体外受精
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体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)で得られた受精卵(胚)を胚培養士が培養し、妊娠しやすい状態に整えた子宮に移植することを胚移植といいます。移植した胚が着床すれば妊娠が成立するため、不妊治療のプロセスの中でも、妊娠に向けた最終段階といえます。
胚移植について詳しくは、こちらのページをご覧ください。胚移植とは?
医師や胚培養士はこの日に向けて全力を尽くし、細心の注意を払って胚移植の準備を行いますが、患者さまの中には緊張して当日を迎える方も多いことでしょう。
繊細な受精卵(胚)を体内に移植する…と考えると、胚移植当日までにしたほうがいいこと、反対にしてはいけないことなど、気になることもたくさんありますよね。
そこで今回は、胚移植前にしてはいけないことについて、患者さまからよく寄せられる質問にお答えします。胚移植前に安心して過ごすためにも、ぜひ参考にしてください。
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着床しやすい状態に子宮を整え、胚移植当日を迎えましょう胚移植前にしてはいけないこと、おすすめできないことを医師が解説安心して胚移植を迎えるために、にしたんARTクリニックへご相談ください胚移植とは、体外で胚培養士が受精させた受精卵(胚)を医師がカテーテルを使って子宮内膜に戻すことをいいます。子宮内膜にそっと置かれた受精卵(胚)が根を張り、数日をかけて細胞分裂を繰り返しながらもぐり込んで着床すれば、妊娠が成立します。
胚移植が成功し、妊娠に至るためには、受精卵(胚)が良好胚であること、そして子宮内膜が着床しやすいふかふかの状態に整っていることが重要です。
つまり、採卵した後の、胚移植を控えた女性側の患者さまができることは、妊娠に適した子宮内膜を整えることといえます。
子宮内膜とは、妊娠の成立や胎児の発育に関わる子宮の内側の組織のことです。エストロゲン(卵胞ホルモン)の影響を受けると、着床に備えて厚くなります。
妊娠しやすいといわれている子宮内膜の厚さは7mm以上 で、これより薄いと妊娠率が下が ってしまいます。できるだけ厚みのある良い状態に子宮内膜を整えて、受精卵(胚)を受け入れられるのが理想です。
子宮内膜を7mm以上のふかふかの状態にするためには、月経周期に沿って自分の体の内部で起こっていることを把握し、健康を管理する必要があります。
女性の月経周期は、「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」の4つに分かれ、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が増える「卵胞期」に子宮内膜が厚みを増していきます。エストロゲンの分泌がピークに達すると排卵期を迎え、卵子がいなくなった卵巣から黄体ホルモン(プロゲステロン)が出て、子宮内膜をふわふわのベッドのような状態に整えます。
この仕組みを理解した上で、胚移植前にホルモンバランスを整える生活習慣を取り入れることが大切です。具体的な方法については、下記のQ&Aの中で解説します。
ここからは、胚移植前にしてはいけないこと、気をつけたいことなど、気になる疑問に医師がQ&A形式でお答えします。
A 飲酒・喫煙は控えてください。カフェインは1日2杯程度が目安
胚移植前だけでなく、不妊治療中の患者さまにいえることですが、飲酒・喫煙には特に注意が必要です。
まず、アルコールは卵巣の働きを低下させる作用があり、生理不順や無月経を起こす 可能性が高まることから、不妊との因果関係があるといわれています。一般的に、女性は男性よりも少ない量のアルコールで肝臓への影響が出やすく、健康問題を引き起こしやすい ことがわかっているため、妊活中は特にアルコールを避けたほうがいいでしょう。
また、喫煙は百害あって一利なしです。妊娠前の喫煙は、卵子の質を低下させ、不妊の原因になることが知られています。 妊娠中の喫煙も早産や低体重などのリスクを高めることがわかっていますから、妊活中から禁煙しておくのがベストです。
カフェインは、1日にコーヒー2杯程度なら問題ありません。胚移植前は、可能であれば控えたほうが、不安のない毎日を過ごせるかもしれません。
A 過度な運動はNG。ウォーキング、サイクリング、軽いジョギング程度の運動がおすすめです
妊活中に、きついと感じない程度の軽い運動をすることで、着床率が上昇する との報告があります。胚移植前も、例えばウォーキングやサイクリング、軽いジョギングなどの運動はおすすめです。
ただし、激しい運動をすると、体内にできた活性酸素が卵子の質を低下させるリスクがあります。 また、激しい運動は子宮を収縮させ、着床の妨げになることもあるため、胚移植前にはマラソンやエアロビクス、縄跳びなどの運動はおすすめできません。
自転車には乗っても構いませんが、転倒などのリスクもあるため、不安がある場合は避けたほうが無難です。ご自身の行動のポイントは、「後悔しないかどうか」を基準に検討してください。
A 胚移植前はストレスを溜めないことが大切。ホルモンバランスが乱れないように過ごしましょう
ストレスが着床・妊娠に影響を与え、それぞれの確率を低下させるとの報告があります。
ストレスが溜まるとホルモンバランスが乱れ、卵巣機能が低下して卵子の成長や受精能力を落とす原因になります。胚移植前に限らず、妊活中はストレスを溜めないことが非常に大切です。
仕事が繁忙期でストレスを抱える可能性がある場合は、上司に相談して仕事量を調整したり、自分に合ったストレス解消法を見つけてコントロールしたりすることをおすすめします。
なお、重い荷物を持つことも心身にストレスを与え、子宮収縮を誘発します。通勤バッグの中身も、できるだけ軽くしておくと安心ですね。
A 胚移植前の睡眠はとても大切です。妊活中は良質な睡眠をとれるよう、睡眠環境を整えましょう
質の良い睡眠をまとまった時間とることは、妊娠の成立に向けた重要な要素です。良い睡眠がとれていないと感じたら、寝る前の過ごし方や寝室の温度・湿度、明るさなどを見直し、リラックスできる睡眠環境を整えてください。
寝る前はスマートフォンを見ない、就寝1~2時間前に入浴を済ませて 身体の熱を冷ましておくなどの方法もおすすめです。
A 血流が良いと卵巣や子宮の血流が改善され、着床しやすくなるためです。ただし、過度な温浴は避けましょう
体が温まると血流が活発化し、子宮や卵巣に良い影響を与えます。子宮内膜を厚くしたり、卵子の発育を促進したりする効果も期待できるため、妊活中はおなかや下半身を中心に冷えから体を守ってください。
ただし、体温が上がりすぎると着床の妨げになる可能性が高いです。39℃以上の高温になるサウナ、ホットヨガ、岩盤浴などは避けましょう。
A 子宮の収縮などのリスクがあるため、控えてください
胚移植前後の性交渉と妊娠成立との因果関係は明確ではありません。
ただし、胚移植前の性交渉は子宮収縮につながる 可能性があるため、控えたほうが良いでしょう。
また、自然周期での胚移植では自然排卵が起こりうるため、自然妊娠と胚移植による妊娠が同時に起き、双胎妊娠になる確率が高まります。できるだけリスクの少ない妊娠につなげるためにも、胚移植前後は性交渉を避けることをおすすめします。
A バランスの良い食事で、まんべんなく栄養をとるのが基本。妊娠成立後の母体・胎児の健康維持にもつながるため、妊活中から食生活を見直しましょう
着床率を上げるには、母体が心身ともに健康であることが何よりも重要です。偏りのないよう、バランスの良い食事を心掛けましょう。
注意したいのは、糖質の多い食べ物です。 糖質は、体や脳にとって重要なエネルギー源であり、不足すると疲れやすくなったり、集中力が低下したりします。
一方、糖質をとりすぎると、エネルギーとして使いきれなかった分が脂肪として体に溜まり、肥満や糖尿病の原因になります。肥満は不妊との関わりが深く、卵子の質の低下や子宮内膜の状態に影響を及ぼすといわれています。
糖質を摂取するときは、穀類・芋類・果物など、食物繊維が多く含まれる食材を選んだり 、野菜といっしょに食べたりするようにしてください。
着床率や妊娠率の向上につながるといわれる栄養素は、下記のとおりです。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進する、骨形成に欠かせない栄養素。ビタミンDの摂取量は、着床率、卵巣予備能にも影響するといわれています。ビタミンDは魚類やキノコ類に多く含まれて いるため、意識的にとりましょう。
葉酸はビタミンBの一種で、赤血球の合成を助けて胎児の成長を促進します。妊娠前から葉酸をしっかりとっておくと、胎児神経管閉鎖障害(脳や脊髄の発達異常)の発症予防にも効果があります。レ バー、納豆、卵、ブロッコリーなどに豊富に含まれます。
鉄分 は赤血球の材料となって貧血を防ぎつつ、体中に酸素を運びます。鉄分不足は赤ちゃんの発育不良や早産にもつながりやすいので、豚レバーや牛モモ肉、かつお などからしっかり摂取しましょう。
亜鉛には、女性ホルモンを活性化させ、子宮の環境を整える作用が期待できます。男性の精子の造成や生殖機能の向上にもつながるといわれているため、夫婦(カップル)で適量をとることをおすすめします。亜鉛は、豚レバー、牡蠣、牛赤身肉などに多く含まれます。
患者さまの中には、祈るような気持ちで胚移植当日を迎えることも多いことでしょう。胚移植前にやっていいこと、避けたいことをしっかりと把握して、できるだけ成功率を上げたいですよね。
完璧を求めすぎるとストレスが溜まって逆効果になるかもしれません。避けたほうが良いとされていることをしてしまったとしてもあまり気にせず、前向きな気持ちで過ごしましょう。
にしたんARTクリニックでは、すべての院にカウンセラーが常駐し、いつでも無料で患者さまのご相談にお応えしています。
胚移植前後の不安や疑問にも丁寧にお答えしますので、不妊治療が気になっている方は、カウンセリングでお悩みをお聞かせください。
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