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32歳に不妊治療は必要?妊娠率や妊娠したい方がいまできることを解説

32歳に不妊治療は必要?妊娠率や妊娠したい方がいまできることを解説

晩婚化が進み、初産年齢が上がっています。しかし、年齢を重ねると妊娠しづらくなり、30代以降は不妊治療をしても少しずつ妊娠率・生産率(赤ちゃんが元気に生まれる確率)が低下することも確かです。

日本産科婦人科学会の調査では、33歳からは徐々に生産率が下降していくことや、妊娠後の流産率も33歳を境に上昇することがわかっており、「32歳」は不妊治療の検討に適した年齢だといえるでしょう。

この記事では、32歳で不妊治療するべきか悩んでいる方に向け、具体的な治療のステップ、治療以外に取り組むべきことなどについて解説します。

32歳の方も、妊娠したいと思ったら不妊治療の検討を

女性の社会進出に伴って妊娠・出産の高齢化が進み、有名人の高齢出産が当たり前のように報じられる昨今、32歳は「まだ年を取っていない」と感じる方が多いかもしれません。

実際、2023年の日本の平均初産年齢は31.0歳で、30〜34歳で第1子を出産した人が33.7%を占めました。これは、25〜29歳の33.8%とほぼ同等です。晩産化が進んでいることがわかるでしょう。

※参照 公益財団法人生命保険文化センター「少子化が進んでいるのはなぜ?

妊娠するためには、年齢が若いということは非常に重要なファクターです。年齢を重ねると、子宮内膜を着床しやすい状態に整えたり、妊娠を維持したりする女性ホルモンが減少し始め、妊娠の可能性が確実に低下していきます。妊娠・出産を望む方にとって、32歳は必ずしも若いとはいえない年齢なのです。

また、妊娠のしやすさには個人差があり、平均初産年齢が上がっているからといって誰もが妊娠できるとは限りません。妊娠を希望する場合、「年を取っていないからまだ大丈夫」ではなく、「妊娠できる可能性が高いうちに確実に妊活する」意識を持つことが大切です。

32歳で不妊治療をした場合の妊娠率

日本産婦人科学会の2021年のデータによると、30〜32歳の女性が不妊治療をして妊娠できる確率は約46%です。20代の女性が不妊治療をした場合も48.6%の成功率であることから、30代前半までは治療によって妊娠に至る可能性が20代とほぼ変わらないことがわかります。

不妊治療の妊娠率と流産率(2021年)

※出典 公益社団法人日本産科婦人科学会「2021年体外受精・胚移植等の臨床実施成績」
※出典 公益社団法人日本産科婦人科学会「2021年体外受精・胚移植等の臨床実施成績

しかし、30代後半になると不妊治療による妊娠率は40%を切り、妊娠の難度はぐっと上がります。

また、一般的に35歳以上は高齢出産(経産婦で40歳以上の出産を指す場合もあり)に該当し、妊娠高血圧症候群などの合併症をはじめとした母体へのリスク、流産や染色体異常症など胎児へのリスクがともに上がることにも注意しなければなりません。

数歳の差で妊娠できるか、安全に出産できるかについては個人差が大きいため、不妊症かもと思う32歳の方は、なるべく早めに不妊治療を始めることをおすすめします。一定期間、避妊をせずに性交渉をしても妊娠に至らなければ、早い段階で不妊治療専門のクリニックに相談することを検討しましょう。

年齢を重ねるごとに妊娠率が下がる理由

不妊治療が進化し、排卵を誘発したり、採卵のタイミングをより精緻に推測したりすることが可能になり、体外受精(IVF/ふりかけ法)や顕微授精(ICSI/イクシー)などの生殖補助医療(ART)によって生まれる子どもの数は年々増加しています。

しかし、女性が年齢を重ねるごとに不妊治療が困難になり、妊娠率が低下することは変わりません。ここからは、なぜ女性の年齢が上がると妊娠率が下がるのか、その理由を整理しておきましょう。

卵子の数が減少し続けるから

卵子のもとになる原子卵胞の数は、女性が生まれる前、胎児の段階がピークです。女性は、卵巣の中に約200万個の原子卵胞を蓄えた状態で生まれてきます。原子卵胞が新たに作られることはありません。

卵巣内の卵胞数(卵子のもと)の推移のイメージ

毎月1回、排卵日になると約1,000個の卵子が消費され、そのうち1個だけが排卵に至ります。24時間以内に受精しなければ、排卵した卵子も体外に排出されるため、妊娠しないまま卵子の数だけが減っていくことになります。減少する数は個人差も大きく、30歳を過ぎて、いざ妊娠したいと思ったときには卵子がほぼ残っていないこともあり得るのです。

卵子の質が低下するから

卵巣にある卵子のもとである卵胞は、女性が胎児の段階で作られ、持って生まれたものです。精子と違って体内で新たに作られることはなく、さまざまなストレスにさらされながら排卵を待つため、卵巣の中に残されている時間が長いほど年齢の影響を受けて質が低下します。

卵胞の中にある卵子の質の低下は、流産を引き起こす染色体異常の原因になったり、受精後の受精卵(胚)の発生率を低下させたりして、妊娠を妨げる要因になります。卵子の質は30代から緩やかに低下するといわれており、32歳はまさにその影響を受け始める時期だといえます。

卵子の老化イメージ

32歳から考える不妊治療

不妊治療は、年齢が大きく関わるため、少しでも若いうちに始めることが大切です。32歳からの不妊治療は、決して早すぎることはありません。

不妊治療には4つのステップがあり、検査結果に応じてどこから始めるかを決定します。にしたんARTクリニックでは、どの治療から始める場合も、カウンセリングや詳細な初期検査を受けた上で、患者さまのご希望と医師の判断を交えて、慎重に治療内容は決定されます。

ここからは、具体的な治療の流れを見ていきましょう。

不妊治療の4つのステップ

タイミング法(タイミング指導)

検査の結果、男女ともに明らかな不妊の原因がなく、女性に排卵が見られる場合は、まずはタイミング法から始めるのが一般的です。

医療的見地にもとづいた詳しい検査で排卵日を正確に把握し、最も妊娠しやすいタイミングに性交渉を持つよう指導します。体内で卵子と精子が受精する仕組みは、自然妊娠と変わりありません。医療介入が検査と指導のみで、心身の負担も経済的な負担も抑えられます。

人工授精(AIH)

タイミング法で妊娠が成立しなかった場合、次のステップとして人工授精を試みます。

人工授精は、妊娠の可能性が高い日を狙い、採精後に胚培養士が洗浄・濃縮して質を高めた精子を、カテーテルで子宮内に注入する方法です。自然妊娠では、精子は卵子に出会うために腟から卵管まで泳いでたどり着く必要がありますが、人工授精ではその距離が短縮され、受精の確率を高めます。精子が子宮に到達し、内部に入り込んで受精するかは自然に任されているため、医療介入レベルは低めです。

体外受精

タイミング法や人工授精などの一般不妊治療で妊娠に至らない場合、生殖補助医療(ART)である体外受精に進みます。

体外受精は、十分に成長した卵子を採卵手術により取り出して、採精した精子をシャーレ上でふりかけ、培養器で受精卵(胚)にまで育ててから、子宮に戻す方法です。精子は、自分の力で卵子の中に入り込む必要があります。2022年4月から保険適用になり、以前よりも経済的に挑戦しやすくなりました。

顕微授精

顕微授精も生殖補助医療(ART)のひとつで、体外受精で妊娠しなかった場合に選択されることが多い方法です。採精した精液の中から胚培養士が質の良い精子を選別し、顕微鏡下で細いガラス管を使って卵子1個の中に精子1個を注入し、受精を促します。

にしたんARTクリニックでは、患者さまの状態やご希望に応じて、体外受精や顕微授精から不妊治療を進めることも可能です。検査をして検討した上で、患者さまといっしょに治療は進められますのでご安心ください。

未婚女性の場合は卵子凍結も選択肢のひとつ

32歳で未婚の方が、将来のために妊活をしたい場合、卵子凍結はひとつの選択肢です。卵子凍結とは、将来の妊娠・出産に備えて、現在の若いうちの質の良い卵子を採取し、凍結して保存しておく方法をいいます。

卵子凍結は将来の妊娠を保証するものではありません。しかし、年齢を重ねた後よりも妊娠しやすい32歳の卵子を凍結保存すれば、卵子の質の低下を防ぎ、将来的な妊娠率の向上を望むことが可能です。

「32歳になるのを機に不妊治療を始めたいが、仕事が多忙で今すぐ妊娠・出産は考えられない」「今はパートナーがいないけれど、32歳のうちに元気な卵子を残しておきたい」といった未婚の女性には、卵子凍結が有効な方法だといえます。

なお、すでに結婚している方で医学的適応がある場合以外には卵子凍結は適用されず、通常の不妊治療が推奨されます。

卵子凍結については、こちらのページをご覧ください。
卵子凍結とは?メリット・デメリットや流れまで徹底解説

妊娠を希望する32歳の方が今できること

32歳は、妊娠・出産に向けて積極的に動き出すことが望ましい時期です。具体的には、下記のような行動をおすすめします。

ご夫婦(カップル)で妊娠・出産について話し合う

妊活の成功には、ご夫婦(パートナー)おふたりで取り組むことが不可欠です。妊娠・出産を希望するか否か、赤ちゃんを希望する場合はいつ頃を考えているか、不妊治療にはどのように取り組みたいか、それぞれの素直な気持ちでよく話し合い、意見を統一しましょう。

不妊治療専門クリニックを探す

妊活に、不妊治療専門クリニックは非常に有用です。自然妊娠を望んでいる方も、生殖にかかわる検査を受けることができ、妊活に関するアドバイスを受けられるほか、ご自身の状況を理解することができます。自宅や職場から通いやすく、信頼できる不妊治療専門クリニックを探しておきましょう。早期に無料カウンセリングなどを利用し、実際にクリニックに足を運んだ上で、クリニックを選ぶことをおすすめします。すぐに通わなくても、いざというときに迷わずに済みます。

全国にあるにしたんARTクリニックは、すべての院が駅近くにあり、平日は22時まで診療しているので、通院しやすさも魅力のひとつです。ご相談やカウンセリングだけでも、お気軽にご予約ください。

ブライダルチェックを受ける

ブライダルチェックは未婚・既婚を問わず、妊娠・出産に関わる病気の有無を調べることができる身体検査を指します。将来に備えて、自分の体の状態を客観的に把握しておきましょう。もしも疾患や問題が見つかった場合も、早期に治療に移ることができます。にしたんARTクリニックでは、女性向けに3コース、男性向けに1コースのブライダルチェックをご用意しています。

ブライダルチェックについては、次のページをご覧ください。
ブライダルチェックはいつ受ける?受診タイミングや検査項目を解説

生活習慣の改善に取り組む

妊娠・出産を希望するなら、妊娠しやすい体づくりは欠かせません。男性・女性ともに、妊活に適した生活習慣の改善に取り組みましょう。具体的な方法は、下記のとおりです。

禁煙する

喫煙は卵子・精子の質を低下させます。妊活を始めたら、男女ともに禁煙してください。電子タバコも従来のタバコと同様に有害物質を含んでおり、精子や卵子の質に悪影響を及ぼす可能性があるため、同じく禁煙が推奨されます。

タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素、その他の化学物質は、血流を悪化させることで生殖器官の機能を低下させるだけでなく、DNA損傷を引き起こすリスクもあります。副流煙(受動喫煙)も妊活中のパートナーに悪影響を及ぼすため、家庭内での禁煙環境づくりも重要です。

節酒・禁酒する

過度な飲酒は、生殖機能に影響を及ぼす可能性があります。アルコールは適度に楽しみましょう。適度な飲酒の目安は個人差がありますが、一般的には以下のようになります。

<適度な飲酒の目安>

・男性:1日あたり20g程度(ビール中瓶1本、日本酒1合、ワイングラス2杯程度)
・女性:1日あたり10g程度(上記の半分程度)

ただし、これはあくまで一般的な目安であり、個人の体質や健康状態によって適量は異なります。また、週に2〜3日は休肝日を設けることも重要です。

バランスの取れた食事を心掛ける

食生活は体作りの基本です。多様な食材から、バランスよく栄養素を摂ることを心掛けましょう。毎日3食、さまざまな食材を取り入れて栄養バランスの整った食事がおすすめです。ジャンクフードや加工品は、栄養の偏りや生活習慣病のリスクが心配なので、できるだけ避けてください。

適度に運動する

1日30分程度の運動は、肥満の解消や血流改善などにつながり、妊娠率の向上に有効だといわれています。女性の場合、温活で冷えを改善することも、子宮や卵巣の機能を正常化させるのに役立ちます。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理なく続けられる運動を日常生活に取り入れ、体を温める習慣を意識しましょう。

また、運動はリラックスの軽減にもつながります。適度な運動を習慣化することで、効果が得られ、精神的な安定を心がけることができます。

ストレスを軽減させる

ストレスは、私たちの心身にさまざまな影響を及ぼします。特に、長期間にわたって強いストレスを感じ続けると、自律神経が乱れ、ホルモンバランスの崩れにつながることがあります。

ストレスを軽減するためには、自分に合ったリラックス方法を見つけ、日常生活の中で意識的に取り入れることが大切です。例えば、趣味の時間を持つ、好きな音楽を聴く、アロマセラピーを活用する、入浴時間を長めにとるなど、リラックスできる方法は人それぞれ異なります。また、適度な運動や深呼吸、瞑想などもストレス軽減に効果的です。

ストレスを溜め込まず、自分に合った方法でこまめに解消することが、健康的な体づくりや妊娠しやすい体質づくりにつながります。

質の良い睡眠をとる

質の良い睡眠は、男女ともに生殖機能を最適な状態に保つために欠かせません。女性の場合、適切な睡眠は卵巣機能や月経周期の正常化に寄与し、男性の場合は精子の質や量の向上につながります。個人差はありますが、一般的に7〜9時間は睡眠できるよう、寝室の環境を整えましょう。

寝室の温度は18〜22℃程度に保つことが理想的で、湿度は40〜60%が快適な範囲です。乾燥しすぎると喉や鼻の粘膜が乾燥し、睡眠の質が低下する可能性があります。また、間接照明などを使い、できるだけ暗い環境を作りましょう。必要に応じてアイマスクの使用も検討してください。

32歳になったらにしたんARTクリニックで検査や不妊治療を受けましょう

32歳は不妊治療を開始するのに適した年齢です。また、32歳の不妊治療デビューは決して早すぎることはありません。30歳以降は妊娠率・生産率が低下するため、妊活を始める際は不妊治療専門のクリニックへご相談ください。不妊の原因はないか詳しい検査を受ければ、おふたりに合った妊活方法もわかるかもしれません。

全国にあるにしたんARTクリニックでは、各年代にあった妊活を応援しています。まずはブライダルチェックやカウンセリングから、不妊治療を始めてみませんか?お気軽にご相談ください。

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