人工授精

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人工授精(AIH)にかかる費用はどのくらい?保険適用について解説

人工授精(AIH)にかかる費用はどのくらい?保険適用について解説

人工授精(AIH)は一般不妊治療のひとつで、自然妊娠に近い過程での妊娠を目指す不妊治療の方法です。一般的には、タイミング法(タイミング指導)と呼ばれる方法で妊娠に至らない場合にステップアップとして選択されることが多いでしょう。人工授精(AIH)から生殖補助医療(ART)に進んだ後、状況によって人工授精(AIH)に戻ることもあります。
ここでは、これから不妊治療を考える人に向け、気になる人工授精(AIH)の費用について解説します。

人工授精(AIH)とは?

人工授精(AIH)は、パートナーの精子を洗浄濃縮し、排卵の時期に合わせて子宮内に注入する方法です。
原則として、予測される排卵日から最も妊娠しやすいタイミングを割り出して性交渉のタイミングをアドバイスする「タイミング法」で妊娠に至らなかった場合に選択されます。精子の数や運動量が少なく、子宮に到達しにくいことが事前検査で判明した場合にも、人工授精(AIH)を試すことが多いでしょう。

自然妊娠では腟に精液が入り、精子が卵管内を泳いで子宮に到達します。一方、人工授精(AIH)の場合は直接子宮に精子を注入するため、精子が卵管を泳いで子宮に向かうプロセスがカットされて、精子と卵子が出会う確率が高まります。
といっても、医療の手が入るのは卵子と精子が出会う確率を高めるためのサポートのみのため、自然に近い形での妊娠を望む人に適した方法だといえます。ただし、出会ってから受精するかどうかは自然の力にかかっているため、周期あたりの妊娠成功率はそれほど高くありません。

3~4回ほど人工授精(AIH)にトライしても妊娠に至らない、妊娠しても流産してしまう場合、一般不妊治療から生殖補助医療(ART)へとステップアップし、体外受精(Conventional-IVF/ふりかけ法)に進むことを検討します。

人工授精(AIH)は保険適用になる

2022年4月から、不妊原因の検査や原因の治療に加えて、基本的な不妊治療は保険適用となりました。もちろん、人工授精(AIH)も保険適用となったため、風邪などで医療機関を受診し、保険診療を受けた場合に窓口で支払う金額と同じように3割負担になります。

人工授精(AIH)が保険適用となる人の条件

人工授精(AIH)とタイミング法は、治療を受ける人の年齢や状況を問わず、誰もが保険適用で治療を受けられます。生殖補助医療(ART)に含まれる体外受精(C-IVF)と顕微授精(ICSI)は、下記のとおり、女性の年齢や適用回数の制限があるため注意してください。

生殖補助医療(ART)が保険適用となる年齢制限

治療開始時の女性の年齢が43歳未満であること

生殖補助医療(ART)が保険適用となる回数制限

  • 治療開始時点の女性の年齢が40歳未満:通算6回まで(1子ごと)
  • 治療開始時点の女性の年齢が40歳以上43歳未満:通算3回まで(1子ごと)

上記の回数を超えて治療を行った場合や、年齢制限の上限を超えた場合、オーバーした治療費は保険適用外で全額自己負担になります。

保険適用後の人工授精(AIH)の費用

人工授精(AIH)に健康保険が適用されると窓口で支払う費用は3割負担となります。にしたんARTクリニックで人工授精(AIH)を受けた場合、治療1回につき5,460円です。なお、最終的に支払う費用は、5,460円に別途、再診料や検査代、薬代が追加でかかります。

にしたんARTクリニックで保険を適用して人工授精(AIH)を受ける際の費用の例

再診料             380円
一般不妊管理料(3ヵ月に1回)  750円
人工受精             5,460円
検査・内服薬料金         約1,500円
合計               約8,000円

これまで、人工授精(AIH)は全額自費診療だったため、いったん支払った費用の一部を各自治体の特定不妊治療費助成制度や国の助成金で補填するのが一般的でした。中には、費用面がネックで不妊治療そのものをあきらめたり、途中でやめざるをえなかったりする人も少なくなかったのです。

2022年4月から基本的な不妊治療も保険適用となったことで、人工授精(AIH)にもより気軽にトライできるようになりました。人工授精(AIH)は、体外受精(C-IVF)・顕微授精(ICSI)よりも安価にチャレンジできることもメリットです。 検査の回数や内容、薬の処方の有無などは個人によって異なるため、費用は個人によってばらつきがありますが、以前に比べて負担がかなり軽減されていることは確かです。

高額療養費制度も利用可能

保険適用の治療を複数回行うなどして費用がかさみ、医療機関の窓口や薬局で支払う医療費の金額が自己負担限度額を超えた場合、高額療養費制度を活用すると負担を軽減できます。

高額療養費制度は、保険適用で行った医療費の自己負担額が、被保険者の所得区分によって定められている自己負担限度額を超えた場合に適用される公的医療保険の制度の1つです。加入している公的医療保健に高額療養費支給申請書を提出し、審査を経て超過分の金額が支給されます。

高額療養制度の1か月あたりの自己負担限度額(70歳未満の場合)

所得水準1ヵ月あたりの自己負担限度額
年収約1,160万円~252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770万~約1,160万円167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370万~約770万円80,100円+(医療費-267,000)×1%
~年収約370万円57,600円
住民税非課税者35,400円

一人分の窓口負担額では上限を超えない場合でも、複数の受診、および同じ医療保険に加入している同世帯の人の受診を1ヵ月単位で合算して申請することが可能です。
医療保険によっては、高額療養費が支給されるまで支給見込み額の8割相当額を無利子で貸し付けるなどの制度を導入している場合もあるため、負担軽減のために確認してみるといいでしょう。

ただし、 自由診療の治療や、保険診療と併用できる先進医療については、高額療養費制度の対象外になります。

民間の医療保険への加入が負担軽減につながることもある

不妊治療が保険適用されたことで、下記の不妊治療が「手術料」として算定されることになりました。

手術料として算定される不妊治療の種類

  • 人工授精(AIH)
  • 採卵術
  • 精巣内精子採取術
  • 胚移植術

人工授精(AIH)、採卵術、胚移植術は女性のみ、精巣内精子再手術は男性のみが対象です。
これにより、手術給付金がある民間の医療保険を契約している人が上記の不妊治療を受けると、手術給付金を請求することができるようになりました。保険の商品によって不妊治療に対する給付金の金額や給付の回数などが異なるため、よく比較して選ぶことをおすすめします。

各保険会社が設けている特約の内容によっては 、採卵術、体外受精(C-IVF)・顕微授精(ICSI)を行う際の指導・管理・計画や受精卵・胚培養管理料、胚凍結保存管理料などが手術給付金の支払い対象になったり、先進医療に対する給付金が受けられたりすることもあります。

ただし、不妊治療に対する給付を受けることができるのは、保険の契約から2年が経過してからです。「 いずれ不妊治療を検討するかもしれない」「今は妊娠・出産ができるタイミングではないが、数年後には考えたい」という場合、今からでも備えとして民間保険への加入を検討しておくといいでしょう。
現在加入している医療保険の内容や特約が不妊治療を対象としているのかどうか、保険会社へ問い合わせてみるのもおすすめです。

人工授精(AIH)の費用相場を知って、治療の目処を立てよう

今回は、人工授精(AIH)の費用について、保険適用された場合の金額とその対象、保険適用以外に費用負担を軽減する方法などについて紹介しました。人工授精(AIH)は保険適用の対象となり、従来に比べてかなり費用負担が軽減されています。
それでも、1ヵ月の医療費の自己負担額が高額になった場合は、高額療養費制度や自治体の助成金、民間保険の医療特約などを駆使して費用の削減を目指しましょう。

不妊は年齢との関連性が深く、治療を開始した年齢によっては人工授精(AIH)で成果が得られないこともあります。少しでも妊娠の可能性を上げるために、なるべく早く治療を始めることをおすすめします。
にしたんARTクリニックでは、無料カウンセリングでじっくりお話を伺い、一人ひとりに合った不妊治療をご提案しています。まずはお気軽にお問い合わせください。

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