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子宮内膜ポリープとは?原因や症状、妊娠につなげる治療法を解説

婦人科検診や不妊治療中に見つかることがある疾患に、子宮内膜ポリープがあります。子宮内膜ポリープは無症状のことも多い子宮内膜にできる良性腫瘍ですが、発生場所によっては不妊の原因になるため、妊娠を希望する場合は治療することが望ましいでしょう。
この記事では、子宮内膜ポリープの原因や症状、妊娠につなげるための治療法をご紹介します。

子宮内膜ポリープは不妊の原因にもなる良性の疾患

子宮内膜ポリープとは、子宮内膜が異常に増殖したり、厚くなったりすることによって子宮体部にできる良性の腫瘍です。子宮内腔に飛び出すような形で発生し、1cmに満たない小さなものから数cmになる大きなものまで大きさはさまざまで、1個だけでなく複数できる場合もあります。
発症年齢は20代から閉経前まで幅広く見られることも特徴です。子宮内膜ポリープは決して珍しい疾患ではなく、妊娠・出産が可能な年齢の女性の約10%に存在しているとされています。

子宮にできるポリープには、子宮内膜ポリープのほか、子宮体部と腟をつなぐ子宮頸部に発生する「子宮頸管ポリープ」があります。子宮頸管ポリープは、妊娠・出産との関連性が低く、悪性である可能性も極めて低いため、出血などの症状がなければ基本的に経過観察で済みます。
一方、子宮内膜ポリープは不正出血や不妊の原因になることがあり、まれに悪性の場合や早期の子宮内膜がんと関連する場合もあるため、確定診断と症状の改善を目的として、ポリープを切除する手術が行われることが多いでしょう。

子宮内膜ポリープの原因と症状

子宮内膜ポリープができるメカニズムは、まだはっきりしていません。エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)などの女性ホルモンの過剰分泌や、バランスの崩れなどが原因といわれているほか、子宮内膜の炎症、出産・流産など、複合的な原因が絡み合って発生すると考えられています。

また、子宮内膜ポリープがあっても無症状で、検査で偶然見つかることもよくあります。小さなポリープは検査しても見つからない場合もあり、「原因不明の不妊」に含まれていることも多いようです。
子宮内膜ポリープで症状がある場合、下記のような症状が見られます。

子宮内膜ポリープの代表的な症状

  • 不正出血
  • 月経期間が長い
  • 過多月経
  • 閉経後の出血
  • 不妊症
  • 貧血(めまい、倦怠感など)

子宮内膜ポリープと不妊症の関わり

子宮内膜ポリープは多くの女性に見られる疾患で、際立った症状が出ないことも多いため、気づかずに過ごしているケースが少なくありません。
しかし、精子や受精卵(胚)の移動を遮る場所や胚が着床する場所に子宮内膜ポリープができると、不妊症の原因になる場合があることに注意が必要です。厚生労働省がまとめた「治療の難しい不妊症のためのガイドブック」によれば、不妊症の人の約24%に子宮内膜ポリープがあるとされています。

婦人科検診や不妊治療前のスクリーニング検査で子宮内膜ポリープが見つかった場合は、子宮鏡などで子宮内を観察し、ポリープが妊娠を妨げている可能性が高ければ、切除することで妊娠や着床の可能性が高まります。これは、精子や受精卵(胚)の動きを邪魔する物理的な原因がなくなることのほか、子宮内膜の状態が良くなるためです。

子宮内膜ポリープを切除すると妊娠率が高まる理由

子宮内膜ポリープを切除すると妊娠率が高まるのは、なぜでしょうか。その理由を見ていきましょう。

子宮からの不正出血がなくなるから

子宮内膜ポリープは、不正出血の原因となります。不正出血が続くと、別の炎症につながって不妊の原因になるほか、自然流産やがんのリスクが高まる可能性があります。

子宮内膜の炎症が改善されるから

子宮内膜ポリープは、慢性子宮内膜炎とも関わりが大きいといわれています。慢性子宮内膜炎とは、子宮内膜に持続的な炎症が生じる疾患のことで、不妊治療において、良好胚を何度移植しても着床に至らない反復着床障害の原因のひとつといわれるものです。慢性子宮内膜炎は女性全体の10~30%程に見られ、反復着床障害や習慣性流産の経験がある人では30%に上るとする報告もあることから、不妊の大きな原因であることがわかります。慢性子宮内膜炎になる原因は大腸菌やマイコプラズマ、クラミジアなどさまざまで、原因不明であることも多いようです。
子宮内膜ポリープを治療すると子宮内膜の炎症の改善が期待できるとされ、実際に慢性子宮内膜炎が治ったとの報告が多くあります。これは子宮内膜ポリープの治療と妊娠率向上との関連性を示しているといえるでしょう。
※出典 公益社団法人日本産婦人科医会「産婦人科ゼミナール 16.反復着床不全

子宮内腔へ精子がスムーズに移動できるから

子宮内膜ポリープがなくなることで、精子が自由に移動できるようになり、卵管内までたどり着いて卵子と出会い、受精に至る確率が高まります。

着床障害がなくなるから

子宮内膜ポリープが受精卵(胚)の移動の邪魔をしている場合、着床障害につながります。治療をしてポリープがなくなれば、妊娠率の向上が期待できます。

子宮内膜ポリープの検査・診断方法

子宮内膜ポリープは症状がないことも多く、発見されにくい疾患です。特に、1cmに満たないサイズのものは、婦人科検診や不妊検査を受けていても発見されるとは限りません。

「避妊せずに性交渉をしても1年以上妊娠せず、クリニックに相談したが原因がわからない」「体外受精(Conventional-IVF/ふりかけ法)を何度もトライしたが、妊娠に至らない」といった場合には、子宮内膜ポリープを疑って検査をしてみることをおすすめします。検査をすることで子宮内膜ポリープが認められ、不妊の原因であるとわかった場合、治療が開始されます。子宮内膜ポリープの検査は、主に下記の方法で行われます。

経腟超音波検査

経腟で親指大の超音波プローブを挿入し、子宮内の状態を超音波で観察します。外来で行うことができ、痛みや出血はほぼありません。ほんの数分で終わり、子宮や卵巣の状態を詳しく調べることが可能です。 子宮内膜ポリープのほとんどは、超音波検査で判断することができます。

子宮鏡検査

子宮鏡検査とは、内視鏡を子宮口から挿入して子宮内膜の異常の有無を直接調べる検査です。超音波検査や卵管造影検査などでポリープが疑われる場合には、発見された子宮内膜ポリープが悪性のものでないことを確認するため、子宮鏡検査による確定診断を受けましょう。

子宮鏡検査については、こちらの記事をご覧ください。
子宮鏡検査とは?検査の流れや費用、注意点について解説

ソノヒステログラフィー(SHG)

ソノヒステログラフィー(sonohysterography :SHG)とは、経腟超音波検査で判明しにくい疾患の判別に適した検査です。子宮腔にカテーテルを挿入し、生理食塩水を注入しながら経腟超音波を行います。
生理食塩水を注入すると子宮腔が広がり、子宮内膜の病変が浮かび上がって見えるため、子宮内膜ポリープを見つけやすくなります。シンプルな検査ながら精度は高く、短時間で済みます。痛みもほとんどありません。

子宮内膜ポリープの治療方法

子宮内膜ポリープそのものは良性疾患であり、生活の質を落とすような症状がなければ経過観察でも問題ありません。ただし、不妊の原因になることがあるため、妊娠を希望している場合や不妊治療を行っていて成果が見られない場合、不妊検査をしてもほかに原因が見つからない場合は、積極的な治療を検討することをおすすめします。
ここは、子宮内膜ポリープの主な治療方法である薬物治療と子宮内容除去術、子宮鏡下手術について解説します。

薬物治療

薬物治療では、低用量ピル、または中用量ピルを数ヵ月間内服し、子宮内膜ポリープを縮小させます。ただし、症状の緩和やポリープの成長抑制が目的で、根本的な治療にはなりません。薬を止めると症状が再発するため、不妊治療の一環として治療を行う場合は、次の手術治療が選択されることが多いでしょう。

子宮内容除去術

子宮内容除去術とは、子宮内腔をこすりとって子宮内膜ポリープを除去する治療法です。この方法は、ポリープを直接見ながら除去するわけではなく、子宮内膜の全面掻把となるため、場合によっては、健康な子宮内膜に影響が出る可能性があります。特に妊娠を希望している場合は、慎重に実施しなくてはなりません。
より安全にポリープを除去するためには、直視下手術である子宮鏡下手術を選択することが推奨されます。

子宮鏡下手術

子宮鏡下手術とは、子宮内腔の状態をモニターで観察しながら子宮内膜ポリープを切除する方法です。医師が目視で子宮内の様子を確認しながらポリープを切除することができ、取り残しもなく、処置を確実に行えることがメリットになります。ポリープの切除には、専用の電気メスやシェーバーなどのデバイスが用いられます。
子宮鏡下手術はほとんどの場合外来で行うことができ、入院の必要もありません。ただし、子宮内膜ポリープの数が多い場合や、一般的な大きさを超えている場合は、入院して手術になることもあります。

ポリープの切除の際に子宮内膜を傷つけると、本来の目的である不妊の改善につながらないこともあります。できるだけ子宮内膜を傷つけない方法でポリープを除去することが望ましいので、かかりつけのクリニックでよく相談する必要があります。
なお、子宮内膜ポリープの切除手術は、月経が終わってから次の排卵日までに実施します。体外受精(C-IVF)などを行っている場合、子宮内膜ポリープを除去した次の月経周期から、採卵や胚移植をすることが可能です。

にしたんARTクリニックでは、
不妊の原因に合った最善の治療で最短の妊娠を目指します

不妊にはさまざまな原因があり、子宮内膜ポリープもそのうちのひとつです。「不妊検査をしても原因がわからない」「体外受精(IVF)をしても結果が出ない」という場合、子宮内膜ポリープを疑って詳しい検査をしてみましょう。子宮内膜ポリープを切除すれば、妊娠の確率が上がる可能性があります。

にしたんARTクリニックでは、不妊の原因をしっかり調べ、それぞれの患者さまの状況や希望に合った治療で最短・最善の妊娠を目指します。無料カウンセリングも行っていますので、お気軽にご相談ください。

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