不妊治療
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不妊治療、特に体外受精(IVF/ふりかけ法)や顕微授精(ICSI/イクシー)などの生殖補助医療(ART)での妊娠は、双子や三つ子など多胎妊娠になる場合があるといわれています。双子や三つ子は特有のかわいらしさがあり、何よりも妊娠そのものが喜ばしいことであるものの、母体への負担や出産時のリスクなどが心配です。
この記事では、不妊治療、特に生殖補助医療による妊娠の、多胎妊娠になる確率、理由、リスクなどを解説します。
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体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)は場合によっては双子などの多胎妊娠になる双子や多胎妊娠のメカニズム多胎妊娠のリスク双子など多胎妊娠をした方向けのサポート体外受精(IVF)についてのお悩みはカウンセリングでお聞かせください日本ではここ20年、双子以上の多胎分娩の確率は、だいたい1%前後で推移しています。ただし、多胎妊娠になる割合は、女性の年齢が上がるにつれて上昇し、女性の年齢が30歳以上で2.03%、40~44歳になると2.71%、45歳以上では5.95%と高くなります。この理由として、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療による妊娠があると考えられます。
※厚生労働省「多胎児支援のポイント」(2019年)
そのため、体外受精や顕微授精などで受精させた受精卵(胚)を移植する際、移植する胚の数は原則1つと定められました。
しかし、条件によっては、より妊娠率を高めるために胚を2個移植することもあり、両方の胚が着床すると双子になります。
複数個の受精卵(胚)を胚移植するケースは、35歳以上の女性で、連続して2回以上、受精卵(胚)を移植しても妊娠に至らなかった場合、医師の判断により行うことがあります。ただし、移植した胚すべてが必ず着床に至るわけではありません。
タイミング法や人工授精で使用する排卵誘発剤が影響し、多胎になる可能性が上がるという意見もあります。いずれにしても35歳以上の高齢の方が不妊治療で妊娠を目指す際に、双子などの多胎になる可能性は否定できません。
ただし複数個の受精卵(胚)の移植を検討する場合は、医師から詳しく説明があります。実施する際は患者さまの承諾が必要なので、「患者さまが知らない間に胚を2つ移植した」ということは絶対に起こらないので安心してください。
多胎とはいわゆる双子や三つ子のことをいいます。ここでは、多胎妊娠が生じるメカニズムを解説します。
双胎(双子)には、一卵性双胎と二卵性双胎があります。
一卵性双胎とは、1つの卵子に1個の精子が入って受精し、その後、受精卵(胚)が2つに分裂・成長して双子になることをいいます。遺伝子情報が100%同じで、容姿はそっくりになり、血液型や性別も同じであることが特徴です。受精卵(胚)が分裂する理由は、ホルモンバランスの乱れ、高齢による卵子の質の低下や、若すぎる妊娠、激しい運動での衝撃などが考えられますが、詳しくはわかっていません。
理論上、一卵性でも三つ子や四つ子などが生じることはありますが、その確率はかなり低いと考えられます。
二卵性双胎は、2つの卵子にそれぞれ1個ずつ精子が入って受精し、それぞれで成長して双子になることをいいます。同じ遺伝子情報は平均して50%くらいなので、容姿、性別、血液型の違いがある場合もあるのが特徴です。2個の受精卵(胚)を医師の判断により移植して妊娠に至った場合は、二卵性双胎になります。
二卵性や複数卵性の多胎の原因として、タイミング法(タイミング指導)や人工授精(AIH)で使われる排卵誘発剤の影響により排卵数が増えることなどが挙げられます。
多胎妊娠は、大きく3つの種類に分かれます。種類によってリスクも異なってくるため、妊娠10~14週までに膜性診断をすることが必要です。
おなかのなかで赤ちゃんそれぞれに胎盤があるかどうか、羊膜という部屋が一人に1つずつあるかどうかが重要です。胎盤や羊膜をふたりで共有していると血流がアンバランスになりがちで、発育に関するリスクが高いといわれています。また、羊膜が1つの場合、お互いのへその緒がからまるトラブルも多いといいます。発育不全や胎児死亡につながる可能性があるため、多胎妊娠は専門的に診ることが可能な産婦人科での高度な管理が必要です。
複数の赤ちゃんを同時に授かる多胎妊娠は、妊娠や出産にかかわるリスクが高まるため、多胎妊娠する可能性もある不妊治療を進める上では不安も大きいことでしょう。ここからは、多胎妊娠した際に考えられるリスクを解説します。
多胎妊娠では、妊娠高血圧症候群になる可能性が高まります。妊娠高血圧症候群は、妊娠中に高血圧になる症状で、母体に血管障害や臓器障害が生じ、胎児にも悪影響を及ぼしかねません。単胎妊娠(ひとりの赤ちゃんを出生すること)の3倍ものリスクがあり、多胎妊娠中は慎重な管理が必要です。
妊娠高血圧症候群になると、ふくらはぎなどの静脈に血の塊ができる深部静脈血栓症につながるほか、胃や腸への圧迫による食欲不振や腸閉塞に近い症状になるケースもあります。
多胎妊娠では、妊娠糖尿病になる可能性が高まります。妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値のコントロールができなくなる疾患です。母体が高血糖になると、胎児も高血糖となるため、赤ちゃんが巨大児になったり、形態異常、心臓肥大などになったりする可能性が高まります。
治療法としては、無理のない範囲で運動と栄養コントロールで血糖値を安定させるほか、血糖値コントロールが難しい場合は、インスリンを使用することもあるでしょう。
産後は治ることがほとんどですが、妊娠糖尿病になった方は、なっていない方に比べて糖尿病になるリスクが7倍に高まります。
多胎妊娠は、前置胎盤になるリスクが高いでしょう。前置胎盤とは、胎盤の位置が通常よりも低く、子宮口の一部または全部をふさいでしまっている状態をいいます。
前置胎盤は赤ちゃんよりも先に胎盤が出てくることになるため、大量に出血するおそれがあります。妊娠中の管理が徹底され、出産時には帝王切開が適用されます。
多胎妊娠は切迫早産になりやすく、妊娠37週未満、もしくは体重2,500g以下の未熟児で生まれる可能性が高まります。多胎妊娠では、2人以上の赤ちゃんが母体のおなかの中にいることになるため負担が大きく、30週(8ヵ月程度)で、単胎妊娠の10ヵ月と同じくらいのおなかの大きさになり、早産になる可能性があります。
2017年の厚生労働省の調査では、低出生体重児の割合は単体児が8.17%であるのに対し、多胎児では71.65%と高い水準でした。
※出典 厚生労働省「低出生体重児 保健指導マニュアル」(2019年)
また、早産は難産になりがちで、母体に対する負担が高いほか、赤ちゃんの発育に何らかの影響を与えるリスクも高まります。ただし、発育の遅れに関しては3~6歳頃までには平均値に追いつくことが多いでしょう。
バニシングツインとは、双子のうち片方の胎児が亡くなってしまい、子宮に吸収されて消えてしまう現象のことをいいます。10~15%の確率で生じ、原因は不明で防ぐことができません。
多胎出産は心身への負担が大きく、多胎出産をした方の約10~15%がメンタル不調になるといわれます。出産・育児の肉体的、精神的な負担が大きく、抑うつ気分、不安、焦燥感、不眠などの症状がみられ、ときに自責や育児への不安・恐怖を訴える方が多いといいます。
家族や周囲、自治体の手を借りながら、うまく息抜きをしながら育児することが必要です。特に夫(パートナー)が理解し、いっしょに子育てをしていく環境づくりを意識してください。
多胎妊娠は前述したとおり母体、胎児へのリスクが大きく、子育てをする上でも家族や周囲のサポートが欠かせません。多胎妊娠した際に利用できるサポートを、次から紹介します。多胎妊娠した際は自身の体のケアをしながら、どのようなサポートを受けられるか調べておくことをおすすめします。
産前産後休業は、母体保護の見地から労働基準法で認められている権利です。単胎妊娠の産前休業は出産予定日を含めて6週間ですが、多胎妊娠では14週間と定められています。産後休業は6週間以上8週間以内ですが、双子の出産が2日以上にわたったケースでは、2人目を出産した日を出産日として産前・産後の日数を数えることができます。
出産育児一時期は、2024年現在は1子につき50万円が支給されます。胎児数に応じて支給されるため、双子の場合、出産育児一時金は合計100万円です。
高額療養費制度は、病院での支払いが月に一定額を超えた場合、超過した金額分を支給される制度です。妊娠・出産は、通常では公的な健康保険は適用されませんが、医療行為とみなされる治療に関しては、保険が適用されます。多胎妊娠の場合、医療行為を受けることが多く、医療費がかかったり、入院を要したりするケースもみられるため、条件が合う場合は利用するとよいでしょう。
多胎妊娠や多胎児の子育てに関して、お住まいの自治体によってはサポート事業を行っていることがあります。家事や育児に関して悩む前に、受けられる支援があるかどうかを確認し、連携しておくことをおすすめします。地域の医療機関や育児関連施設とつながり、負担軽減するための方法を知っておきましょう。
不妊治療では、多胎妊娠が自然妊娠よりも多くなることは事実です。ただし、必ず多胎妊娠になるわけではなく、不妊治療をしている段階で不安になりすぎることはありません。多胎妊娠は母体や胎児へのリスクも考えられますが、さまざまな支援やサポートを受けることも可能です。妊娠や出産、育児が大変になるのでは、と考えすぎず、今は不妊治療を続けることをおすすめします。
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