体外受精
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不妊の原因が男性側にも女性側にもあることが知られるようになり、積極的に不妊治療に取り組む男性が増えています。女性の卵子の質の低下が不妊の原因のひとつであるのと同様に、精子の質も不妊に影響することを知って、精子の質について気がかりな男性もいるのではないでしょうか。
実際、精子の質は不妊治療の結果を左右する要因のひとつであり、一定期間射精をしない「禁欲期間」を設けて精子の質を高めることが望ましいといわれています。
この記事では、禁欲期間の考え方を含め、妊娠を成功に導くための精子の質を高める方法について解説します。
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精液の量や精子の質の安定につながる禁欲期間は2~4日間精子の質の判断基準不妊治療の際に採取した精子の使用方法採精日に向けて精子の質を高める方法禁欲期間を含めた採精に関するお悩みは、にしたんARTクリニックにご相談ください生殖補助医療(ART)では、女性の体内から卵子を、男性から精子を採取して体外で受精させる体外受精(C-IVF)を行います。体外受精(C-IVF)の成功には、卵子と精子の質が大きく関わっていて、両方の質が高いと受精する確率が高くなるといわれています。その後の胚の状態も、良好であることが多いでしょう 。
卵子と精子が作られる過程で考えると、卵子は女性が生まれる前、胎児の時点で将来排卵できる一生分の卵子の「もと」が作られます。一方で、精子は2~3ヵ月の時間をかけて新しい精子がどんどん作られます。そのため、精子の質を高めるには、基本的な生活習慣を整えるとともに、適切な禁欲期間を設けることが有効と考えられているのです。しかし、禁欲期間が長いほど精子の質が高まるわけではありません。
WHO(世界保健機関)は禁欲期間2~7日間の検査データを使って「自然妊娠が期待できる基準値」を示していますが、これは下限参考値です。つまり、必ずしも2~7日間がベストだというわけではありません。
欧米の調査では、精子の質と量は日数が長いほど増え、7~8日間で横ばいになるとするデータがあります。一方、禁欲期間が長すぎると精子の運動率は下がり、精子のDNA断片化率(DNAが損傷している確率)が上がるとする報告もあります。
こうした情報を総合的に検討すると、精子の質、数、濃度などをベストな状態に保つには「2~4日程度」が望ましいといえそうです。にしたんARTクリニックでも、採精いただく際の禁欲期間は2~4日を推奨しています。
なお、禁欲期間は、射精をしてから24時間が経過した時点で「禁欲期間1日」、48時間が経過した時点で「禁欲期間2日」と数えるので注意してください。
精子の質とは妊娠しやすさの指標のことで、「精液量」「精子濃度」「精子運動率」「精子正常形態率」から判断されます。精子は精液の中に含まれているため、精子の質は精液検査を行うことでわかります。
精子の状態は、さまざまな要因によって日々変化するため、不妊治療に精子を使用する際には、ベストな状態を目指したいものです。WHOが精液検査マニュアルで定めている「自然妊娠が期待できる基準値」を参考に、精液検査の数値の向上を目指すといいでしょう。
精液検査で基準値を超える数字が出れば、それだけ不妊治療が成功する確率も高まります。
不妊治療の人工授精(AIH)や体外受精(C-IVF)、顕微授精(ICSI)では、男性患者さまに精液を提出いただくことが必須です。
続いては、クリニックに提出した精液がどのように使用されるのか、また、精子の質が重視される理由について解説します。
人工授精とは、排卵の時期に合わせて採精し、子宮の入り口から挿入したチューブで、医師が子宮内に直接精子を注入する方法です。
「人工」といっても、医療がサポートするのは精子の濃縮と注入だけであり、卵子が待つ卵管までたどり着けるかどうかは精子自身の力にかかっています。よって、精子の質が良い状態で実施することが望ましいです。
人工授精について詳しくは、こちらのページをご覧ください。人工授精(AIH)
生殖補助医療(ART)である体外受精(C-IVF)と顕微授精では、それぞれ下記の方法で受精を助けます。
体外受精(C-IVF)では、採卵した卵子をシャーレに用意し、採精後に洗浄した状態の良い精子規定量を胚培養士がふりかけ、受精を促します。ふりかけた精子のうち1匹だけが卵子に入り込むことが可能です。卵子に入り込むには、精子の前に進む力が必要なので、ここでも精子の質は重要といえます。
顕微授精では、採卵した卵子をシャーレに用意し、採精して洗浄した精子の中から状態の良い精子を1匹選び、胚培養士が顕微鏡下で確認しながら、細いガラス針で卵子に注入します。
いずれの方法も、採取した精液を胚培養士が洗浄し、状態の良い精子を選り分けた上で実施しますが、そもそもの精子の質が底上げされていれば、より良い精子を使用できる可能性が高まり、高い治療効果が期待できます。
体外受精(C-IVF)について詳しくは、こちらのページをご覧ください。体外受精(C-IVF)について
顕微授精について詳しくは、こちらのページをご覧ください。顕微授精(ICSI)について
胚移植について詳しくは、こちらのページをご覧ください。胚移植とは?
不妊治療では、体外受精(C-IVF)の採卵や人工授精(AIH)に向けて綿密にスケジュールを調整するため、採精が必要となる日をあらかじめお伝えすることが可能です。採精日に向けて、できるだけ精子の質を高めましょう。
ここでは、不妊治療に臨む男性に向け、精子の質を高めるおすすめの方法を紹介します。女性の卵子の質向上にもつながる生活習慣などは、パートナーといっしょに取り組むと連帯感が生まれ、継続しやすいものです。ぜひ、お二人で協力し、妊娠への準備を始めてください。
適切な禁欲期間にはさまざまな説がありますが、射精と射精の期間をある程度空けたほうが精子の質が良くなることは確かです。2~4日は禁欲した上で採精日を迎えるよう調整してください。
人工授精や体外受精(C-IVF)を行う場合、原則として女性の排卵日に合わせて治療計画が組まれます。パートナーといっしょに通院するか、パートナーから予定を聞いてスケジュールを把握してください。治療の日から逆算して禁欲期間を設定し、採精に備えます。
精巣では、精子が毎日作られていて、精巣に溜められます。たとえ毎日性行為をして射精しても、次々に作られるため、健康な男性の精子がなくなることは基本的にありません。
しかし、精子を新鮮なまま精巣に溜め込むことは不可能です。射精されなかった精子は精巣内で少しずつ劣化してしまうため、長すぎる禁欲期間はかえって精子の質を落としてしまいます。これを避けるには、定期的に射精をして、精巣内の精液を入れ替え、精子を常に新しくしておくことが大切です。
妊活中は、禁煙は必須です。たばこには有害物質が含まれており、傷の治癒の遅れや術後の呼吸器合併症の発症、骨密度の低下、歯周病、白内障など、喫煙者自身の健康を悪化させる要因になるといわれています。
特に男性においては、勃起障害をはじめ、精子の変形・数の減少・運動性の低下を引き起こす可能性があることがわかっています。
喫煙で酸化ストレスが増すと、DNA断片化率が増加し、受精や妊娠のしにくさ、初期流産のしやすさにつながることも心配です。
精巣や精子は、熱に弱いのが特徴です。そのため、体の外に出ている陰のうの中に収容され、体温よりも低い温度を保っています。股間周りの温度が上がると精巣も精子も機能が低下してしまうため、股間周りはできるだけ涼しく、32~35℃に保つのがおすすめです。
精巣を締め付けると温度が上がるため、妊活中はボクサータイプよりはトランクスなどのゆったりとした下着を着用し、股間周りに余裕を持たせることをおすすめします。
また、精巣の温度が一気に上がるサウナや長風呂は避けてください。座りっぱなしの姿勢も、股間周りに熱がこもる原因となります。デスクワーク中は定期的に座り直すなどし、陰のうの血流を良くして温度がこもらないようにしてください。長時間の自転車も悪影響を及ぼす可能性があるという研究もあります。
睡眠時間と精液の量、および男性ホルモンのテストステロンの分泌には密接な関係があり、睡眠時間が短すぎても、長すぎても精液の質を低下させます。 また、睡眠不足であることにストレスを感じると、さらにホルモンバランスが乱れてしまいます。
睡眠の質を上げるおすすめの方法は、下記のとおりです。
起床・睡眠を毎日同じ時間にし、体内時計を整えます。「朝起きたらすぐに太陽光を浴びるようにする」「寝る直前はスマートフォンやパソコンの使用を控える」といった工夫をして、正しい生活リズムにすることで、睡眠の質を上げることが可能です。
寝心地の良い環境を整えることで、睡眠の質は向上します。季節に合わせて、保温性や放湿性の高い寝具を取り入れるほか、照明を落として部屋を真っ暗にしたり、遮光性・遮音性の高いカーテンを選んだりすると寝心地が良くなり、眠りやすくなります。
栄養バランスの良い食事は、質の良い精子と卵子が育つ体づくりに不可欠です。特に、ビタミンE、ビタミンC、オメガ3脂肪酸、亜鉛は、精子の質に直結する栄養素であり、積極的にとることが望ましいです。
中でも亜鉛は、精子を作る機能や前立腺の機能を高める作用があり、不妊治療中の男性にとって重要な役割を果たします。意識して亜鉛を含む食べ物を摂取するようにしてください。
精子の質や精液量について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
精液量を増やすには?妊活のために質の良い精子を作る方法を解説
妊娠の確率を上げるには、精子の質も重要な要素です。適切な禁欲期間を設けて、質の良い精子を採精できるように調整しましょう。
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