妊活
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結婚や出産などのライフステージの変化について考えたときに、知っておきたいのが「不妊」の問題です。まだ結婚・出産の予定はなくても、近い将来に叶えたいと考えている方は、知っておいて損はないでしょう。
もし、不妊が疑われる症状やとるべき行動がわかれば、最適なタイミングでベストな選択をすることができます。本記事では、男女別の不妊の原因や、具体的な症状などについて解説します。
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不妊とは、妊娠適齢期の男女が避妊をせずに性交渉をしても妊娠しない状態のこと不妊をまねく大きな要因不妊の具体的な原因とは?不妊の原因を見つけるための初期検査不妊検査を受けるときのポイント不妊症が疑われる症状とは?不妊を疑ったら、まずは無料のカウンセリングがおすすめ不妊とは、身体的に健康で、妊娠適齢期にある男女が避妊をせずに性交渉をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態のことです。
公益社団法人日本産婦人科学会は、一定期間を「1年」としていますが、これはあくまでも目安であり、1年経たなければ不妊と認められないわけではありません。妊娠しない状態が1年に満たなくても、男女のいずれかに不妊の原因と思われる兆候がある場合、検査によって「不妊症」と診断されることがあります。
妊娠までの期間は人によって異なりますが、結婚して通常の性生活を送った場合、一般的には半年で7割、1年で9割程度の男女が妊娠に至ります。しかし、10組に1組の夫婦(カップル)は、性交渉を続けていても妊娠に至りません。なお、近年は女性の社会活躍などの影響で、結婚する年齢や妊娠を考える年齢が上がってきていることから、この割合はさらに高まっていると考えられています。
WHO(世界保健機関)が不妊の夫婦(カップル)を対象として実施した検査によれば、不妊の原因は男女半々であることがわかっています。ですから、女性だけが不妊と向き合っても、本質的な解決にはつながりません。 不妊と診断されたら、あるいは不妊かもしれないと思ったら、夫(パートナー)と協力して治療に望むことが大切です。
不妊に至る要因は、男女どちらにも存在します。ここでは、不妊につながりやすい2つの要因をご紹介します。
男女共に、年齢を重ねると妊娠するために必要な力である妊孕性(にんようせい)が低下します。妊孕性には、卵子や精子だけでなく、子宮や卵巣、精巣といった「臓器」、勃起、射精、排卵などの「機能」の力も含まれます。
このような臓器や機能は、年齢とともに衰えていくのが自然です。特に女性の場合は30歳を過ぎた頃から少しずつ低下し始め、35歳頃には卵子の質が明らかに落ち、自然妊娠の確率が低くなるでしょう。
男性は女性より低下が遅いものの、35歳頃から精子の質が落ち始めることがわかっています。加齢の影響は、不妊につながる大きな要因といえるでしょう。
妊活中の夫婦(カップル)の中には、「なぜ自分にだけ妊娠できないのか」「早くしないと年齢的に妊娠が難しくなる」といった焦りやプレッシャーを感じている人もいるかもしれません。このような心理的な要因も、妊孕力に影響を及ぼします。
心理的な圧迫感が強いと、妊孕性に関わる機能や臓器の働きに影響を及ぼす性腺刺激ホルモンの分泌が鈍くなります。心理的な影響は、女性の排卵障害や卵管の痙攣、男性の精子の形成不全や運動率低下の原因になることがあるでしょう。
では、具体的にはどのようなことが原因で、妊娠しづらい状態になっているのでしょうか。ここからは、男女それぞれの不妊に至る具体的な原因を見ていきましょう。
女性側が不妊に至る主な原因は、下記のようなものがあります。具体的な原因や症状について、詳しく見ていきましょう。
排卵因子とは、排卵まで過程に異常があって卵が育たない場合や、育ってもうまく排卵できないことをいいます。排卵とは、成熟した卵子が卵巣の外に排出されることです。月経が規則的にある女性の場合、月経の約2週間前に排卵が起き、妊娠に向け子宮内膜の準備を始まります。
ところが、月経不順や無理なダイエット、女性ホルモンの分泌不足などがあると、排卵が正常に行われず、妊娠の準備が進みません。精神的なストレスが原因で、排卵障害が起きることもあります。月経周期が不順な方や基礎体温が二相性にならない方などは、排卵に何らかの障害が起きている可能性があるため、まずは検査を受けることをおすすめします 。
卵巣と子宮をつなぐ卵管のトラブルのことを卵管因子といいます。卵管は、卵巣と子宮をつなぐパイプのような管です。卵管の幅が狭くなる卵管狭窄や、卵管が詰まる卵管閉塞などがあると、精子が卵子までたどり着けなかったり、受精した胚が再び子宮に戻ることができなかったりすることで、不妊の原因になります。 クラミジアの罹患歴や子宮内膜症、子宮外妊娠、骨盤内炎症性疾患、そのほかの骨盤内手術の既往がある方は、卵管因子による不妊が疑われます。
子宮筋腫やポリープ、子宮内膜症の症状などがあり、受精や着床が妨げられてしまうことを子宮因子といいます。子宮因子の場合は、受精卵が着床はするものの、早期に流産してしまうこともあります。
子宮筋腫や子宮内膜ポリープなど原因となる疾患が明らかな場合、手術によって 不妊の原因を取り除くことができます。
子宮頸管因子とは、頸管粘液不全と抗精子抗体のことを指します。子宮頸管とは、子宮の入り口で腟と子宮の内側をつないでいる部分のことです。通常、排卵前になると子宮頸管内に粘液が増え、精子の侵入を助けますが、頸管粘液が少ない場合や、抗精子抗体など精子の運動を妨げる要因がある場合は、精子の通り道として機能せず、妊娠の妨げになることがあります。
不妊症の検査をしても明確な原因が特定できない場合や、不妊の原因と考えられる症状を治療しても妊娠に至らない場合、原因不明妊娠と診断されます。 この場合、さまざまな治療を組み合わせながら妊娠を目指すことになるでしょう。
では、男性にはどのような不妊の原因があるのでしょうか。男性側の不妊の原因として考えられるのは、大きく3つあります。
造精機能障害とは、精子を作り出す機能に障害がある状態で、男性不妊の原因のほとんどを占めます。加齢によっても起こりますが、精子の数が一般的よりも少ない「乏精子症」や、精巣で精子を作る能力が失われることによって精液中に精子が存在しなくなる「無精子症」などが原因なこともあります。
性機能障害とは、勃起や射精をする力が失われたり、性衝動がなくなったりして、性交渉を行うことができない症状のことをいいます。身体的な要因のほか、不安や抑うつ、ストレスといった精神的な問題に起因することもあります。 性機能障害は、生活習慣の改善や薬物療法で治療を行うことが一般的です。
閉塞性精路障害とは、精巣で精子が作られているにもかかわらず、作った精子を射精するための管が閉じてしまい、精液中に精子を出すことができない状態です。閉塞性精路障害は、過去の炎症や手術が原因になるほか、生まれつき閉塞している場合もあります。
そのため、治療法には精管をつなぎ直す手術や、精管を再建する手術などがあります。不妊治療に進む場合は、精巣から精子を取り出して顕微授精を行うケースが多いです。
不妊の原因を見つけるには、どのような検査が必要なのでしょうか。不妊検査は結果によっては、その後の治療方針を左右する大切なプロセスなので、既往歴や症状を詳しく伝え、適切な検査を選択するようにしてください。ここからは、不妊に悩む方が実施されることが多い初期検査をご紹介します。
不妊の原因を探る女性の初期検査としては、下記の内容が一般的です。
不妊検査を行う場合、まずは内診と経腟超音波検査で、子宮や卵巣に異常がないかどうかを調べます。近年は、触診よりも経腟超音波検査で映し出される画像をもとに診断することが多くなっています。 経腟超音波検査は、腟から経腟用プローブと呼ばれる親指大の器具を挿入し、子宮や卵巣の状態を診る検査で、痛みはほとんどありません。子宮や卵巣、子宮内膜の状態がわかるほか、子宮筋腫や卵巣嚢腫、自覚症状のない子宮や卵巣の問題を発見できます。
子宮頸がん検査(子宮腟部細胞診)は、医師との問診の後に、子宮の入り口を専用のブラシでこすって細胞を採取し、顕微鏡で異常細胞の有無を調べる検査です。不妊治療前に子宮頸がん検査を行う目的は、万が一がんを発症していた場合には治療を最優先し、がんが進行するのを防ぐためです。子宮頸がんは早期に発見できれば治癒率が非常に高く、適切な治療をすれば妊娠のための機能を温存することが可能なので、必ず検査を受けましょう。
クラミジアは、卵管や卵巣の周囲を癒着させ、不妊の原因になるとされている菌です。クラミジアPCR検査を行うと、腟分泌液から、体内にクラミジアの病原体が存在しているかどうかがわかります。
子宮卵管造影検査は、子宮内に造影剤を入れてX線撮影を行い、卵管の通りや子宮の形状などを調べます。また、子宮卵管造影検査によって卵管の通りが良くなることがあり、治療としての意味合いもあるといわれています。
ホルモン検査は血液検査によって行われ、卵胞の発育や排卵に影響するホルモンの値、排卵障害、卵胞発育障害の有無などを調べます。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査は、卵胞から分泌されるホルモンの値から、卵巣にどれくらいの卵子が残っているかを予測する血液検査です。
感染症検査は、感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒)に罹患しているか否かを血液検査で調べるものです。なお、HIV検査は任意となります。
ヒューナー検査は、排卵が近い時期に性交渉し、10時間以内に頸管粘液中の運動精子の有無を調べることによって、精子の運動率や進入状態を見る検査です。
では、男性にはどのような不妊検査があるのでしょうか。一般的に男性には、感染症検査と精液検査が行われます。
感染症検査は、感染症(B型肝炎、C型肝炎、梅毒)に罹患しているか否かを血液検査で調べます。 なお、HIV検査に関しては任意となります。
精液検査は、2~7日の禁欲期間の後に受診し、マスターベーションで採取した精液を顕微鏡で観察する検査です。精液の量や濃度、精子の運動率などから、自然妊娠できる可能性を判断します。
WHO(世界保健機関)の調査によれば、不妊は男女両方に原因があるケースも少なくないことがわかっています。不妊検査を受ける際は、夫(パートナー)もいっしょに受けるようにしましょう。
また、不妊治療を行うことになった場合は、継続的にクリニックに通うことになるため、通院に慣れることができるのもメリットです。 いっしょに説明を聞くことで、夫婦(カップル)間での不妊治療に対する意識の差を埋めることにもつながります。
前述したとおり、不妊症は健康的な男女が1年間避妊をせずに性交渉を行っても妊娠しない状態とされていますが、男女のいずれかに不妊の原因と思われる兆候があれば、不妊症の可能性があります。 ここでは、不妊症が疑われる具体的な症状の一例をご紹介します。
性交渉をしているのにもかかわらず、なかなか妊娠に至らない場合は、下記の症状のどれかにあてはまらないか確認してみましょう。あてはまる場合は不妊症の疑いがあるので、クリニックや専門施設への受診をおすすめします。
月経周期が不規則な場合や経血量が異常である場合などは、不妊症の原因になる場合があります。正常な月経周期は25~38日です。 これよりも長い、あるいは短い場合は、ホルモン分泌の問題によって起こる無排卵の可能性があります。排卵がなければ、卵子と精子は出会えません。
また、子宮筋腫があると、経血量が非常に多くなったり、月経の期間が長くなったりします。子宮筋腫がある場所によっては着床の妨げになるため、状況に応じて治療が必要です。
市販薬が効かないくらい月経痛が重い場合、病気の可能性を考え、早めに診察を受けましょう。子宮内膜症になると、月経痛が強くなる傾向があります。子宮内膜症は、子宮内膜組織が子宮以外の場所で月経のような増殖と剥離をする病気で、不妊の原因のひとつです。卵子の質にも影響する可能性があるため、早めの治療が必要です。
極端な肥満、もしくはやせ型の場合も妊娠しづらい傾向があります。どちらも月経周期の異常が起こりやすいため、基礎体温をしばらくつけて、自分の体の現状を把握することをおすすめします。
クラミジアなどの性感染症は、卵管の癒着などを引き起こす可能性があります。排尿時の痛みや違和感、性器の腫れ、発疹などがあるときは、必ず検査を受けてください。陽性の場合は、夫(パートナー)とともに治療を受けることが大切です。
では、男性に不妊の原因がある場合には、どのような兆候があるのでしょうか。ここでは、3つの症状についてご紹介します。
精索静脈瘤は、心臓へ戻る血液が逆流して精巣内にコブができ た状態のことをいいます。温かい血が静脈瘤に溜まることで、精子の機能が低下するといわれています。
精液の量が極端に少ない場合、射精した精液が膀胱へ戻る逆行性射精の可能性があります。通常のルートで射精される量が少ないため、妊娠の可能性が低下します。
甲状腺機能低下症を患っていると、精子数や精液量の減少、精子の運動率低下が見られる場合があります。また、糖尿病の場合、勃起不全など性機能への障害が見られることがあります。
「もしかしたら不妊かも」と思ったら、まずはクリニックや専門施設でのカウンセリングで検査の必要性や費用、治療開始のタイミングなどを相談することをおすすめします。
不妊治療を開始するタイミングに明確な決まりはありませんが、原因によっては根本的な原因の治療からスタートする場合もあり、治療に長い時間がかかることも考えられます。年齢によっても治療にかかる期間には差があるため、できるだけ早く治療を始めましょう。
にしたんARTクリニックでは、回数の制限なく無料でカウンセリングを受けることができます。もちろん、カウンセリングの内容が他者に漏れることはありません。
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