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卵子凍結とは、将来的に体外受精(IVF/ふりかけ法)をすることを見据えて、未受精の卵子を凍結保存することです。若いうちに卵子を凍結保存しておくことで、将来妊娠を考えたときに、若い頃の卵子を使って体外受精(IVF)できるため、妊娠の確率を少しでも上げられる可能性があります。
これまでは、小児・AYA(思春期・若年成人)世代ががん等の治療をする前に、将来子供を持ちたくなったときに備えて卵子を温存しておくための「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」の中で卵子凍結に対する助成はありましたが、健康な人が卵子凍結を行った場合の費用について助成を受けることはできませんでした。
しかし、2023年10月より、東京都で健康な人が使える卵子凍結助成金がスタートしました。にしたんART クリニック 新宿院と品川院は、東京都の「卵子凍結に係る費用の助成」の登録医療機関なので、この2つの院で卵子凍結をした方は助成金を申請することができます。ほかにも、2024年度から大阪府の池田市や、山梨県が助成金事業を開始すべく最終調整中となっています。
東京都の「卵子凍結に係る費用助成」とは、将来的に妊娠・出産を希望したときに備えて行う「卵子凍結・保存費用」を補助する制度です。主に、採卵準備のための投薬や採卵、卵子凍結などにかかる費用に適用され、条件によって最大30万円の助成が受けられます。
これとは別に、凍結卵子を使用した生殖補助医療(ART)を受けるご夫婦(カップル)を対象とした「凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成」も設けられており、対象となる施術に対して1回につき上限25万円(最大6回まで)の助成が受けられます。
卵子凍結に係る費用助成の対象となるのは、東京都に住民登録をしている18歳以上40歳未満の女性(採卵を実施した日における年齢)で、下記のすべてに該当する方が対象となります。
① 都が開催する卵子凍結に関する正しい知識を持っていただくための卵子凍結に係る対象者向けオンライン説明会に参加した後、調査事業への協力申請を行い、協力承認決定を受けること(説明会の有効期限までに、採卵に向けた投薬や自然周期の場合の卵胞の発育モニター、ホルモン検査といった卵子凍結に係る医療行為を開始した場合は、再度の説明会への参加は不要です)。
②本人が説明会に参加した日から1年以内に、卵子凍結に係る医療行為を開始すること(卵子凍結に係る医療行為の開始日が、本人が説明会に参加した日から1年を超える場合は、再度、説明会への参加が必要です)。
③ ⑴の説明会への参加を申し込んだ日から未受精卵子の凍結が完了し都へ助成金を申請する日までのあいだ、継続して東京都の区域内に住民登録をしていること。
④ ⑴の説明会に参加した後、都が指定する登録医療機関で採卵準備のための投薬・採卵・卵子凍結を行うこと。
⑤ 採卵を実施した日における対象者の年齢が、18歳以上40歳未満であること。
⑥ 凍結卵子の売買、譲渡、その他第三者への提供は、いかなる場合も行わないこと。また、海外への移送は行わないこと。
⑦ 卵子凍結後も都の実施する調査に対し、継続的に(2028年度まで)協力すること。
⑧ 卵子凍結に係る費用助成を受けようとする医療行為について、ほかの法令等の規定により、国または地方公共団体の負担による医療に関する給付の対象とならないこと。
ただし、下記の方は対象外となりますのでご注意ください。
まず、東京都が実施するオンライン説明会に申込み、参加します。この説明会に参加せずにクリニックで卵子凍結をしてしまうと、助成金の対象外となってしまうので注意してください。
説明会の有効期限は、本人が説明会に参加した日から1年となり、1年を超えてしまった場合は、再度説明会への参加が必要です。
説明会参加後、助成金の利用を希望する場合は協力申請の手続きを行います。卵子凍結への支援に向けた調査事業協力申請書(第2号様式)や誓約書に記入し、住民票の写しを添付して申請します。
なお、卵子凍結への支援に向けた調査事業協力申請書(第2号様式)は、郵送の場合のみ必要です。郵送で申請する場合は、簡易書留や特定記録郵便など郵送したことの記録が残る方法で送付しましょう。
申請は下記の「卵子凍結への支援に向けた調査事業協力申請フォーム」からでも行うことができますが、その場合、誓約書と住民票の写しは、PDFや画像データにして添付の上、送信します。
協力申請について詳しくは下記のサイトをご覧ください。
【事業への参加申請】卵子凍結への支援に向けた調査事業協力申請フォーム
「卵子凍結への支援に向けた調査事業登録医療機関」に登録されている医療機関で、卵子凍結を実施します。卵子凍結をする予定のクリニックが登録医療機関であるか確認の上、受診するようにしてください。
なお、にしたんART クリニック 新宿院と品川院は、登録医療機関です。
卵子凍結に係る医療行為が終わったら、受診したクリニックに「卵子凍結への支援に向けた調査事業受診等証明書」の記入を依頼します。作成には数日~数週間程がかかることもあるため、時間に余裕を持って依頼してください。
卵子凍結について、詳しくはこちらのページをご覧ください。
卵子凍結とは?メリット・デメリットや流れまで徹底解説
医療行為の終了日が属する年度の最終日(3月31日)までに、助成申請フォームから助成金の申請を行います。その際、住民票の写しと医療機関でもらった領収書のコピーを、PDFや画像データにして添付する必要があります。
また、医療機関に依頼した卵子凍結への支援に向けた調査事業受診等証明書は、上記の書類とは別途で、原本での郵送が必要です。
書類審査の結果、要件をすべて満たしている場合は、「事業協力承認決定通知書」が住民票に記載のある住所に郵送されます。併せて、卵子凍結に関するアンケート調査(凍結時)の回答フォームが送られてくるので、そちらも回答する必要があります。
事業協力承認決定通知書の到着から約1ヵ月後に、指定した口座に助成金が振り込まれるので、入金確認をしてください。
卵子凍結の助成金について詳しくは、東京都福祉局卵子凍結に係る費用の助成/事業の概要をご覧ください。
2023年度に都が開始した卵子凍結に係る費用助成を受けており、すでに卵子凍結済みの卵子を凍結保管している方は、次年度以降の保管更新時の調査に回答した上で、申請を行うと助成金を受け取ることができます。
なお、調査の詳細や申請方法については、卵子凍結に係る費用助成の申請時に参加する説明会にて配布される資料をご確認ください。
都が実施している、凍結した卵子の保管更新時の調査に回答した場合、1年ごとに一律2万円を受け取ることができます。なお、この助成金は2028年度までとなります。
本人の使用または廃棄により、本助成制度を活用して凍結した卵子の保管数が0個になった場合は、0個になった時点の直後に実施される調査までが対象です。
助成金を受け取りたい場合は、卵子を凍結した日(凍結日)の1年後の日から、3ヵ月以内に都が実施する調査に協力するとともに、助成金を申請しなければなりません。
ただし、卵子を凍結した際の助成承認決定日が、保管更新時の調査の回答期間における開始日(凍結日の1年後の日)以降になる場合は、助成承認決定日から3ヵ月以内に都が実施する調査に協力し、それと同時に助成金を申請する必要があります。