人工授精

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人工授精後に気をつけることとは?人工授精のよくある質問に回答

人工授精後に気をつけることとは?人工授精のよくある質問に回答

「赤ちゃんがほしい」「少しでも早く妊娠したい」と考えているご夫婦(カップル)に、タイミング法(タイミング指導)の次に選択されうる不妊治療法が、人工授精(AIH)です。

人工授精は、排卵の時期に合わせ、医師がカテーテルを使って精子を子宮内に直接注入する不妊治療法で、受精は体内で行われるため、極めて自然な妊娠に近いといえます。

この記事では、人工授精を検討中の方や治療中の方に向け、人工授精に関わるよくある質問や、気になる疑問にお答えします。人工授精後に気をつけたいこと、知っておきたいことについてもふれているので、ぜひ参考にしてください。

人工授精(AIH)のよくある質問ににしたんARTクリニックが回答

ここからは、人工授精に関わるさまざまな疑問、質問について、にしたんARTクリニックがQ&A方式でお答えします。

Q.人工授精(AIH)とはどのような治療ですか?

A.人工授精(AIH)とは排卵の時期に精液を子宮内に直接注入する一般不妊治療です

人工授精は、精子を子宮内に直接注入することで、精子と卵子が出会う確率を高める不妊治療法です。自然妊娠では、性交渉で射精された精子はみずからの力で子宮頚管から子宮内に入り、さらにその奥の卵管で待つ卵子のもとまで移動しなければいけません。1回の射精で放たれる精子は平均で1億~4億個といわれていますが、子宮内で淘汰され、卵管にまでたどり着けるのは100個程度にまで減り、卵子の中に入り込めるのは、そのうちたった1個です。

人工授精では、精子が卵管まで移動する距離をショートカットすることができるうえ、自然妊娠よりも子宮内に多く精子を注入することができるため、卵子と精子が出会う確率を高め、受精を促すことができます。

自然妊娠と人工授精の違い

人工授精は、体内で精子と卵子が出会うため、受精して着床し、妊娠するというプロセスは自然妊娠と変わりません。副作用もほとんどなく、経済的な負担も大きくはないので気軽に受けることができる不妊治療のひとつといえるでしょう。

Q.人工授精(AIH)の流れを教えてください。

A.人工授精は、検査と診察で排卵日を予測し、採精した精液を子宮内に注入するという流れで行います

人工授精は、検査と診察で排卵日を的確に推測し、排卵日当日に採精した精液を子宮内に注入する、という流れです。

にしたんARTクリニックで人工授精を行う場合のスケジュールを紹介します。

各院のカウンセラーによるカウンセリング後、治療を受けることを決めたら必要な書類を提出してから、初診・スクリーニング検査を受けることになります。医師の判断により人工授精の実施が決定した後のスケジュールは、下記のとおりです。

(1)月経1~5日目

月経が開始したら受診し、排卵日を予測する検査を行います。検査内容は血液検査や経腟超音波検査、頸管粘液検査などです。確実な排卵を促すために、排卵誘発剤を使用するかを医師が判断し、必要に応じて投与します。

2)月経10~12日目

経腟超音波で卵胞の大きさを確認し、排卵日を予測し、人工授精を実施する日を確定します。人工授精当日に必要な採精を自宅で行う場合、採精カップを必ずお持ち帰りください。

(3)人工授精当日

【男性患者さま】
人工授精する時間に合わせてクリニック内の採精室か、ご自宅で採取した精液をクリニックに提出していただきます。胚培養士が精液を受け取り、すぐに洗浄・濃縮して人工授精に適した精子に調整します。にしたんARTクリニックでは、院内採精の場合は人工授精をする時間の1時間半前、自宅から持ち込みの場合には1時間前の提出をお願いしています。

【女性患者さま】
人工授精当日の確認で、経腟超音波検査を実施し、卵胞の大きさなどを確認します。その後、同じ内診台で、人工授精を実施します。調整済みの精子を、医師がカテーテルで子宮内に注入して完了です。5分程度安静にし、すぐにご帰宅いただけます。

Q.人工授精(AIH)はどのような方に適応されますか?

A.人工授精は自然妊娠やタイミング法で妊娠成立が難しい方に適応されます

人工授精は、自然妊娠やタイミング法による妊娠が困難な方に選択される不妊治療法です。ただし、卵子や精子の状態によって、向き、不向きがあります。人工授精が向いている方と、向いていない方について、下記で解説します。

人工授精が向いている方
  • 精子所見が基準値より低い方、ED治療中の方
  • 性交障害や性交渉のタイミングをとることが難しい方
  • 原因不明の不妊症の方

人工授精は、女性の体内で卵子と精子が出会って受精し、着床するまでの流れは自然妊娠と同じです。そのため、精子の状態がやや悪い方の場合、人工授精を行うことで精子が移動する距離が短くなるため、妊娠の確率が高まります。また、性交障害で正常な性交渉が難しい方にも、人工授精は適応されます。

人工授精が向いていない方
  • 精子に問題がない方、もしくは著しく悪い方
  • 排卵に問題がある方、35歳以上の女性
  • 卵管に問題がある方

人工授精では卵子と精子が出会うことができ、それぞれに受精能力がないと成立しません。精液検査で精子に問題がまったくない場合は、別の理由で妊娠に至らないと判断されるため、別の方法が選択されます。一方、精液検査の結果が著しく悪い場合は、体内で受精することが困難なため人工授精は向いていません。 卵子の質や排卵に問題がある場合も、体内で卵子と精子と出会うことができなかったり、受精が叶わなかったりするため、人工授精が向いていないと考えられます。卵管が癒着・狭窄している場合も、精子や卵子が卵管を通ることができないため、生殖補助医療(ART)が推奨されます。特に、35歳以上の女性では人工授精による妊娠成功率は低下するため、同様に生殖補助医療へのステップアップがおすすめです。

Q.人工授精(AIH)の成功率とステップアップの目安を教えてください。

A.成功率は5~10%で、3~4回続けて妊娠が成立しない場合にステップアップを検討しましょう

人工授精の成功率は決して高いとはいえず、1回あたり5~10%程度とされています。妊娠は年齢との関わりが大きく、年齢とともに妊孕力(にんようりょく)は低下します。年齢別に見た、人工授精の施術回数と累積妊娠率の推移は、下記のとおりです。

年齢別人工授精(AIH)施術回数と累積妊娠率

※出典 公益財団法人日本産婦人科医会「10.人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband’s semen) – 日本産婦人科医会

人工授精は、回数を重ねることで妊娠率は高まりますが、6回目以降は頭打ちになることがわかります。3~4回続けて妊娠に至らない場合は、ステップアップして体外受精(IVF/ふりかけ法)に進むことを検討しましょう。

体外受精は、卵子を体外に取り出して、胚培養士による培養で受精卵を育て、受精しやすい胚盤胞という段階にまで成長した受精卵(胚)を子宮に戻すという不妊治療法です。妊娠率が高い一方で、体への負担、経済的な負担も人工授精とは大きく異なるため、納得した上で治療にステップアップすることが大切です。

にしたんARTクリニックでは、各院のカウンセラーがそれぞれのご事情やお悩みをうかがいながら、ご夫婦(カップル)に適した治療やスケジュールをコーディネートいたします。いつでもお気軽にご相談ください。

Q.人工授精(AIH)のリスクを教えてください

A.重大なリスクの報告はありません

人工授精では、重大なリスクは報告されていません。とはいえ、リスクはゼロとはいいきれません。

人工授精では子宮頸管や子宮腔内を傷つけないよう、細くてやわらかいカテーテルを使用して、医師が精子を子宮内に注入します。このとき、場合によっては少量の出血や痛みが生じることもあります。人工授精の前後に十分な消毒を行いますが、まれに感染症が発生した際は発熱や下腹部痛、腹膜炎につながることもあるかもしれません。こうしたリスクを回避するために、数日間抗生物質の服用が必要です。 少量の出血は気にしすぎることはありませんが、不安な場合は医師に相談してください。

Q.人工授精(AIH)に使用する精液を洗浄・濃縮するのはなぜですか?

A.精液に含まれる細菌や、奇形の精子、未熟な精子などを取り除いて良好な精子を集めるためです

射精された精液には、精子以外の液体(精漿)や細菌、ゴミ、奇形や未熟な精子などが含まれています。自然妊娠の場合、性交渉後にはほとんどの精液が体外に流れ落ち、腟内にとどまった精子も酸性に保たれた腟内で淘汰され、元気な精子のみが子宮内に移動します。

人工授精では子宮内に直接精子を注入するため、子宮の細菌感染を防ぐことが必要です。そのため、精液をあらかじめ洗浄・濃縮し、受精に適した状態に調整します。 人工授精当日、男性側の患者さまから受け取った精液を、胚培養士が遠心分離処理を施し、精液に含まれる細菌などを排除して、良好な優良精子だけを集めます。

精液の洗浄・濃縮の流れ

Q.人工授精(AIH)の経済的な負担が心配です

A.保険診療が可能となり、経済的負担が軽減されました

2022年4月から人工授精は保険診療が可能となり、経済的な負担が軽減されました。一例として、にしたんARTクリニックの、人工授精にかかる料金を紹介します。

にしたんARTクリニックの人工授精でかかる費用
保険診療5,460円
自費診療27,500円
※別途、再診料・薬剤料金がかかります

自治体によっては、人工授精にかかる治療費の助成を行っています。対象となる方や支給される金額などは、お住まいの自治体の公式Webサイトで調べてください。

Q.仕事を続けながら人工授精(AIH)をすることは、可能ですか?

A.最低2~3回の通院が必要ですが、調整しながら治療を進めることは可能です

不妊治療を受ける方の中には、仕事と治療の両立に不安を抱える方も少なくありません。不妊治療を始めるにあたってスクリーニング検査が必要なほか、人工授精では検査や投薬のために、1周期中に最低でも2~3回の通院が必要です。

人工授精当日は、男性側の患者さまによる採精が必要です。にしたんARTクリニックでは、男性側の採精提出の受付時間をできるだけ遅く対応しています。平日は、精液持ち込みの場合の最終受付時間が20時、院内採精の場合は19時30分(治療の実施時間は21時)、土・日・祝日は、精液持ち込みの場合の最終受付時間が16時、院内採精の場合は15時30分(治療の実施時間は17時)にて対応しています。

人工授精自体は10分程度で終了し、体への負担はほぼないため、すぐにお帰りいただき、通常どおりの生活を送ることが可能です。 仕事と不妊治療を両立するためには、ストレスなく通えるクリニックを選ぶことが重要です。にしたんARTクリニックでは、患者さまのご負担を軽減するため、完全予約制で待ち時間の軽減に努めています。また、すべての院が駅近で通いやすく、平日は22時まで診療をしているので、ご都合に合わせた通院が可能です。仕事と両立しやすいスケジュールをカウンセラーと検討することもできるので、ぜひご相談ください。

Q.人工授精(AIH)で少しでも妊娠率を上げるためにできることはありますか?

A.お二人が健康な状態で当日を迎えることが最も大切です

人工授精をはじめ、不妊治療では妊娠率を高めるために卵子と精子の質を高める行動が求められます。食事や運動、睡眠といった生活習慣を、お二人で改善することから始めてみてはいかがでしょうか。人工授精の妊娠率を上げるためにできることは下記のとおりです。

人工授精の成功率を上げるためにできること
なるべく早く不妊治療を始める妊娠は年齢と関わりが深いため、少しでも早く不妊治療を始めることが大切です。
排卵誘発剤の活用成熟した卵子を確実に排卵するために、排卵誘発剤の使用は有効です。医師の判断に従い、正しく服用してください。
適切な運動や食事を心掛ける男女ともに肥満ややせ過ぎは精子や卵子の質に影響を及ぼします。適切な運動や食事を心掛けましょう。男性は股間周辺を温めすぎないように意識してください。
規則正しい生活を送る早寝早起きをし、良質の睡眠をとることで、ホルモンバランスが整います。

人工授精(AIH)をご検討中のお二人は、にしたんARTクリニックへご相談ください

人工授精は体への負担が軽いため、挑戦しやすい不妊治療法のひとつです。医療は、体内での受精をサポートするだけなので、より自然な妊娠を望む方にぴったりの治療法といえるでしょう。人工授精後も、通常どおりの生活を送ることができ、仕事をしながら治療することも可能です。

ただし、1回あたりの妊娠率は5~10%と決して高いとはいえないため、3~4回程度実施して、妊娠に至らない場合は、不妊治療をステップアップすることが推奨されます。卵子や精子の質を高める生活を送りながら、不妊治療のステップアップについても検討することをおすすめします。 にしたんARTクリニックはすべての院が主要駅から徒歩すぐで、平日は22時まで診療しています。特に仕事を続けながら通院しやすいため、ストレスなく不妊治療を続けることが可能です。通院スケジュールや不妊治療のステップアップなどに関するお悩みの方は、各院でカウンセリングをご予約ください。

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