参加しました。所属する全ての胚培養士が参加したわけではありませんが、それぞれが多くの学びを得ることができ、とても有意義な時間となりました。
今回の学会で得た知見をそれぞれの拠点でも共有し、全国の患者さまにより良い技術をお届けできるよう、にしたんARTクリニックの胚培養士一同これからも精進していこうと思います。
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