学会参加レポート

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3社共催セミナー 基調講演「“いま”を知って、“未来”を選ぶ」講演レポート

3社共催セミナー 基調講演「“いま”を知って、“未来”を選ぶ」講演レポート

2025年7月27日(日)、東京の竹芝にて、アスノシステム株式会社(東京都港区/代表取締役社長 齋藤 武育)、株式会社東洋システムサイエンス(神奈川県横浜市/代表取締役 舘沼 康介)、株式会社ソルビス(東京都世田谷区/代表取締役社長 玉村 優佳)の、3社による共催セミナー「女性の健康課題×キャリア~リアルな体験から学ぶ働き方とウェルビーイングを考える~」が開催されました。
基調講演や体験談セッションを通じた情報の提供や、参加者同士で交流を図り、自分自身のことを振り返るプログラムなどが実施されました。

そちらで、にしたんARTクリニックのカウンセラーが基調講演を行いましたので、講演の内容をレポートいたします。

女性ホルモンと心身の変化

女性の身体は、ライフステージごとに大きく変化します。思春期、性成熟期、更年期、老年期と、それぞれの段階で特有のホルモン変動があり、それに伴って心や身体の状態も移り変わっていきます。
妊娠や出産だけでなく、心の安定や美容、生活習慣病の予防に至るまで、女性ホルモンは重要な役割を担っています。だからこそ、自分の身体の状態を「いま」知っておくことが、将来に向けた選択肢を増やす第一歩になります。

女性ホルモンの働き

女性の体調や心のバランスに大きな影響を与えているのが、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」です。
この2つのホルモンは、初潮から閉経までの長い期間、月経周期をコントロールしながら、妊娠や出産の準備を支えています。また、骨の健康、血管の柔軟性、肌のハリや潤いなど、美容や加齢にも密接に関わっています。

女性ホルモンの働き

エストロゲン・子宮内膜を増殖させて妊娠の準備をする
・乳房を発達させて女性らしい体をつくる
・自律神経を安定させる
・骨量を保持する
・コレステロールのバランスを整える
・肌のつややハリを保つ
プロゲステロン・妊娠の成立に向けて、子宮の働きを調整する
・乳腺の発達を促す
・体温を上げる
・食欲を増進させる
・体内に水分をキープする
・眠くなる
・イライラしやすくなるなど、気分を不安定にする
引用:女性は一生にわたって女性ホルモンに影響を受ける?! | 女性特有の健康課題 | 働く女性の心とからだの応援サイト

年代別に変化する女性の健康課題

資料にあるように、女性は年代に応じて心と身体にさまざまな変化を経験します。

  • 成熟期(18歳〜40代前半):妊娠・出産、月経トラブル、不妊症、子宮がん・乳がんなどが主な健康課題です。
  • 更年期以降(40代後半〜):更年期障害、骨粗しょう症、うつ、生活習慣病、尿漏れなどが現れてきます。

こうした症状は、単なる「加齢」や「体質」と捉えられがちですが、ホルモンバランスの変動が原因である場合も多く、早期の対応が大切です。

年代別の健康問題 症状や病気

20~30代月経月経困難症・月経前困難症・月経不順・無月経・月経前症候群(PMS)
子宮子宮内膜症・子宮筋腫
その他貧血
40代月経月経困難症・月経前困難症・月経不順・無月経・月経前症候群(PMS)
子宮子宮内膜症・子宮筋腫
がん卵巣がん・子宮体がん・乳がん
50代更年期うつ・皮膚の乾燥
生活習慣病糖尿病・脂質異常症・高血圧・動脈硬化
泌尿器尿漏れ

月経トラブル

こんな症状がまんしていませんか?

・月経困難症 ・月経不順 ・無月経
・月経過多  ・不正出血 ・貧血
・頭痛    ・不眠   ・月経前症候群(PMS)

下記のような方は、
「寝込んでしまうほどの月経痛(痛み止めの薬が効かない)」
「痛みが以前に比べ増している」
「子宮筋腫」「子宮内膜症」「子宮がん」といった疾患が潜んでいる可能性もあり、不妊に繋がる恐れがあります。
放置せず、婦人科での相談・検査を受けることが、将来の健康と妊娠に向けた備えになります。

低用量ピルという選択肢

経口避妊薬として知られる低用量ピルですが、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン類似物質)を主成分とする薬剤なので、毎日1錠の服用によって、ホルモンバランスを整え、月経周期の調整、月経困難症や月経前症候群(PMS)の症状緩和などの効果が期待できます。医療機関の診療またはオンライン診療にて処方されます。

女性に多い健康課題:むくみ・冷え性・貧血

女性に多くみられる不調としてよく挙げられるのが、「むくみ」「冷え性」「貧血」です。これらの症状は慢性的になりやすく、“なんとなくつらい”という体調不良の原因にもなり得ます。むくみや冷え性、貧血などの原因と対策をご紹介します。

むくみ・冷え性

原因
  • ホルモンバランスの変化(月経前・更年期)
  • 長時間の同じ姿勢や運動不足
  • 塩分の多い食事や水分不足
  • ストレスや自律神経の乱れ
  • 筋肉量の少なさ、低血圧
対策
  • 軽い運動やストレッチ、湯船につかる入浴
  • 身体を冷やさない服装(腹巻、レッグウォーマーの活用)
  • 十分な睡眠とストレスケア

貧血

原因
  • 月経による鉄分の喪失
  • 妊娠中は胎児の成長に必要な鉄分を供給するため
  • 授乳期に母乳から鉄分が移行するため
  • 偏った食事やダイエットによる鉄分不足
対策
  • 鉄分を多く含む食品を意識的に摂取する(レバー、赤身肉、魚、ほうれん草、ひじきなど)
  • 鉄分の吸収を助けるビタミンCを一緒に摂取する
  • 医師に相談の上、鉄剤やサプリメントを摂取する

更年期症状との向き合い方

更年期とは、女性のライフステージの一つで、閉経をはさんだ前後の時期を指します。一般的には45歳から55歳頃にあたり、卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌が大きく減少することで様々な変化が現れます。症状の現れ方は個人差が大きいですが、「体・心・社会的役割」など変化が重なる時期でもあります。

代表的な更年期症状には以下が挙げられます。症状と改善策をまとめました。

体の症状

ほてり・発汗(ホットフラッシュ)
  • カフェイン、アルコールを控える
  • 深呼吸やストレッチでリラックス
疲れやすい・だるい
  • 鉄分/ビタミンD、B群を意識したバランスの良い食事
  • ビタミンD:鮭・卵・きのこ類、ビタミンB群:レバー・赤身肉・玄米
肩こり・関節痛
  • 湯船につかる習慣
  • 適度な運動(ヨガ・ストレッチ)による冷え対策と筋力維持

心の症状

イライラ・気分の落ち込み
  • 軽い運動やウォーキング、趣味で気分転換
  • カウンセリングや婦人科相談
不眠・寝つきが悪い
  • 就寝前のスマホを控える
  • アロマや入浴でリラックス

健康課題と上手につきあうには?

女性の身体は、思春期・性成熟期・更年期とライフステージによって健康課題が変わります。ご自身の身体のことを知って、定期的に検査を受けることが大切です。そのために、信頼できる婦人科の“かかりつけ医”を見つける際のポイントを紹介します。

かかりつけ医を見つける際の3つのポイント

1.話しやすさ

気軽に相談できる雰囲気の医療機関かどうか

2.通いやすさ

自分のライフスタイルに合った診療時間・アクセス条件かどうか

3.先生との相性

性格や相性も考え気持ちの上で無理なく通えるかどうか

年齢や症状にかかわらず、「予防」の視点で婦人科を活用することが、将来の健康を守るカギとなります。

不妊症とは?

不妊症とは、妊娠を希望する健康な男女が、避妊をせずに1年間性交渉を継続していても、妊娠に至らない状態を指します。
日本では、現在4.4組に1組の夫婦が不妊の悩みを抱えているとされており、決して特殊なことではありません。

不妊の原因は男女双方に

不妊症というと「女性側の問題」と捉えられがちですが、実際には男女どちらにも原因がある場合が多く、その割合はほぼ半々とも言われています。

女性側の不妊の原因

女性の不妊原因として代表的なものを紹介します。

排卵因子

排卵そのものがうまく起こらない、またはホルモン分泌に異常がある状態

  • PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
  • 卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌低下
  • 黄体機能不全
  • 高プロラクチン血症
  • 甲状腺疾患

卵管因子

排卵されても、卵管が詰まっていたり狭くなっていると、精子と卵子が出会えない状態

  • 卵管閉塞
  • 卵管狭窄
  • クラミジア感染後の癒着 など

その他の因子

  • 子宮因子(子宮筋腫、子宮内膜ポリープ)
  • 頸管因子
  • 子宮内膜症
  • 免疫因子(抗精子抗体など)
  • 機能性不全(原因不明不妊)

未来のために“いま”を知る

プレコンセプションケアとは?

プレコンセプションケアとは、将来の妊娠や健康に備えて、妊娠前から生活や身体の状態を整えることです。妊娠をすぐに望んでいるかどうかに関係なく、自分の身体と向き合うことが大切です。

引用:国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センターのWEBサイトに掲載されているプレコンセプションケアのチェックシートのように、生活習慣や月経の状態、ストレス、体重管理など、さまざまな観点から自身を見直すことが、将来の妊娠の可能性や健康維持につながります。

どのくらい卵子が残っているかがわかるAMH検査

ライフプランを立てるための指標として役立つのがAMH値です。AMH(抗ミュラー菅ホルモン)は、発育途中の卵胞から分泌されるホルモンのことで、その値を調べると、卵巣の中に残っている卵子の数を推測することができます。
卵子は生まれてから必ず減少していき、30代後半から減少のスピードは加速していきます。AMH検査を受け現在の数値を測ることで、すぐに妊娠の予定がないとしても、体のタイムリミットを考慮しつつ、ライフプランを立てるための指標として役立てられます。

人生の選択肢は最大限に、『諦める』という選択肢は最小限に

ライフスタイルの変化によって晩婚化が進む現代において、男女とも妊娠適齢期(20~30代中盤)に思うように子どもを授かることは難しい現状がありますが、ご本人とパートナーがともに納得のいく決断をするためにも、「いまの自分の状態」を知っておくことは大切なことといえます。
人生の選択肢を最大限にし、『諦める』という選択肢は最小限にするために、「仕事」と「生活」の両立に向けた取り組みをしてみてはいかがでしょうか。

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