不妊治療

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不妊治療と仕事を両立させるには?治療の流れと対策を解説

不妊治療と仕事を両立させるには?治療の流れと対策を解説

厚生労働省の調査によると、不妊治療を行っている人のうち半数以上が仕事と両立させているとされています。
しかし、実際は不妊治療と仕事との両立に悩んでいる人も少なくありません。不妊治療中に離職したり、雇用形態を変えたりせざるをえないのには、どのような理由があるのでしょうか。

本記事では、仕事をしながらの不妊治療の実情を示すと同時に、それらを両立させるための対策について解説します。

不妊治療と仕事を両立させている人はどれくらいいる?

2021年に実施された国立社会保障・人口問題研究所の「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、不妊を心配したことがある夫婦(カップル)は39.2%で、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦(カップル)は22.7%となっています。これは、決して少ない数字ではなく、中には仕事を続けながら不妊治療をしているという人もいます。

厚生労働省が行った「平成29年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合調査」では、不妊治療をしたことがある(または予定している)人の中で、「仕事と両立している(または両立を考えている)」とした人の割合は53%と、半数以上に上ります。
一方で、不妊治療を経験した人のうち26.1%の方が不妊治療と仕事との両立ができずに離職したり、雇用形態を変えたり、不妊治療を中止したりしているという実態があります。

仕事と不妊治療の両立状況

※厚生労働省「平成29年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査

不妊治療と仕事の両立ができなかった理由

不妊治療と仕事の両立ができなかったのには、どのような理由があるのでしょうか。前述の厚生労働省の調査回答には、次のようなものが挙がっています。

仕事と治療の両立ができなかった理由

※厚生労働省「平成29年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査

不妊治療と仕事の両立ができなかった上位3つの理由について、詳しく解説します。

精神面での負担が大きい

不妊治療と仕事の両立ができない理由として最も多かった回答は、精神面での負担が大きいことです。
不妊治療を始めると、採卵や移植など、まえもって予定を決められないタイミングでの通院が必要となります。そのため、急な休みやスケジュールの変更を職場に願い出なければならず、上司や同僚に対して非常に気を使います。それが度重なることで、精神的負担も大きくなりがちです。

また、不妊治療をしたからといって、誰もがすぐに妊娠できるものではありません。ゴールの見えない治療の継続や、「今回こそは」と期待しても結果が伴わず落ち込むといったことの繰り返しにより、気持ちが沈みがちになります。
中には不妊うつを発症してしまう人もいて、精神的に限界を感じて不妊治療をやめる選択をすることがあるようです。

通院回数が多い

不妊治療をするにあたっては、定期的に複数回の通院をすることが必要になってきます。通院の回数は治療方針や体の状態によって変わってくるほか、体調によっては急に変更となる場合もあります。

また、病院では予約をしていても、診察を受けるまでに2~3時間の待ち時間があることも一般的です。そのため、仕事のスケジュールを立てにくかったり、1日休まざるをえなかったりするなど、仕事との両立が難しい状況になります。

体調、体力面で負担が大きい

不妊治療では、明らかな不妊の原因がない女性でも、治療に伴う検査や投薬などを行う必要があるため、体に大きな負担がかかります。排卵誘発剤を用いた場合やホルモン刺激治療法を行った場合などは、頭痛や日中の眠気、吐き気、倦怠感といった副作用に悩まされることが少なくありません。仕事中にそれらの症状に襲われることは、仕事を続ける上で大きな苦痛といえるでしょう。
また、仕事をしながらの治療は、通院するだけでも体力的な負担となります。

不妊治療では通院が何回必要?

不妊治療の継続で一番のネックとなるのは、度重なる通院です。不妊治療の通院回数は、治療法によって回数はもちろん、頻度も変わってきます。ここでは、主な不妊治療の方法と通院回数の目安を見ていきましょう。

タイミング指導(タイミング法)の場合

タイミング指導(タイミング法)は、最も妊娠しやすいといわれる排卵日を把握し、その近辺に性交渉のタイミングを合わせるように医師が指導することで、妊娠率を上げる方法です。
にしたんARTクリニックでのタイミング指導の流れは、下記のようになります。

タイミング指導の流れ

1. 事前にWEBから来院日時を予約・問診票の記入
2. カウンセリング
3. 受診・検査・治療計画書立案 ※ご夫婦(カップル)での来院が必要です
4. 排卵日の想定
5. 卵胞のモニタリング
6. タイミングを合わせて性交渉をする
7. 妊娠の判定

この間に通院が必要となるのは、4~5回が目安です。

人工授精(AIH)の場合

タイミング指導で妊娠に至らなかった場合、次のステップとして選択されるのが人工授精(AIH)です。
人工授精では、子宮の中にできるだけ多くの元気な精子を届けるために、排卵日から予測できる妊娠の可能性が高い日に、洗浄・濃縮した精子を子宮内に直接注入します。
にしたんARTクリニックでの人工授精の流れは、下記のようになります。

人工授精の流れ

1. 事前にWEBから来院日時を予約・問診票の記入
2. カウンセリング
3. 受診・検査・治療計画書立案 ※ご夫婦(カップル)での来院が必要です
4. 排卵日を想定し、卵胞のモニタリングを実施
5. 人工授精当日に精子を採取する
6. 精子を洗浄・濃縮
7. 子宮内に洗浄・濃縮した精子を注入する
8. 妊娠の判定

タイミング指導と同様に通院回数は4~5回が目安ですが、人工授精当日にクリニックで採精する場合はご夫婦(カップル)での来院が必要です。自宅で採精した精液を持ち込むこともできます。精子の洗浄・濃縮には1時間~1時間半程かかり、洗浄・濃縮が完了し次第、人工授精に移ります。人工授精にかかる時間は、診察を含めて30分未満です。

にしたんARTクリニックでは、精子を提出した後、1時間〜1時間半の待ち時間に外出することができ、人工授精後は会計をして、すぐにご帰宅いただけます。
また、平日21時まで人工授精の診察を受け付けていますので、共働きで忙しいご夫婦(カップル)でも仕事帰りに治療を受けることが可能です。

生殖補助医療(ART)の場合

生殖補助医療(ART)とは、卵子と精子を体外で授精させる技術の総称です。卵子を得る「採卵」、精子を採取する「採精」、受精の手法である「体外受精(IVF)」や「顕微授精(ICSI)」、受精卵(胚)を保存する「胚凍結」、子宮に受精卵(胚)を戻す「胚移植」など、一連の不妊治療法を指します。
にしたんARTクリニックでの生殖補助医療の流れは、下記のとおりです。

生殖補助医療の流れ

1. 事前にWEBから来院日時を予約・問診票の記入
2. カウンセリング(無料)
3. 初診・術前検査・治療計画書立案 ※ご夫婦(カップル)での来院が必要です
4. 採卵周期
5. 採卵・採精
6. 体外受精
7. 培養
8. 胚凍結(必要な場合)
9. 胚移植(受精卵を凍結保存していた場合)
10. 妊娠の判定

通院回数は治療内容や患者さまによって変わってきますが、1ヵ月に4~6回が平均的といわれています。

通常、採卵は午前中に行われることが多く、当日の診療には2時間程度を要します。採卵手術自体は15~20分程度ですが、麻酔処置が行われるため、手術後は院内のリカバリールームでの休養が必須です。さらに、帰宅後も安静に過ごさなくてはならず、採卵当日は通院以外の予定を入れにくくなります。仕事を休む必要が出てくる方も多いでしょう。

こうした状況から、にしたんARTクリニック日本橋院と品川院では、夕方以降に採卵・卵子凍結を行えるようにしています。採卵方法や診察に要する時間に変わりはありませんが、診察直前まで普段どおりに過ごせるので、仕事を休むことなく採卵・卵子凍結が行えます。

不妊治療と仕事を両立させる負担の軽減策

不妊治療には複数回の通院が不可欠で、仕事と両立させるためにはスケジュール管理が重要です。不妊治療の技術や機器は、常に進化し続けています。場合によっては短縮や省略ができる治療もあるので、治療計画を見直してみるのもいいでしょう。

また、厚生労働省では「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくり」を奨励しています。多くの企業や自治体で不妊治療をサポートする取り組みが行われているので、それらの制度を積極的に活用するのもおすすめです。ここでは、不妊治療と仕事を両立させる方法を、いくつかご紹介します。

会社の制度を調べる

会社によっては、「不妊治療休暇または休職制度」や「出生支援休職制度」など、年次有給休暇以外に不妊治療を続けやすい休暇制度が設けられていることがあります。また、消化しきれなかった年次有給休暇を積み立て、不妊治療の際にも特別休暇として利用できる「失効年休の積立休暇制度」を独自に設けている会社もあります。
休暇制度だけでなく、フレックスタイム制度やテレワーク制度、半日・時間単位の年次有給休暇制度などの制度も、通院のスケジュールに合わせやすい働き方です。

不妊治療と仕事の両立ができる職場環境の整備は、2021年に内閣府および厚生労働省から一般社団法人日本経済団体連合会などに対して要請されたことを機に、積極的に導入を検討する会社が増えてきています。
新たな制度の導入や、これまでの制度の改訂などが行われている可能性もあるので、ご自身が勤めている会社の制度を確認してみてください。

不妊治療連絡カードを活用する

「不妊治療連絡カード」は厚生労働省が作成したカードで、不妊治療を受ける、または今後予定している従業員が、企業の人事労務担当者に、不妊治療中であることや治療・検査に必要な配慮事項について伝えるためのものです。
カードには治療内容のほか、治療に必要な通院回数や時間、特に配慮してほしい事項などを記入することができます。

厚生労働省が「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくり」を推奨する中で、事業主や人事部門の担当者に利用を呼びかけているカードで、企業の担当者も内容を理解しているため、患者さま自身が詳細を伝える必要はありません。
治療のことを会社に伝えにくい場合や、仕事との両立に悩んでいる場合に活用できます。

不妊治療連絡カードについては、こちらのページをご覧ください。不妊治療連絡カードをご活用ください!

夜間や休日も利用しやすいクリニックを見つける

なるべく少ない負担で不妊治療を続けるためには、通いやすいクリニックを見つけることも大切です。
複数回に及ぶ通院の中には、急遽診察を受けることになったり、待ち時間が長くて予定どおりに診察が終わらなかったりすることもあります。クリニックが自宅や職場から遠い、診療時間が限られているといった場合、通院するだけでも大きな負担となります。

仕事との両立を図るのであれば、距離や時間など物理的な条件に合ったクリニックを探すのもポイントです。さらに、治療内容を相談しやすく、少しでも通院回数を減らせたり、夜間や休日に受診できたりすると、より良いでしょう。

不妊治療と仕事の両立にお悩みの方は、
にしたんARTクリニックへご相談ください

仕事を続けながらの不妊治療は、肉体的にも精神的にも少なからず負担がかかることは否めません。
不妊治療と仕事の両立を実現させたいと思っている方は、まずはご自身が通いやすいクリニックを見つけるところから始めてみませんか?

にしたんARTクリニックは、各院が主要駅からアクセスしやすい好立地です。さらに、平日は22時まで、土曜日・日曜日に加えて祝日も診療しており、仕事帰りや休みの日にご来院いただきやすい体制を整えています。
不妊治療と仕事の両立にお悩みの方、これから不妊治療を予定している方で仕事との両立を考えている方は、にしたんARTクリニックへお気軽にご相談ください。

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