保険適用
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妊娠を希望しているのになかなか授からない場合に、その原因に合わせて行うのが「不妊治療」です。不妊治療を検討する際、治療の進め方や回数・年齢制限などについて理解しておくと、安心して治療にのぞむことができます。
また、保険適用内でどのような治療が可能なのかも把握しておきたいところです。本記事では、にしたんARTクリニックで行う不妊治療の種類や治療の流れのほか、治療開始のタイミングについて解説します。
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不妊の定義と要因不妊治療の種類不妊治療を始めるタイミング不妊治療の保険適用の範囲と自費診療自治体の助成金制度の活用でさらなる負担減自治体独自の不妊治療に関する支援事業不妊治療の種類や保険適用範囲を知って治療計画を立てよう不妊とは、男女が性交渉をもっているにもかかわらず、1年間妊娠しない状態のことを指します。
不妊の要因としては、女性の場合は卵子の老化、排卵障害、卵管の詰まりや卵管周囲の癒着、子宮の疾患、着床不良など。男性の場合は性機能障害や精子数の減少、精子の運動率の低下などが考えられます。 とはいえ、要因不明の場合もあり、解明されていない部分もあるのが現状です。
不妊の要因を見つけるための検査は、女性と男性それぞれが行います。にしたんARTクリニックでの検査内容としては、次のようなものがあります。
一般的な検査としては、ホルモン検査・超音波検査・卵管造影検査があります。また、着床不全が疑われる場合は、さらに一歩踏み込んだ検査として、血液凝固系検査や免疫検査、子宮鏡検査、ERA(子宮内膜着床能検査)、EMMA・ALICE(子宮内細菌叢検査)を行うこともあります。
男性の場合は、精子検査と感染症検査が基本の検査として行われます。
不妊治療は、医師による問診や検査で妊娠しにくい要因が見つかった場合に行い、妊娠・出産を目指すというものです。
例えば、排卵がうまくできていなければ薬を使って排卵を促したり、ホルモンの分泌が十分でなければ足りない分を薬で補ったりするのも、不妊治療の一環です。
検査をしても特に不妊の要因が見つからない場合は、妊娠の可能性を高めるための治療を行います。
不妊治療を行うとなると、医師から治療の流れや不妊治療の内容、料金などに関して説明を受けます。
一般的な不妊治療は、多くの場合、体への負担が少ない「タイミング法」からスタートし、「人工授精(AIH)」「体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)」へとステップアップしていきます。検査による不妊の要因次第で、どのステップから治療を開始するか患者さまの意見を聞きながら医師が決めていきます。
ここでは、各種不妊治療の内容と流れについて、詳しく見ていきましょう。
タイミング法は、不妊治療のベースとなる治療です。妊娠しやすい排卵日を予測して、その日にタイミングを合わせて性交渉を行う方法となります。より正確に排卵日を予測し、タイミングを合わせるだけで妊娠するカップルは少なくありません。
タイミング法の対象となるのは、卵管に異常がない女性と、精子の数や運動率に異常がない男性などで、治療期間の目安は3~6ヵ月です。
排卵は、卵胞が直径20mm前後に成長した頃に起こります。女性は超音波検査を数回受けて、卵胞の大きさを計測したり、尿中LH(黄体形成ホルモン)を検出する排卵検査キットを併用したりすることで、医師が排卵日を予測・特定します。この排卵日に合わせて性交渉のタイミングも指導されます。
性交渉後に、超音波検査で排卵の有無を調べます。また、子宮内を着床しやすい状態に整える黄体ホルモンの分泌状態も調べて、足りない場合には薬で補充します。
月経予定日を過ぎたら、尿検査や内診、超音波検査などを行い、妊娠が成立しているかどうかを確認します。検査で陽性の判定が出たら妊娠の成立となります。
タイミング法の詳細をみる人工授精とは、排卵の時期に合わせて精液を採取して院内で処理した後、子宮内に注入する方法です。
対象となる人は、軽度の排卵傷害がある女性と、精子に若干の問題がある男性などです。治療期間の目安は、3~6ヵ月となります。
排卵検査を行って排卵日を予測した後、排卵予定日にカップルで来院します。病院で精液を採取して処置した後に、専用の注射器で精子を子宮内へ注入します。
予測した排卵日の後に超音波検査を行い、排卵が正常に起こったか、プロゲステロン(黄体ホルモン)が正常に分泌されているかどうかを確認します。
月経予定日を過ぎたら、妊娠が成立したかどうかを超音波検査や尿検査、内診などで判定します。検査で陽性の判定が出たら妊娠の成立となります。
人工授精の詳細をみる体外受精や顕微授精は、手術で卵子を採取し、体外で精子と受精させた後に子宮へ戻す方法です。
一般的な不妊治療の中では、最も妊娠の可能性が高い治療法といわれています。厚生労働省の発表によると、2017年には体外受精での妊娠率は23.11% 、顕微授精での妊娠率は20.29%となりました。
体外受精や顕微授精の対象となる人は、排卵に問題がある、卵管が狭いまたはふさがっている、頸管因子がある、高齢といった条件にあてはまる女性と、精子所見が良くない男性などです。治療期間の目安は6~24ヵ月となります。
質の良い卵子を育てるために排卵誘発剤を用います。状況に応じて体への負担が抑えられる、低刺激タイプを使用することもあります。
卵子が育ったら、卵巣から卵子を採取します(採卵)。採卵後は精液を採取し(採精)、その中から運動性の高い精子を選びます。
体外受精の場合は卵子に精子を振りかけ(媒精)、顕微授精の場合は精子を卵子の細胞質の中に注入して、それぞれ受精させます。
受精が起こると、細胞分裂が始まります。2~6日かけて4~8分割胚、または胚盤胞と呼ばれる状態になるまで胚を培養します。
4~8分割胚になったら、良質な胚を選んで子宮内へ移植します。状況に応じて、胚盤胞と呼ばれる状態になったものを移植する場合もあります。
胚を移植してから2週間が過ぎたら、妊娠が成立したかどうか、検査を行って判定します。検査は、時期に応じて血液検査や超音波検査のいずれかを実施します。陽性の判定が出たら、妊娠成立です。
なかなか妊娠に至らず、不妊治療を受けるべきなのか、またどんなタイミングで不妊治療を受ければいいのか迷ってしまう方も多いことでしょう。
不妊治療を始めるタイミングについて、明確な基準はありませんが、初めて受診するタイミングとして向いているのは「なかなか妊娠できない」「不妊かもしれない」と感じたときといえます。
不妊治療にかかる期間は、不妊の要因や治療内容、年齢などによって個人差があります。場合によっては長期にわたる治療が必要となるため、不妊治療はできるだけ早く始めるに越したことはないのです。
病気や年齢など、不妊について不安や悩みがある場合は、なるべく早めに医師へ相談することをおすすめします。
また、にしたんARTクリニックでは無料カウンセリングを実施しています。カウンセラーとお話しいただき病院選びの参考にするのも良いかもしれません。
不妊治療には、保険適用と自費診療があります。2022年4月から保険適用となった範囲や、自費診療ではどのような治療が可能なのかを見ていきましょう
日本生殖医学会のガイドラインなどで有効性・安全性が確認された不妊治療については、保険が適用されます。保険適用となる治療の種類は次のとおりです。
なお、不妊治療の保険適用には、年齢制限と回数制限が設けられている点に留意しなければなりません。
また、生殖補助医療(ART)のうち、上記に加えて実施されることのある「オプション治療」については、保険適用されたもののほかに、「先進医療」として保険診療と併用できるものがあります。 先進医療とは、保険外の先進的な医療技術として認められたもので、保険診療と組み合わせて実施することが可能です。
不妊治療は、保険適用に加えて高額療養費制度も利用することができます。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局で支払った治療費が、1ヵ月の上限額を超えた場合に超過分の金額が支給されるというものです。
保険が適用されても、不妊治療内容や回数によっては費用が膨らんでしまうことがあります。高額療養費制度があることで、こうした不妊治療のハードルが引き下げられるのです。 なお、高額療養費制度の上限額は、年齢や所得によって異なります。
生殖補助医療(ART)における高額療養費制度・民間の医療保険について
自費診療によって、不妊治療の選択肢は広がっています。にしたんARTクリニックでは体外受精や顕微授精の治療自体は保険が適用されますが、体外受精の採卵時に排卵を誘発する「高刺激法」を選択すると、その分は自費診療となります。このように、より妊娠の可能性を探ることができる治療を選択することも可能です。
にしたんARTクリニックでは高刺激法はもちろん、「SEET法(子宮内膜刺激胚移植法)」や疾患・損傷の修復や新たな細胞の成長を目指す「PFC-FD」や「卵子凍結」といった自費診療を行っています。
通常、保険が適用される治療は7割が公費負担、3割が自己負担となります。保険が適用されない先進医療にかかる費用については、10割が自己負担です。
しかし、自治体によっては助成金制度を用意しており、この制度を利用することで、本来なら10割自己負担だった先進医療のうち、7割を公費に負担してもらうことも可能となります。
助成金の対象となる先進医療は、保険適用の治療と併行して行ったものが対象となります。保険適用されない周期に先進医療を行った場合は、助成金の対象外となるため注意が必要です。
ここでは、助成金の対象となる先進医療を、東京都を例に挙げます。東京都の場合、下記の9つの先進医療が対象となっています。自治体によって対象となる先進医療は異なる場合があるので、確認しておきましょう。
助成金の対象となるには、条件が設けられているケースが多くあります。東京都の助成金対象者の条件は下記のとおりです。 助成金対象者も、自治体によって異なる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
※所得制限はなし
東京都の場合、助成金は1回の治療のうち先進医療にかかった費用の7割までで、上限は1回あたり15万円となっています。
例えば、1回の不妊治療の中で行った先進医療の合計額が10万円のとき、助成金は7万円となります。
また、1回の不妊治療の中で行った先進医療の合計額が30万円の場合、計算すると21万円となりますが、助成金として受け取れるのは、上限額となる15万円です。
助成回数の上限は、「治療開始日の妻の年齢」によって、次のように定められています。
年齢 | 階数 |
---|---|
治療開始日の妻の年齢が40歳未満 | 上限6回 |
治療開始日の妻の年齢が40歳以上43歳未満 | 上限3回 |
なお、助成回数は、胚移植の回数でカウントされます。例えば、凍結胚ができるまで複数回採卵した場合は、すべてを合算して申請することとなります。
同様に、複数回採卵しても胚移植が成功しなかった場合は、医師の判断により、1回分として助成の申請をすることが可能です。
助成金の申請期限は、1回の治療が終了した日の年度末までです。
例えば、2023年10月1日に治療が終了した場合は、2024年3月31日が申請期限となります。ただし、治療終了が1月から3月末までの場合は、同年6月30日が締め切りとなるのでご注意ください。
なお、助成の申請をする際には、下記の書類を準備しましょう。
不妊治療に関する支援事業は、全国のさまざまな自治体で行われています。ここでは、支援事業の事例をいくつかご紹介します。
東京都文京区では「文京区不妊治療費(先進医療)助成事業」として、次のような不妊治療に対する助成が行われています。
治療内容 | 助成金 |
---|---|
保険適用治療と併せて行われる先進医療 | 治療1回の上限5万円 |
先進医療および先進医療会議で 審議中の治療などを受けたことで 治療全体が全額自己負担となる治療 | 治療1回の上限10万円 |
東京都とは異なり、文京区の場合は全額自己負担となる自費診療の先進治療も助成対象となっています。
また、保険治療と併せて行われる先進医療については、東京都と文京区の両方から助成を受けることもできます。
東京都稲城市では「稲城市特定不妊治療医療費助成事業」として、次のような不妊治療に対する助成が行われています。
治療内容 | 助成金 |
---|---|
保険適用治療と併せて行われる先進医療 | 治療1回の上限3万円 |
定められた年齢・回数制限を超えたことによる 自費診療、先進医療 | 治療1回の上限3万円 |
稲城市の助成は、助成を受けられる年齢が45歳未満と東京都よりも高く、さらに全額自己負担となる診療の場合、助成回数が無制限となっています。
神奈川県横須賀市では「生殖補助医療費助成」として、次のような不妊治療に対する助成が行われています。
治療内容 | 助成金 |
---|---|
保険適用治療と併せて行われる先進医療 | 治療1回の上限5万円 |
自費診療 | 30万円を超えた部分について上限10万円 (治療1回あたり) |
このように、自治体によって助成金や支援を受けるための条件は異なります。不妊治療を行う予定がある場合は、お住まいの自治体の支援事業も確認することをおすすめします。
なお、自治体の支援事業については、今後条件が変更される可能性があります。条件の詳細や最新情報は、各自治体の公式サイトをチェックしましょう。
初めて不妊治療を検討したり受けたりする場合は、不安を抱く方も多いはず。しかし、治療の進め方を事前に理解しておけば、大きな安心感につながります。
また、不妊治療の保険適用範囲を把握するだけでなく、お住まいの自治体の不妊治療に対する支援事業も調べると、より経済的な負担を抑えて治療を受けられる可能性があります。治療計画を立てる際には、必ずチェックしておきましょう。
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