不妊症
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不妊の原因は女性側にあると思われがちですが、実際には男性にも原因があるケースも多く、WHO(世界保健機関)の調査によると、不妊の原因の約半数は男性側にもあるとされています。
「自分は大丈夫だろう」「性交渉ができているから大丈夫」と思っていても、詳しく検査をしてみると精子の数が少なかったり、運動率が低かったりするケースもあります。妊活をしていてもなかなか結果が出ない場合や、将来的に子どもを望んでいる場合は、早期に専門の医療機関に相談し、治療を始めましょう。
この記事では、男性不妊の治療法や、妊娠を目指すためのアプローチについて詳しく解説します。
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男性不妊の人の割合男性不妊の原因と治療法男性不妊かもしれないと思ったら?男性不妊の方が妊娠を目指すためのアプローチ男性不妊の治療は保険適用される?男性不妊かもしれないとお悩みの方はにしたんARTクリニックへご相談ください不妊の原因は女性にあると思われがちですが、実際には男女どちらにも原因があります。2017年のWHO(世界保健機関)の調査によると、男性側にのみ原因がある不妊は24%、男女ともに要因があるケースも24%と報告されています。つまり、約半数の不妊のご夫婦(カップル)は、男性側に何らかの不妊の要因があるということです。
そのため、妊活を進める上では、女性だけでなく男性側も積極的に検査を受けることが重要です。特に、前述した特徴に当てはまる場合は、早めに医療機関で相談することをおすすめします。

男性不妊の原因は、大きく分けて造精機能障害、性機能障害、精路閉塞障害の3つに分類されます。それぞれの原因によって治療法が異なるため、まずは検査を受けたのち、適切な治療を行うことが重要です。
造精機能障害とは、精子を作る能力が低下することで、精液中の精子の数が減ったり、精子の運動率が低下したりする状態を指します。造精機能障害は最も多い男性不妊の原因です。
この障害は、精巣の機能不全によって起こることが多く、具体的には「精索静脈瘤」「下垂体性性腺機能低下症」「精巣形成不全症候群」などの場合が当てはまります。
造精機能障害は、染色体や遺伝子の異常など先天的な要因のほか、ストレスや精巣炎、ホルモン分泌異常などの後天的な要因が深刻な場合もあります。とはいえ原因がはっきりしないことも多く、その場合は「特発性造精機能障害」と診断されます。いずれにせよ、精子の状態を改善するためには適切な検査を受け、必要に応じて治療を行うことが重要です。

造精機能障害の治療では、まず薬物療法を試されることが一般的です。精子の生成を促すために、ゴナドトロピン製剤を用いた「クロミフェン法」や「GnRH療法」、ホルモンの分泌を調整する「下垂体ゴナドトロピン療法」などが行われます。これらの治療法は、ホルモンバランスを整え、精子の数や質を改善することが目的です。また、精索静脈瘤が原因で精子の状態が悪化している場合は、手術によって異常な静脈を取り除くことで、精子の質を改善する治療を行うことがあります。
一方で、原因が特定できない場合には、抗酸化剤やビタミン剤、漢方薬を用いることもあります。これらは、精子の酸化ストレスを軽減し、精子の質を向上させることを目的としており、生活習慣の改善と併せて治療を進めることが多いでしょう。
性機能障害とは、勃起や射精に関する問題が原因で、正常に性交渉が行えない状態を指します。代表的なものとして、勃起障害(ED)や射精障害があります。
勃起障害は、陰茎の血流が悪くなり、十分な勃起が得られなくなる状態です。現代では若年層でも勃起障害に悩む方が増えています。
また、射精障害とは「逆行性射精」や「遅漏」などの症状を指します。逆行性射精とは、射精時に精液が膀胱へ流れ込んでしまう状態です。遅漏とは、性的刺激を受けても射精までに時間がかかりすぎる、または射精できない状態を指します。
勃起障害は、ストレスや加齢、生活習慣病(糖尿病・高血圧など)が主な原因です。また、喫煙や過度な飲酒、運動不足、精神的ストレスなどが影響していることも多いといわれています。
射精障害は、糖尿病や一部の薬剤の影響で起こることがあります。また、パートナーとの関係性やプレッシャー、特定の刺激方法への依存など、心理的な要因が複合的に関与しているケースも考えられます。
勃起障害の治療では、PDE5阻害薬(バイアグラ、シアリスなど)を使用し、陰茎の血流を改善することで勃起を補助する治療が一般的です。ただし、心疾患や高血圧などの持病がある場合は、医師と相談してください。
また、ストレスや精神的な要因が関与している場合は、心理カウンセリングを併用することで改善が期待できます。特に、過去の失敗経験やプレッシャーが原因の場合、専門のカウンセラーや医師による心理的アプローチが効果的です。
射精障害の治療では、まずカウンセリングやシリンジ法(精液を採取し、腟内に注入する方法)を試みることが一般的です。この方法によって、性交渉による射精が困難な場合でも、妊娠の可能性を高めることができます。
精路閉塞障害とは、精子の通り道が詰まることで、精子が精液に混ざらず、体外に出てこない状態のことを指します。精路閉塞障害の場合、精子自体は体外に出ませんが、精子が含まれない精液は射精されるため、自覚症状がないことも多いでしょう。

精路閉塞障害は、生まれつき精管がない場合や、過去の副睾丸炎や鼠径ヘルニアなどの炎症が原因です。また、性感染症や尿路感染症が原因で炎症が起こり、精管が傷ついて詰まってしまうこともあります。
多くの場合自覚症状がないため発見が遅れることがあります。唯一の自覚症状としては、精液の量が少ないことですが、なかなか自分では気づきにくいのが現状です。
精路閉塞障害の治療では、閉塞している部分を開通させる手術が第一の選択肢です。手術により、精子の通り道を回復させることで、自然妊娠の可能性を高めることができます。
しかし、閉塞部分が広範囲にわたる場合や、手術での回復が難しい場合は、精巣内に残っている精子を採取し、顕微授精(ICSI/イクシー)を行うことで妊娠を目指すことも可能です。この方法では、精巣または精巣上体から直接精子を取り出し、卵子に注入することで受精を促すため、自然排出されない精子でも受精の可能性を高めることができます。
精路閉塞障害の治療法は、閉塞の原因や状態によって異なるため、医師の診察を受けて治療方針を決めることが大切です。

「もしかして自分が男性不妊かもしれない」「特徴に心当たりがある」と思った場合、まずは泌尿器科などのクリニックを受診し、専門的な検査を受けることが大切です。男性不妊の原因を正確に把握することで、適切な治療法を選択できます。
男性不妊の検査にはいくつかの種類がありますが、主に行われるのは下記の2つです。
男性不妊の一因として、性感染症やそのほかの感染症が影響している場合もあるため、血液検査を行い、B型肝炎、C型肝炎、梅毒などの感染症の有無を調べます。
感染症検査には夫婦間感染や母子感染の予防などの目的もあります。
精液検査では、男性の精液を採取し、精液の量や精子の濃度、運動率、奇形率などを調べます。なお、一般的に、自然妊娠が期待できる精液の基準値は以下のとおりです。これらの数値が基準を下回る場合、それぞれ乏精子症・無力精子症・奇形精子症と診断されます。

にしたんARTクリニックでは全院に採精室を完備し、プライバシーが守られた空間で安心して採精が可能です。採精室はクリニックの奥に設置され、防音仕様や照明調整機能が備わっており、リラックスできる環境が整っています。また、自宅での採精も可能で、事前に専用カップを受け取り、採精後約2時間以内にクリニックへ持ち込むことで院内採精と同様の検査に使用できます。
精液検査については、こちらのページをご覧ください。
精液検査とは?検査を受けるタイミングや流れなど気になるポイントを解説

男性不妊が明らかになった場合、泌尿器科などの専門の医療機関で疾患の治療を行った後、従来の不妊治療を進めることになります。
不妊治療は一般的に、タイミング法(タイミング指導)、人工授精(AIH)、体外受精(IVF/ふりかけ法)、顕微授精の順にステップアップします。ただし、男性不妊の所見によっては、はじめから体外受精や顕微授精から始めることもあるでしょう。
また、禁煙、節酒、適度な運動、ストレス管理などの生活習慣の改善も男性不妊の治療に重要です。妊娠を目指す場合は、ご夫婦(カップル)おふたりで健康的な生活に取り組むことも大切です。
男性不妊を改善するための生活習慣は、こちらをご覧ください。
男性不妊の原因とは?気になる検査方法について詳しく解説
にしたんARTクリニックで実施可能な不妊治療の内容は、下記のとおりです。
タイミング法は、最も自然に近い不妊治療方法です。女性の排卵日を予測し、その時期に性交渉をすることで妊娠を目指します。排卵日の予測には、基礎体温の測定、超音波検査、尿中LH測定などが用いられます。
ただし、男性不妊が指摘されている場合、早期の治療ステップアップを提案される場合もあります。
妊娠の可能性が高い日に精子を採取して洗浄・濃縮した後、子宮へ注入する方法です。精子が子宮に到達するのをサポートするだけなので、自然妊娠やタイミング法に近く、できるだけ自然に近い妊娠を目指したいカップルにもおすすめです。女性の体内で精子が自力で移動する距離を物理的に縮めることができるため、妊娠率を高めることができます。ただし、受精方法は自然妊娠と同じなので、後述する体外受精・顕微授精と比べると妊娠率は低くなります。
体外受精は、タイミング法や人工授精で妊娠が成立しない場合に行われる生殖補助医療(ART)です。
体外受精では、排卵直前に採取した卵子をシャーレ内に入れ、上から精子をふりかけて受精を促します。培養器で培養してできた受精卵(胚)を、子宮に戻します。男性不妊が明らかな場合、タイミング法や人工授精をスキップし、体外受精から行うことも珍しくありません。体外受精では、精子が自分の力で卵子内に入ることが必要なので、精子の質によっては受精に至らないこともあります。
顕微授精は、胚培養士が状態の良い精子を1個選び、顕微鏡下で卵子に針を使って注入し、受精させる方法です。卵子1個に対して精子が1つあれば治療が行えるため、精子の運動率が悪い方や、精子濃度が著しく低下している高度乏精子症の方でも受精が期待できます。
不妊治療としては、顕微授精が最終手段といえますが、体外受精よりも受精率は高いといわれ、近年では多くの赤ちゃんがこの方法で生まれています。

2022年4月から、多くの男性不妊治療が保険適用の対象となりました。
例えば、精子の状態を改善する目的での薬物療法や、無精子症・射精障害に対する精子採取手術などは保険適用となります。ただし、保険が適用される範囲は治療によって異なるため、費用については事前に確認することがおすすめです。
また、自治体によっては、不妊治療に対する助成制度が用意されている場合があります。不妊治療を開始する際は、お住まいの地域の支援制度を確認してみるとよいでしょう。
不妊の原因は男女半々にあります。特に不妊の原因が男性の場合は自分で気づくことは難しいため、妊活を続けていてもなかなか結果が出ない場合は、一度ご夫婦(カップル)で不妊治療専門のクリニックを受診するのがおすすめです。
にしたんARTクリニックでは、患者さま一人ひとりに合わせた不妊治療を提供しています。検査の結果、男性不妊が認められた場合は、泌尿器科などの専門の医療機関へご紹介し、適切な治療を受けた後に、不妊治療をスタートします。
不妊治療は早めに始めることで、妊娠への近道になります。「自分は大丈夫」と思っていても、実際に検査を受けると問題が見つかるケースも少なくありません。少しでも気になることがある方は、にしたんARTクリニックにご相談ください。
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