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黄体機能不全とは?症状を自分でチェックする方法や改善策を解説

黄体機能不全とは?症状を自分でチェックする方法や改善策を解説

不妊の原因のひとつに、黄体機能不全があります。不妊の原因にはさまざまなものがありますが、黄体機能不全は不妊治療を続けていてもなかなか着床しなかったり、流産を繰り返したりする場合に疑われる症状です。 本記事では、不妊や流産の原因ともいわれる黄体機能不全について、その症状や原因を解説します。併せて、黄体機能不全かどうかをセルフチェックする方法やクリニックでの検査方法、治療方法についても見ていきましょう。

不妊症の原因にもなる黄体機能不全

黄体機能不全とは、黄体からのホルモン分泌が不十分なために、黄体の存続期間が短縮し、子宮内膜を妊娠に適した環境で維持できない状態を指します。受精卵(胚)が着床する環境を整えることができず、不妊や不育症の原因にもなります。

黄体は、卵巣内の卵胞が排卵した後に黄色く変化してできる器官です。プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌し、子宮内膜を厚くふかふかに整え、受精卵(胚)の着床を助ける働きがあります。 プロゲステロンを正常に分泌できない場合、受精卵(胚)の着床や妊娠の維持が困難になります。黄体は、妊娠や妊娠を維持するために、とても重要な役割を果たす器官なのです。

黄体の働き

黄体機能不全になる原因

黄体機能不全になる原因について、明確なことはわかっていません。 主な原因として、脳から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン)、GnRH(性腺刺激ホルモン)の分泌量が十分でないことから、下記のような状態が引き起こされるためと考えられています。

卵巣の機能低下

卵巣の機能が低下すると、プロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)といった妊娠に必要な女性ホルモンに直接影響を及ぼします。卵巣の機能低下による女性ホルモンの減少は、一般的には加齢に伴う更年期の症状として有名ですが、遺伝的な要因のほか、炎症や手術などの影響によって引き起こされることもあります。

卵胞の成熟不良

卵胞は卵巣内に貯蔵されている卵子の元となる組織で、1個の卵胞には1個の卵子が入っています。1回の月経周期につき15~20個の卵胞が成長 し、最も成熟した1個の卵胞だけが卵子を排出します。これが排卵です。
適切に成熟しなかった卵胞が排卵を行った場合、黄体としても十分にプロゲステロンを分泌することができず、黄体機能不全が発生する可能性があります。

ホルモンバランスの乱れ

黄体機能は、脳から分泌されるさまざまなホルモンによって制御されており、ホルモンバランスが乱れるとプロゲステロンの分泌も十分に行われません。
ホルモンバランスは生活環境や習慣を反映しやすく、ストレスや栄養不良、体重の変動などの影響を受けて、簡単に乱れてしまいます。

薬剤や治療の影響

排卵誘発剤やホルモン療法といった、生殖にまつわるホルモンに直接影響を与える不妊治療法や薬剤を使用した場合、ホルモンバランスが制御され、黄体機能不全を引き起こすことがあります。この場合は、黄体機能不全の治療も同時に行うことになります。

遺伝的・身体的要因

遺伝性の内分泌疾患が、黄体機能に影響を及ぼすことがあります。また、加齢や肥満、摂食障害、過度な運動などの身体的要因も原因になると考えられています。これらのうちのひとつではなく、複数の原因が組み合わさって発生することもあります。何かしらの疾患が原因の場合は、まずそちらの治療を行わなければなりません。
正確な原因を特定し適切にアプローチするためにも、専門医の診察と検査を受けることが大切です。

黄体機能不全の症状

黄体機能不全が、結果として不妊や不育症を引き起こすことがありますが、妊娠を希望していない期間にも黄体機能は働いているため、黄体機能不全になると日常でもいくつかの症状が表れます。代表的なものが月経不順です。

通常であれば、排卵後に形成された黄体はプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌して子宮内膜を成熟させ、受精卵(胚)が着床しやすい環境を作ります。
しかし、黄体機能不全の状態だとプロゲステロンの分泌が正常に行われず、子宮内膜が十分な厚さまで成熟しません。薄い子宮内膜はその分はがれ落ちやすく、結果として不規則な月経周期や無月経、月経量の減少などが起こります。不正出血も症状のひとつです。

不妊や流産を繰り返すのも同じ理由で、黄体機能不全の状態では子宮内膜が整わないため、受精卵(胚)の着床が困難になります。受精卵(胚)が着床した場合でも十分な栄養を提供できず、妊娠の継続が難しいのです。
さらに、黄体機能不全の状態では排卵のタイミングが不確定なため、妊娠可能な時期を把握することも難しくなります。

黄体機能不全かどうかをチェックするには?

黄体機能不全かどうかをチェックするためには、病院で診察と検査を受けることが最も確実です。
ただし、日頃の症状で黄体機能不全を疑うこともできるため、セルフチェックの方法と病院での検査方法を併せてご紹介します。

セルフチェックの方法

黄体機能不全かどうかを自分でチェックする場合は、下記の項目を確認してみましょう。

黄体機能不全セルフチェック項目

  • 月経不順である
  • 排卵後の基礎体温が低い
  • 排卵後の高温期が短い
  • 不正出血がある

黄体機能不全の状態だと、子宮内膜を妊娠に適した環境のまま維持することができず、短期間で妊娠可能な「黄体期」を終えてしまいます。そのため、月経周期の長さや間隔が不規則です。
通常、黄体期にはプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きで体温が上昇するので、排卵後の体温上昇が不十分な場合や、排卵後の高温期が短い場合には、黄体機能不全の可能性を考えます。

また、黄体機能不全の状態では子宮内膜が十分に厚く整わず、はがれ落ちやすいために起こるのが不正出血です。同じ理由で経血量も少なくなるため、月経が始まった際にチェックしてみてください。

上記のチェック項目のほか、排卵から次の月経までの2週間程度のあいだに、乳房が張る、体が熱いといった月経前の兆候がない場合も、黄体機能不全が疑われます。

病院での検査方法

黄体機能不全かどうかを病院で検査する場合は、黄体期の期間やプロゲステロン値を組み合わせて、総合的に判断されます。検査項目としては、下記のような項目が挙げられます。

基礎体温測定

毎日の起床後の体温を測定し、チャートに記録して高温期の期間を見ます。個人の月経周期にもよりますが、プロゲステロンが問題なく分泌されている場合、高温期は14日程度続くため、これより短いかどうかがチェックポイントです。

経腟超音波検査

経腟超音波を使って、卵巣の様子や卵胞の成熟度、黄体の形成などをチェックします。検査に使われるのは、直径1.5~2cm程の超音波プローブという器具です。プローブの先から超音波を発し、子宮や卵巣に反射させて画像を取り込み、子宮や卵巣の様子を確認します。

プロゲステロン測定(血液検査)

プロゲステロンの分泌が十分かどうかを調べるために、黄体期に血液検査を行います。LH(黄体形成ホルモン)やFSH(卵胞刺激ホルモン)なども測定の対象です。一般的には、血中プロゲステロン値が10ng/mlより低い場合に、黄体機能不全が疑われます。

上記の検査のほかにも、黄体機能不全以外の疾患や病態が関与していないかを確認するために、必要に応じてさまざまな検査が行われることがあります。

黄体機能不全の治療法

検査によって黄体機能不全であると判断された場合、個々の症状や状況に応じた治療を行っていくことになります。原因によって治療法が異なるため、ここでは4つのケース別に見ていきましょう。

プロゲステロン(黄体ホルモン)の数値が低い場合

プロゲステロン(黄体ホルモン)の数値が低いと判断された場合は、排卵前後のタイミングでhCG製剤の注射を打ったり、内服薬を用いたりして、プロゲステロンを補充する治療が行われます。
プロゲステロンの補充治療を行うことで、子宮内膜の成熟や着床の促進が期待できるようになります。

卵胞や排卵に問題がある場合

卵胞や排卵に問題があると判断された場合は、排卵誘発剤を投与する治療が行われます。
特に、体外受精(Conventional-IVF/ふりかけ法)・胚移植を行う場合は、使用する薬剤の影響によってプロゲステロンの分泌が低下するため、プロゲステロン製剤投与は必須の治療です。

また、排卵誘発剤は、ホルモンバランスの乱れが原因で黄体機能不全が引き起こされている場合にも用いられることがあります。排卵のタイミングや周期を正常化することで、黄体の機能改善が期待できるでしょう。

そのほかの病気が見られた場合

黄体機能不全がそのほかの病気の症状として表れている場合は、原因の疾患や病態に応じて抗炎症薬や免疫療法、手術などの治療が行われます。
例えば、甲状腺機能異常や高プロラクチン血症が黄体機能不全の原因となっている場合は、まず病気の治療が優先されます。

生活習慣に問題がある場合

肥満や摂食障害、運動不足など、生活習慣の問題が原因で黄体機能不全が引き起こされている場合は、生活改善に重点を置きます。まずは適度な運動や栄養バランスのとれた食事を心掛け、体重を管理して適正に保つことが推奨されます。

さらに、ストレスのない生活を送ることも大切です。ストレスはホルモンバランスを乱す原因となり、排卵や黄体の形成にも影響を与えます。
黄体機能不全の治療法は症状や原因によって異なるため、専門医の指導のもと、最適な選択をしましょう。

黄体機能不全の症状に気づいたら、すぐに診察を受けよう

黄体機能不全は、複数の原因が組み合わさって引き起こされることもあります。不妊治療中の女性にとっては深刻な状態であるにもかかわらず、自分だけで判断できることではありません。
また、黄体機能不全の症状のひとつである黄体期の不正出血は、不正性器出血の可能性も疑われるため、妊娠を希望していない場合でもすぐに医師の診察を受けることが大切です。

黄体機能不全の治療においては、一人ひとりの健康状態や体質に合わせてケアをしていく必要があるため、専門医の診察と検査を受け、適切な治療やサポートを受けましょう。

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