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不妊治療で処方される薬のひとつにプレマリンがあります。プレマリンは女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)を補充するホルモン剤です。エストロゲンが不足することによって起こる婦人科系疾患の改善に効果があるほか、不妊治療においては生殖補助医療(ART)の際にプレマリンを使用します。
この記事では、不妊治療においてプレマリンが処方される理由や、服用の際の注意点などについて詳しく解説します。
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プレマリンは、婦人科疾患の改善や不妊治療のサポートに使用される卵胞ホルモン剤のこと不妊治療でプレマリンが処方される理由プレマリンの主な副作用プレマリンを服用する際の注意点不妊治療中の薬について知りたい方は、にしたんARTクリニックがおすすめプレマリンは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンを主成分とする卵胞ホルモン剤です。
エストロゲンは女性の健康と美容の維持に欠かせないホルモンで、月経周期の調整や骨密度の維持、動脈硬化の予防、皮膚の老化防止などに重要な役割を果たします。そのため、閉経や卵巣の疾患などによってエストロゲンが不足すると、女性の体はさまざまな不調をきたします。プレマリンは、不足しているエストロゲンを補い、症状を改善する目的で処方されることが多い薬剤です。
プレマリンはホルモンバランスの乱れによって起こる多様な症状に有効で、主に卵巣欠落症状や卵巣機能不全症、更年期障害、腟炎などを発症した際に処方されます。
不妊治療では、月経周期の乱れや排卵障害がある方にプレマリンを処方することで、エストロゲンのバランスが整い、排卵障害の改善や子宮内膜を正常に育てる効果が期待できます。
プレマリンは、エストロゲン不足による多様な症状に効果を発揮するため、不妊治療にも有用です。不妊治療でプレマリンが使用される理由は、大きく3つあります。
プレマリンには、卵巣機能を向上させる効果があります。
卵巣機能に問題があると、卵胞が十分に育たず、結果として質の良い卵子が得られません。不妊の理由が卵巣機能にある場合、卵巣機能を正常化させるためにプレマリンを処方することがあります。
また、プレマリンを服用し、卵胞の発育と排卵が促進されると、脳の下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)の値が低下します。通常、FSHは卵胞の発育を助ける働きがあるホルモンです。しかし、加齢と共にFSHの値が上昇することで、卵巣機能が弱り、卵胞が発育しづらくなります。
そこで、プレマリンを投与して、採卵前にFSHを低下させておくことで、その後の卵巣刺激に卵胞がよく反応し、卵子が育ちやすくなることが期待できます。
プレマリンには、子宮内膜を妊娠に適した状態に整える働きもあります。
子宮内膜が薄いと受精卵が着床しにくくなり、なかなか妊娠に至りません。プレマリンを投与し、ホルモンバランスが整うことで子宮につながります。そのため、着床率を上げる目的で、胚移植後に処方されることがあります。
プレマリンは、ほかの薬剤の副作用を抑えたり、効果を高めたりするのにも有効です。
排卵誘発剤としてよく使われるクロミッドは、脳の視床下部や下垂体に働きかけ、FSHやLH(黄体形成ホルモン)の分泌を促し、排卵しやすくする効果があります。しかし、クロミッドは副作用としてOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を引き起こすリスクがあります。
プレマリンは、クロミッドの副作用を軽減するのに効果的とされており、クロミッドといっしょに処方されることが多くあります。
また、プレマリンは女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)を補充する薬剤のルトラールと併用されるのも一般的です。ルトラ―ルとプレマリンの併用は、子宮内膜の厚みを保つ効果や、卵胞の発育を促す効果があり、不妊治療の成功率向上に期待できます。
プレマリンは、不妊治療において卵巣機能を整えたり、着床率を高めたりする働きがありますが、副作用もあるので注意が必要です。ここでは、プレマリンの主な副作用と自覚症状について紹介します。
発生はごくまれながら、プレマリンの副作用として注意すべきなのが、血栓症です。
血栓症は、血管に血のかたまり(血栓)ができ、血液の流れを止めることによって、その先の臓器の循環不全を引き起こす疾患です。動脈に血栓ができると心筋梗塞や脳梗塞、静脈の場合は深部静脈血栓症などを発症します。
代表的な初期症状である足の痛みや腫れ、鋭い胸の痛み、めまい、失神といった自覚症状がでたら、直ちに服用を中止し、医療機関に連絡をしてください。
血栓塞栓症は、血管内にできた血栓が血流に乗って別の部位に移動して血管をふさぐことで、臓器に障害が出る疾患です。
血栓塞栓症は、吐き気や嘔吐、脱力、麻痺といった症状を引き起こします。自覚症状がある場合、すみやかに医療機関を受診しましょう。
子宮筋腫や子宮内膜症がある場合、プレマリンの服用によって症状が悪化するおそれがあります。
プレマリンを服用し、エストロゲンが補充されると、すでにある子宮筋腫が刺激されて成長を促進する可能性があります。同じくエストロゲンの補充は、子宮内膜症の病変の増殖を促すおそれがあるため、疾患が未治療の場合や、経過観察中の場合は、治療開始前に必ず医師や薬剤師に状況を伝えましょう。
プレマリンの服用で補充されたエストロゲンには、体の水分やナトリウムを貯め込もうとする働きがあるため、体内の余分な水分が蓄積され、むくみが見られることがあります。
また、過剰なエストロゲンは脂肪細胞の蓄積に影響を与えるため、体重が増えたと感じる人もいるでしょう。
不妊治療で処方される方も多いプレマリンには、服用の際に注意事項があります。特に次の2点に注意し、服用してください。
プレマリンが処方されたら、医師の指示に従って服用しましょう。
プレマリンに限らず、薬は用法用量を守り、決められた期間に服用することで効果につながります。自己判断で服用をやめたり、逆に増やしたりすることはやめてください。
処方された薬は飲み忘れないようにすることと、飲み忘れてもまとめて飲まないことも重要です。原則として、処方された薬はできるだけ毎日同じ時間に、決められたとおりに飲むことが大切です。飲み忘れを防ぐために、毎日見る場所にメモを貼っておいたり、スマートフォンのタスク管理アプリなどを設定したりするとよいでしょう。
万が一飲み忘れた場合には、クリニックにお問い合わせください。
プレマリンは、不妊治療でもよく使われる薬で、決められた用法・用量を守って服用すれば高い効果を発揮します。不妊治療中は使用する薬が多いため、医師の説明をよく聞き、飲み方や効果を理解して服用することが大切です。
にしたんARTクリニックでは、処方した薬について丁寧に説明するほか、わからないことがあればすぐに質問できる雰囲気づくりを心掛けています。
何度でも無料で相談できるカウンセリングのサービスもご用意しています。不安なく不妊治療に取り組みたい方、自分がどんな薬を服用しているのかを理解して治療と向き合いたい方は、カウンセリングでご相談ください。
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