不妊治療

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不妊治療の精液検査

不妊治療の精液検査

不妊とは、妊娠を望むご夫婦(パートナー)が避妊をせずに性交渉をしているにもかかわらず、1年間妊娠しない状態のことをいいます。国立社会保障・人口問題研究所の「第16回出生動向基本調査」によると、2021年時点で日本では4.4組に1組のご夫婦が不妊の検査や治療を受けています。
また、不妊治療を行うご夫婦のうち、不妊の理由の約50%は男性に原因があることも明らかになっています。男性の場合は不妊症であっても自覚症状はほぼなく、精液検査を受けて初めて不妊症が発覚するケースがほとんどです。にしたんARTクリニックでは不妊治療を始める際、男性の不妊の可能性を調べる精液検査が必要となります。
男性は女性とは異なり検査を受けるタイミングに縛りがないからこそ、いつ精液検査を受ければ良いかタイミングがわからないもの。そこで本記事では、精液検査のタイミングを中心に、精液検査の流れや注意点についても解説します。

精液検査とは?

にしたんARTクリニックでの不妊治療における精液検査とは、ご夫婦が不妊治療を開始するときに男性が受ける精液の検査のことをいいます。
一般的な男性不妊の検査であり、マスターベーションで採取した精液を用いて精子の質や量などを調べます。精液検査には回数や年齢の制限はありませんが、ご夫婦(パートナー)との治療開始前に必ずお受けいただきます。

精液検査を受けられる場所

精液検査を受けられる主な医療機関として、大学病院や総合病院、一般病院の泌尿器科、産婦人科医院、不妊治療専門医院が挙げられます。
大学病院や総合病院の泌尿器科は、紹介状が必要な場合も多く待ち時間も長いので、初めて精液検査を受ける男性にとってはハードルが高いかもしれません。産婦人科医院では、男性の精液検査を行っていないケースもあります。
にしたんARTクリニックでは精液検査をお受けいただけます。検査結果に則した治療をおこなっていきます。

精液検査の検査項目

精液検査では一般的に、「精液量」「精子濃度」「精子運動量」「精子正常形態率」について検査します。
精液所見は、さまざまな要因で日々変動するもの。1回の検査結果がすべてではないので、2回以上の精液検査が推奨されています。

精液量

精液検査では、精液の量を測定します。精液の量が基準値以下の場合は泌尿器科の受診が推奨される場合や、基準値よりも極端に少ない場合は逆行性射精が疑われる場合もあります。

精子濃度

精子濃度を調べるために顕微鏡を用いて、精液1mlあたりの精子の数を測定して算出。精子濃度が基準値以下の場合は乏精子症と診断され、精子がまったく存在しない場合は無精子症と診断されます。
なお、精液量×精子濃度×運動率で計算できる総運動精子数は、全量の精液中に存在する運動精子の総数のことで、妊娠率に関わってきます。

精子運動率

精子運動量は、精液の中で動いている精子の割合です。動かない精子が精液中に多い場合は精子が卵子まで自力でたどり着けず、受精率が低くなります。基準値以下の場合は精子無力症と診断されます。

精子正常形態率

精子正常形態率は、精子の形や大きさを観察して算出できる、正常な形の精子の割合のこと。基準値以下の場合は、奇形精子症を疑います。なお、奇形の割合が多いと受精率が低下し、仮に妊娠した場合も流産率が上がると報告されています。

精液検査でわかること

精液検査は、主に男性の妊孕力(妊娠のしやすさ)と、男性不妊症を判断する目的で行われます。不妊治療を検討する男性には必須の検査です。
なお、精液検査の診断基準として世界中で用いられているのが、WHO(世界保健機関)の精液検査マニュアルです。2021年、男性不妊の増加につき、マニュアルが約10年ぶりに改訂されました。基準値よりも下回っていたら精子に何らかの異常があり、自然妊娠が難しいことを示唆します。

ただし、WHOのマニュアルに記載されている基準値は、1年以内に自然妊娠した男性の精液検査値の下位5%をもとに算出されたもの。
そのため、精液検査の結果が基準値以下でも妊娠の可能性はゼロではありません。

精液検査を受けるタイミングはいつが最適?

不妊とは、ご夫婦が避妊をせずに1年以上性交渉を持ちながらも妊娠しない状態を指します。つまり、1年間性交渉を試みても、妊娠しないときが精液検査のタイミングとしては最適といえます。
不妊に悩むご夫婦の場合、女性がまず1人で婦人科を受診して不妊検査を受ける傾向が高いですが、不妊治療を開始すると決心した時点で男性側も精液検査をすることが望ましいでしょう。
加えて、男性の精子も年齢とともに質が低下します。
精液所見の改善には時間がかかるため、妊娠を望むなら現在の精子の状況を早めに知ることが大切です。もし、精子に異常が認められたとしても早期治療につながります。
なお、精液検査は、現在配偶者やパートナーがおらず結婚する予定がない方でも受けられます。事実、将来子供が欲しい方で、未来のためにご自身の生殖能力の有無を検査するべく医療機関を訪れ、精液検査を行う男性も増えています。

精液検査の流れ

精液検査は、自宅または医療機関内でマスターベーションを行って採取した精液を検体として実施されます。ここでは、精液検査の流れについて、詳しく見ていきましょう。

1.医療機関に精液検査を予約

電話かインターネットなどで医療機関に精液検査を予約します。予約不要で精液検査が可能な医療機関もありますが、基本的には予約が優先です。

2.受診

医療機関を受診し、医師から診察を受けます。自宅で精液を採取する場合は、専用の精液採取容器も受け取ります。

3.自宅または医療機関で精液を採取後、精液を提出

自宅でマスターベーションを行い、1回分の精液を全量採取後、一般的には2時間以内に医療機関に提出します。なお、医療機関によっては採精室を完備し、採精室で精液を採取してそのまま提出することも可能です。

4.検査結果の説明

精液を提出し、約30分~2時間後には精液検査の結果が判明します。再度医療機関を受診し、精液検査結果について医師から説明を受けます。当日結果を確認する場合、指定時間までは院内で待機するほか、外出可能な医療機関も多いです。
なお、検査と同日に結果を聞けない場合は、あらためて後日診察を予約する必要があります。

精液検査で知っておきたい注意点

精液検査は精液量や精子濃度、精子運動率、精子正常形態率などを調べ、不妊の原因を探るための検査です。精液検査をスムーズに行うためにも、知っておきたい注意点がいくつかあります。

マスターベーションによる全量採取が必要

精液の採取方法は、マスターベーションなどでの採取が基本です。リラックスした状態での採取が望ましいと考えられるため、自宅で採取して保温した状態で医療機関に持っていき、院内検査という流れが一般的です。医療機関によっては、採精室を設けているところもあります。
また、精液を持ち運ぶ場合は、過度な温度変化を避けたり、容器を人肌程度の温度に保ったりする必要があるので、取り扱いには注意してください。

検査結果に異常がある場合は2回以上検査を受ける

精子の状態は、体調やストレスなどさまざまな要因で変動します。つまり、精液検査の結果は精液採取時の精液所見に過ぎず、1回目の精液検査で得られた検査結果がすべてではありません。
1回目の精液検査の結果に異常がない場合は問題ありませんが、異常があった場合は複数回精液検査を行うと、精液検査の結果の精度が高くなります。

禁欲期間は2~7日以内にする必要がある

WHOのマニュアルでは、2日以上7日以内の禁欲期間を経てから精液検査を行うのが望ましいとしています。禁欲期間が短い分には特に問題ありませんが、長すぎると古い精子が蓄積し、精液全体の質が下がってしまいます。つまり、正確な検査結果を得られません。

禁欲期間中は普段どおりの生活を送っても問題ありませんが、睡眠時間が精子の質を左右し、1日7~7.5時間の睡眠が最も精液所見が良くなることを明らかにした研究もあります。そのため、睡眠時間をしっかりととるとともに、健康状態にも気を配りましょう。

女性の排卵日に近いときはタイミングを優先

精液検査の時期として、女性の排卵日付近はおすすめできません。正確に精液検査をするためには、2日から7日程度の禁欲期間が推奨されているのは前述のとおりですが、女性の排卵日近くに精液検査を設定すると性交渉が不可能になり、妊娠のタイミングを逃してしまう可能性があります。不妊治療をしている場合は妊娠のタイミングを優先させてください。
そもそも、女性がヒューナーテスト(子宮内に精子が進入できるかどうかを調べる検査)を予定している場合は、排卵日の前後2~3日程度は精液検査を受けられないと一般的には言われています。

精液を採取する際のポイント

精液検査で精液を採取する際には、いくつかのポイントがあります。一度の検査で確実な結果を出せるよう、次のことに気をつけてください。

所定の容器に全量採取する

一度の射精における精液の量が少なすぎても多すぎても、不妊の一因になります。精液の量を正確に測定するため、全量の精液を所定の採精容器内に射精する必要があります。全量を採取できなかった場合は、とりこぼした部分や量について報告します。
また、コンドームには、殺精子剤が含まれているものがあります。精子の運動性などに影響するため、コンドームを使用した精液採取も禁止されています。
そのほか、精液中に雑菌が混入するのを防ぐため、採精前にはよく手を洗い、保管容器の内側に直接ふれないように注意しましょう。

採取した精液は人肌程度の温度を保つようにする

精子は20℃以下または38℃以上で運動率が低下することが明らかになっています。そのため、自宅で採取した精液を医療機関に持っていく際は、持ち運びに最適な温度といわれる人肌の温度である25~30℃を保つようにする必要があります。
特に精子は寒さに弱いため、冬季は採精容器を保温ジャーや100円均一ショップなどで購入できる保温バッグ、タオルなどを用いて保温し、なるべく外気にふれないようにします。保温アイテムが手元にない場合は、衣類の胸ポケットなど肌に近い場所に収納しましょう。
一方、夏季は室温を保つだけで問題ありません。保冷剤などで冷やすのは精子が動かなくなるので厳禁です。

採取後2時間以内に医療機関に持っていく

自宅で採取した精液は基本的には2時間以内に医療機関に提出します。精液の採取から時間が経過しすぎると、精子の運動率などを正確に検査できない可能性があります。指定時間までに提出できるか不安な場合は、事前に医師に相談しておきましょう。

精液検査の費用

精液検査は無症状の方を対象にするスクリーニング検査として扱われるため、ほとんどの場合は保険適用外です。自費診療の精液検査の費用は医療機関によって異なりますが、一般的には初診料と精液検査代で5,500円程度のところが多いでしょうなります。
ただし、結婚あるいは事実婚をしていて男性側の不妊を疑われたことがきっかけで精液検査を行う場合には保険が適用され、費用負担が軽減されることも。例えば、精液検査の前に、ヒューナー検査など女性の不妊治療検査で男性の精子異常を指摘されていたケースでは、精液検査が保険診療になります。

精液検査の結果によって不妊治療の内容が変わることも

精液検査は、精子の異常を見つけることが目的です。もちろん、異常が発見されないのがベストですが、仮に異常が発覚した場合でも、最適な不妊治療を開始する第一歩につながります。
また、精液検査の結果によって不妊治療の方針が変更になることもあるので、早期に男性不妊要因の治療を行うことで妊娠率が高まる可能性もあります。精液検査は、それほどタイミングを気にすることもなく、検査時間もかからないため、お気軽に、にしたんARTクリニックを受診してみてはいかがでしょうか。

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