妊活
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「妊活は女性が取り組むもの」「男性はできることがない」と思っていませんか?
実は、男女の不妊の割合は半々であり、男性側に不妊の原因があることは珍しくありません。妊活は、男性と女性がいっしょに取り組んでこそ意味があります。
この記事では、男性が実践できる妊活のひとつとして、精液量を増やす方法や性質の質を上げる方法を紹介します。妊娠に一歩でも近づくため、参考にしてください。
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妊娠を成立させるためには十分な精液量が必要精液量や精子の質を改善するメリット精液量や精子の質を改善するには?精液量や精子の数が基準値に満たない原因妊活はパートナーといっしょに、にしたんARTクリニックへご相談ください妊娠を成立させるためには、どれくらいの精液量が確保できればいいのでしょうか。また、精子の質はどのように関係するのでしょうか。まず、精液について詳しく解説します。
精液のほとんどは液体部分である「精漿(せいしょう)」で、細胞成分である「精子」は精液全体のわずか1~5%程しかありません。
精子は思春期以降、男性の体内で毎日新しく作られています。「射精できていれば生殖能力がある」と思われがちですが、男性の妊孕力(妊娠させる力)を左右するのは、精液の中に含まれている精子の質と量です。精液の中に5%以下しかない精子のうち、受精できる能力がある精子が少なかったり、まったくなかったりすれば、当然ながら妊娠の確率は大きく下がります。
詳しくは後述しますが、「精子の運動量が少ない」「精子に運動機能がない」「精子の形状に異常がある」といったことも不妊の原因になります。
こうした精液の量や精子は、不妊専門クリニックや泌尿器科で受ける精液検査で知ることができます。精液検査は、2~7日以内の射精を行わない禁欲期間が必要なので、注意が必要です。射精した翌日に精液検査をしても正確な数値は出ません。
自然妊娠が期待できる精液の基準値とはどのようなものでしょうか。WHO(世界保健機関)が定めている自然妊娠が期待できる基準値は下記のとおりです。
自然妊娠が期待できる精子の基準値は、1.4mL以上と定められています。健康な成人男性の場合、精液量の平均は約3mLなので、一般的な量が出ていれば問題ありません。
ただし、1.4mLよりも量が少ない場合は注意が必要です。精液量がわずかだと、精液に含まれる精子の数も十分でない可能性があり、自然妊娠できる確率が下がることが考えらます。男性の精液量は加齢によって減っていくため、年齢を重ねた方は精液量にも気を配る必要があります。
また、精液量が多いほど、性的な快感が高まるとされています。よって、精液量が少ないと 性交渉をしたいという気持ちが減退し、性交渉の回数自体が減ったり、ED(勃起不全・勃起障害)につながったりし、自然妊娠が遠ざかる原因になることがあります。こうした理由からも、精液量は多いほうが良いと考えられます。
精子濃度とは、精液1mLの中に存在する精子の数を指しています。妊娠が成立するためには、精液の量と同様に精子の数が 重要です。精液量が多くても含まれている精子数が少なければ、妊娠に至る確率は低くなります。
WHOの基準値では、精液1mLあたりの精子濃度は1,600万/mL以上が正常値であり、これを下回ると不妊の原因である「乏精子症」と診断されます。
精子運動率とは、精液検査で確認できる精子のうち、運動している精子の割合です。正常な運動率は42%以上で、これより少ないと自然妊娠の可能性が下がります。
精子正常形態率とは、見た目に異常がない精子の割合です。極端に小さい、あるいは大きい精子や、頭部や中間部に変形があるもの、尾部が2つに分かれているものなどは奇形精子で、正常精子に比べて妊娠の確率が低くなります。
奇形精子であっても受精すれば妊娠する可能はあり、赤ちゃんの生育への影響も正確にはわかってはいません。しかし、不妊治療においては、 奇形因子が多い場合は奇形精子症と診断されます。1回の射精で採取できる精液中、4%以上が正常な形をしていればWHOの基準値はクリアしています。
精液量や精子の質は、妊娠に大きく影響します。ここでは、精液量や精子の質を改善する主なメリットについて、詳しく見ていきましょう。
仮に精液量が少なくても、含まれている精子の質が良ければ妊娠につながる可能性はあります。しかし、精液量が多いことに越したことはありません。
精液量が増えることにデメリットはないので、より良い妊活を目指す男性は、積極的に精液量と精子の質の改善に取り組みましょう。
精液量が多いと、射精の際の快感が大きくなることが多いといわれています。これは、大量の精液を強く押し出すために、骨盤底筋周辺 が強く収縮するからだと考えられます。
性的快感の向上は、性交渉の機会の増加につながり、自然妊娠の可能性を高めることができます。
筋肉量の多い、隆々たる体つきに憧れる男性も多いのではないでしょうか。男らしさを司る男性ホルモン(テストステロン)は精巣(睾丸)で作られていて、精子の生産にも大きく関わっています。
男性ホルモンが年齢とともに減ると、精液量や精子の量もそれに比例して減少していくことがわかっています。 精液量を維持することで、筋肉質な容姿や活動性を保つことにもつながります。
精液量や精子の質を改善するには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、すぐに始められる、精液量や精子の質を改善する方法を紹介します。
精液量と精子の質を改善するために、すぐに取り組めて成果につながりやすいのは、生活習慣を見直すことです。具体的には、下記の5つがおすすめです。
大きい筋肉をしっかり鍛える筋トレやウェイトトレーニングは、精子量に関わる男性ホルモン(テストステロン)の分泌を促すのに効果的です。本格的な筋トレが難しい方は、仕事の合間にスクワットをするだけでも、お尻やハムストリングス、ふくらはぎといった主要な筋肉を鍛えることができます。
早歩きやジョギング程度の有酸素運動と組み合わせるとより筋トレの効果が上がるた め、通勤中や休日などに実践してみてください。
男性ホルモンは、質の良い睡眠によっても増加します。睡眠中の覚醒が少ない状態で6時間以上眠り、すっきりと起きることができていれば、良い睡眠がとれているといえます。
中途覚醒が多い場合は、マットレスや部屋の明るさ(暗くして眠る)、温度などを見直して、睡眠環境を整えるのがおすすめです。
WHOの調査によると、喫煙は精液の量や精子の質に影響を及ぼすことがわかっています。精子の奇形率も上がるため、 妊活中の男性は禁煙を心掛けてください。
肥満の男性の精子濃度や精子数は、標準体重の男性に比べて低下します。適正体重を維持すれば、精子の質の改善も可能です。食事量と活動量をコントロールし、摂取エネルギーよりも消費エネルギーを増やすことで、減量に取り組むといいでしょう。
長時間にわたる座位や、締め付けの強い下着の着用は、下半身を圧迫して精子の運動率を低下させる可能性があります。また、精巣付近の温度が上がることも、精巣機能の低下につながります。精巣付近は、体温より2~4℃低く保つことを心掛けてください。
定期的に姿勢を変えること、通気性の良いトランクスのような下着を着用することなどもおすすめです。
食事に含まれる栄養素の見直しも、精液や精子の生成に有用です。積極的にとりたい栄養素と、多く含まれる食品の例を下記でご紹介します。とはいえ、特定の栄養素に偏ることなく、バランスの良い食事を心掛けてください。
栄養素 | 代表的な食材 |
亜鉛 | 牡蠣、ウナギ、にんにく |
葉酸 | ブロッコリー、ほうれん草、枝豆 |
アルギニン | マカ、大豆製品、鶏肉 |
ビタミンA | レバー類、ほうれん草、さつまいも |
ビタミンB群 | 緑黄色野菜、納豆、玄米 |
ビタミンC | ブロッコリー、赤ピーマン、黄ピーマン |
ビタミンE | アーモンド、ウナギ、アボカド |
βカロチン、リコピン | トマト、にんじん、ほうれん草 |
栄養素 | 代表的な食材 |
トランス脂肪酸 | 加工肉(ハムやスパム)、マーガリン、ショートニング |
カフェイン | コーヒー、エナジードリンク、紅茶 |
アルコール | 酒類全般 |
自然妊娠が可能な精液量や精子の数は、前述したWHOが示す基準値が大きな目安です。クリニックで精液検査をした際にこれより数値が低い場合、精子を作る機能か、精子が通過する場所に異常がある可能性があります。 ここでは、精液量や精子の数に問題がある場合の原因について見ていきましょう。
精子を作る機能を造精機能といい、精子を作る精巣そのものに問題があると造精機能が低下します。男性不妊の原因のうち、多くを占めるのがこの造精機能の障害です。 造精機能障害を引き起こしている場合の原因は、下記のとおりです。
無精子症とは、精液検査で精子がほとんど存在しない、あるいはまったく確認できない場合に診断される疾患です。無精子症は、精子は作られているものの、通り道が詰まっていて出てこない「閉塞性無精子症」と、精子を作る機能に問題がある「非閉塞性無精子症」に大別されます。
精巣がんとは、精巣に発生する悪性腫瘍です。治療が始まると、抗がん剤投与などで正常な精子が作れなくなる可能性があるため、治療前に精子の凍結保存を検討する必要があります。
停留精巣とは、陰嚢内に精巣が降りてこない状態をいいます。停留精巣は先天性の異常で、精子の質や運動率に影響します。
精巣炎とは、精巣に炎症が起きている状態をいいます。精巣炎になると精巣の温度が上がり、造精機能が低下することにつながります。成人後におたふく風邪にかかって精巣炎を起こし、無精子症になるケースが代表的な例です。
精索静脈瘤とは、卵巣から伸びている血管やリンパ管、神経などが束になった精索と呼ばれる部分の静脈の機能が悪くなり、血液が逆流することによって瘤のようになる疾患です。造精機能障害の中でも比較的多い疾患ですが、手術で瘤を切除すれば、造精機能が改善しやすいでしょう。
ホルモン異常とは、生殖機能に深く関わる男性ホルモン(テストステロン)に異常がある状態です。何らかの原因で分泌量が低下すると、精子が作られなくなったり、性欲がわかなくなったりします。 男性ホルモンは加齢によって少しずつ低下していきますが、気になる場合は男性更年期専門外来などを受診すれば、血液検査によって分泌量を確認することが可能です。
精子の質は、生活習慣によっても左右されます。睡眠不足、栄養の偏り、運動不足、肥満、喫煙といった生活習慣は、精子の量や質を低下させます。前述した内容を参考に、生活習慣の改善を図ってください。
精子が精巣で正常に作られているものの、精子の通り道に異常がある場合、精液量や精子の数が少なくなります。詳しい原因を解説します。
精子は精巣で作られた後、精巣上体に貯蔵されます。射精時には精巣上体から精管、精嚢を通って尿道を通り、陰茎から外へ出るという経路をたどります。
そのため、精巣上体、精嚢腺、前立腺などに先天的な欠損や奇形がある場合、精液がうまく通過することができません。
鼠径ヘルニアとは、本来は腹腔内にあるはずの腸管などが足のつけ根に飛び出す疾患です。幼少期に鼠径ヘルニアの手術を受けた場合、その影響で精管が閉塞することがあります。思春期以降も精管が閉塞していると、精子の通過を妨げる原因になります。
逆行性射精とは、本来なら陰茎から外へ出るはずの精液が逆行し、膀胱へ戻ってしまう疾患です。前立腺肥大症で前立腺手術を受けた方に見られる症状ですが、糖尿病、脊髄損傷などが原因になる場合もあります。妊孕性を改善したい場合、医師の指示のもとで薬を服用します。
妊活がうまく進まない場合、原因を明らかにして改善することが大切です。妊娠に至らない原因は検査をしなければわかりませんから、まずは専門医のいる不妊治療専門のクリニックを受診して状況を相談しましょう。
不妊の原因は男女どちらにもあり得るので、必ずご夫婦(カップル)で受診することが大切です。
なお、にしたんARTクリニックでは、不妊治療を始める前に各院でカウンセリングを受けることができます。その後の精液検査をしてわかった精液量や精子の質についても、カウンセラーが無料でご相談にお応えしていますので、お気軽に受診してください。
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