卵子凍結

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卵子凍結から妊娠する流れとは?リスクや費用など基本情報を解説

卵子凍結から妊娠する流れとは?リスクや費用など基本情報を解説

仕事や趣味に忙しい生活を送る女性の中には、「今は妊娠・出産は考えていないけれど、いずれは検討したい」「将来の妊娠・出産のために今できることはやっておきたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。将来の妊娠・出産の可能性を広げたいという方には、卵子凍結をおすすめします。卵子凍結は、女性が将来の妊娠に備えて自分の卵子を未受精のまま凍結保存する方法のことです。卵子を凍結保存しておけば、年齢や健康状態の変化に関係なく、妊娠を望む時期がきたときに自分の卵子を利用して、妊娠を試みることができます。
ただし、卵子凍結は、将来妊娠することを必ず保障するものではありません。また、卵子凍結は自由診療であり、治療するステップが多いため、費用は高額になります。卵子凍結を検討する際は、治療内容とリスクを理解し、納得してから進めることが大切です。 この記事では、卵子凍結の流れを詳しく解説します。考えられるリスクやかかる費用についてもふれているので、卵子凍結を検討中の方は参考にしてください。

卵子凍結とは採卵して未受精卵子を凍結保存しておくこと

卵子凍結とは、今は妊娠する予定のない方が、現在の卵子を採取し、未受精のまま凍結保存する方法のことです。少しでも若いときの卵子を凍結保存することで、将来妊娠するタイミングがきたときに凍結保存しておいた卵子を使って、妊娠の可能性を高められます。 卵子凍結は、経腟超音波に取り付けた細い針を卵巣に刺して卵子を獲得する採卵を行います。取り出した卵子を-196℃の液体窒素の中で凍結させるため、卵子の質は変化せず、使用するまで半永久的に保存することが可能です。将来、パートナーができて妊娠を望むときがきたら、凍結卵子を融解して受精操作し、胚移植して着床・妊娠を促すことになります。

女性は年齢が高くなると卵子の質が低下するため、妊娠率が下がります。卵子凍結であれば、若いときに保存した質の良い卵子を、妊娠を望んだ未来で使えるのが大きなメリットです。例えば25歳で卵子凍結をした場合、12年後の37歳になったときに凍結しておいた卵子を融解して受精・胚移植すれば、25歳時点での卵子の質で妊娠を試みることができます。

卵子凍結をした場合の妊娠に至る流れを、下記で詳しく見ていきましょう。

卵子凍結の流れ

卵子凍結は、主に不妊治療専門クリニックや産婦人科などで実施します。にしたんARTクリニックで卵子凍結を行う際の流れは、下記のとおりです。

1.カウンセリングを受ける

にしたんARTクリニックで卵子凍結を実施する際は、事前にカウンセリングを必ず受けていただきます。各院のカウンセラーが流れや費用について、詳しく説明いたします。治療が始まった後も、無料で何度でもカウンセリングを受けられるので、疑問やお悩みを解消した上で治療を進めることが可能です。

2.初診・スクリーニング検査

卵子凍結をすることが決まったら、初診で医師からもあらためて卵子凍結について詳しく説明します。その後、スクリーニング検査として血液検査、超音波検査などで体の状態を調べ、卵子凍結に向けて病気や異常がないかを確認します。

3.再診・卵巣刺激開始

検査結果から卵子凍結が可能と判断されたら、医師が卵子凍結のスケジュールについて説明を行います。卵子凍結では、質の良い卵子をできるだけ多く採卵するために、内服薬や注射剤などの排卵誘発剤を使用して卵巣刺激を実施します。方法や使用する薬剤については、医師と相談しながら決めていきましょう。

採卵する周期の月経が開始したら、月経2~3日目に来院し、経腟超音波検査、採血によるホルモン検査で卵巣の中にある卵胞の成長具合を確認し、卵巣刺激を調節します。その後も3~4日に一度来院し、卵胞の状況を確認することが必要です。

4.採卵・凍結保存

採卵は、排卵直前にまで卵子が成長した段階で行います。排卵予定日の34~37時間前に主に点鼻薬でLHサージを誘起し、卵子の成熟を促します。

採卵手術は、医師が行い、採卵にかかる時間は10分ほどです。経腟超音波で卵巣に針を刺し、卵胞液ごと吸い上げて卵子を採取します。その後、胚培養士が卵子の成熟度を確認し、液体窒素タンクで凍結保存します。

採卵後は院内にあるリカバリールームで、2~3時間程お休みください。その後、医師による術後診察と胚培養士による採卵結果の説明があります。体調に問題がなければ、ご帰宅いただけます。

その後、妊娠を望む日まで、クリニックへの通院は必要ありません。凍結保存した卵子は、クリニック内で大切に保管します。保管している期間中は、毎年、保管費用がかかるのでご注意ください。 にしたんARTクリニックでは、卵子凍結は原則40歳まで、凍結卵子の保管は50歳まで可能です。40歳以上の方で卵子凍結にご興味がある方は、まずはカウンセリングを受けることをおすすめします。

5.妊娠を望む段階になったら来院し、手続きをする

将来、夫(パートナー)ができ、妊娠を希望する段階になったら、クリニックへご連絡ください。手続きや必要な書類の提出後に、胚移植するための治療が始まります。凍結卵子を使った治療は、顕微授精(ICSI/イクシー)で妊娠を目指します。この際、費用は自費となるのでご注意ください。

6.顕微授精し、受精卵(胚)を培養する

保存していた凍結卵子を使った治療では、まず受精卵(胚)を作ることが必要です。凍結卵子を融解し、夫(パートナー)が採精した精子を使って、顕微授精を行います。できた受精卵を培養し、胚盤胞と呼ばれる妊娠しやすい状態にまで受精卵(胚)を育てます。その後、再度、受精卵(胚)を凍結し、次回以降の月経周期に凍結融解胚移植を実施します。

7.胚移植する

胚移植する周期が始まったら、クリニックでの経腟超音波検査や血液検査が必要です。子宮内膜の状態に合わせ、投薬によるホルモンの調整を行って子宮の状態を整えます。胚移植では、子宮内膜がふかふかのベッドのように厚くなっていることが望まれるためです。

胚移植当日、胚培養士が凍結胚を融解します。胚移植自体は、やわらかいカテーテルを使って子宮内の着床しやすい場所に、そっと置くイメージで行われます。多胎妊娠のリスクを回避するため、胚移植する数は原則1つのみです。

胚移植は10分もかからず完了し、痛みもほとんどありません。胚移植後は、着床を促すために子宮内膜を整える黄体補充の投薬を行います。妊娠判定までは、通常どおりの生活を送ることが可能です。

8.妊娠判定を受ける

胚移植をして1~2週間後に、クリニックで妊娠判定を行います。血液検査と超音波検査で詳しく検査し、陽性の場合は、妊娠8~9週目で産婦人科へ移ります。

陰性で凍結胚がある場合は、妊娠に至らなかった原因を探ることが必要です。医師やカウンセラーと相談しながら、治療計画を立てていきましょう。

卵子凍結で考えられるリスク

卵子凍結は、将来妊娠する可能性を高めることができる一方で、リスクもあります。ここからは、卵子凍結を実施する前に知っておきたいリスクについて解説します。

必ず妊娠につながるわけではない

卵子凍結をしておけば、将来、必ず妊娠・出産できるというわけではありません。若いときの卵子を凍結することができたとしても、妊娠とその継続にはさまざまなハードルがあります。卵子凍結は、あくまでも妊娠・出産の可能性を上げるための選択肢のひとつであり、妊娠・出産を保証できる治療ではないことを知っておくことが重要です。

妊娠・出産には年齢の限界がある

卵子凍結をした方が、実際に妊娠を望むようになる頃には40歳前後になっていることも少なくないでしょう。妊娠や出産は年齢との関わりが深く、医療が進歩したとしても40代を過ぎての妊娠率はかなり低下します。また、40代で妊娠できたとしても、流産率も高いことも知っておきたいポイントです。高年齢での妊娠や出産のリスクを鑑み、卵子凍結後も計画的に妊娠・出産について検討するようにしてください。

卵子は凍結・融解でダメージを受ける

卵子凍結では、-196℃の液体窒素タンクで卵子を凍結させ、受精させる段階がきたら一度融解し、胚培養した後に再度凍結させます。医療の進歩により技術が改善されているとはいえ、凍結・融解で卵子は少なからずダメージを受け、質の低下が起こることを知っておきましょう。

未受精卵子を凍結した場合、赤ちゃんの誕生につながる確率は、卵子1個あたり4.5~12%であることがわかっています。そのため、1回の妊娠・出産のためには10~15個の卵子を凍結しておくことが理想であるといわれています。

※出典 公益社団法人日本産科婦人科学会「ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ

費用がかかり、受精方法は顕微授精(ICSI)に限られる

卵子凍結は自由診療なので、経済的な負担が大きく、かかる費用に対して妊娠に至る確率を低く感じる方もいるかもしれません。凍結卵子をクリニックで保管するには、毎年保管料が必要で、ランニングコストもかかります。また、将来妊娠を望む際には、原則として顕微授精(ICSI/イクシー)を行うことになり、その費用は全額自費です。

なお、2024年現在、東京都では卵子凍結に関わる助成金制度がありますが、ほかの自治体ではまだ始まっていません。

東京都の卵子凍結に関わる助成金制度については、こちらのページをご覧ください。

【東京都】卵子凍結費用の助成金について

身体に負担がかかる

卵子凍結では、体に負担がかかることが考えられます。卵巣を刺激するための排卵誘発剤の影響で、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)が生じることがまれにあり、卵巣が腫れたり、腹水が溜まったりする可能性があります。重症化したときの重大な合併症は、腎不全や血栓症です。 また、採卵では卵巣にごく細い針を刺すため、少量ではあるものの出血するケースもあります。また、採卵時には麻酔を使用しますが、痛みが生じることもありえます。出血や痛みに関しては対策できるので、医師やカウンセラーと相談しながら治療を進めましょう。

凍結卵子を保管する際のリスク

患者さまからお預かりした大切な凍結卵子は、各クリニックにおける厳重な管理が欠かせません。

にしたんARTクリニックでは、凍結タンクを保管している培養室は常時施錠し、凍結タンク自体にも鍵をかけ、安全性を高めています。また、凍結タンクをチェーンで壁に固定しており、地震による転倒にも備えています。培養中のインキュベーターには非常時バックアップ電源が常時接続されているので、万が一の災害や停電時にも培養が止まることはありません。 しかし、長期にわたって凍結卵子を預けている間に、予期しない自然災害や火災などが生じることもあるかもしれません。卵子凍結を実施するクリニックを選ぶ際は、セキュリティや安全対策についても確認することをおすすめします。

卵子凍結にかかる費用

卵子凍結は自由診療のため、クリニックによって費用は異なります。にしたんARTクリニックで卵子凍結をする際にかかる費用は、下記のとおりです。

にしたんARTクリニックで卵子凍結を実施した際にかかる費用

初診料3,300円
初診スクリーニング検査22,990円
術前検査9,460円
卵子凍結440,000円(低刺激・高刺激に関わらず一律)
卵子凍結保管料49,500円/年(卵子の数に関わらず一律)

にしたんARTクリニックの卵子凍結については、こちらのページをご覧ください。卵子凍結について

卵子凍結を検討中の方は、にしたんARTクリニックでご相談ください

将来の妊娠・出産に備えるために、卵子凍結をひとつの選択肢として検討する方がとても増えています。若いときの質の良い卵子を冷凍保存することで、ライフプランやキャリアプランの可能性が広がるという方も多いのではないでしょうか。

卵子凍結を検討する方の多くは、仕事を続けながら通院することになります。通院しやすく、安心して凍結卵子を預けることができるクリニックをお探しの方には、にしたんARTクリニックをおすすめします。

全国にあるにしたんARTクリニックは、全院が主要駅から徒歩すぐの立地です。平日はほとんどの院で22時まで、土日祝も休まずに診療を行っているため、通院のストレスなく治療に望むことができます。卵子凍結について詳しく知りたい方、疑問やお悩みをお持ちの方は、ぜひカウンセリングでご相談ください。

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