人工授精

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人工授精後の生理痛のような痛みは何?妊娠のサインも詳しく解説

人工授精後の生理痛のような痛みは何?妊娠のサインも詳しく解説

人工授精後、腹部に生理痛のような鈍い痛みを感じることがあります。初めて人工授精(AIH)をした方の中には、「妊娠のサインなのかな?」「体に何かあったらどうしよう」と戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。人工授精は極めて安全性と有用性が高い治療法ですが、体に思わぬ変化が生じることもあります。

この記事では、気になる人工受精後の腹痛や体調不良の原因や、妊娠が成立した場合に発現するサインなどについて詳しく解説します。

人工授精後の腹痛にはさまざまな原因がある

人工授精後、おなかに生理痛に似た痛みを感じる方は少なくありません。人工授精を実施してから妊娠判定までは2週間程度の期間が必要なので、その間は「妊娠したのでは」という良いイメージと、「もしかして体に何かが起きているのでは」という悪いイメージの狭間で悩む方も多いのではないでしょうか。

人工授精後に生じる腹痛について、原因別に下記で解説します。

人工授精中の処置の刺激による腹痛

人工授精では、精子洗浄液で洗浄・濃縮した精子を子宮に注入する際、カテーテルという器具を使います。

人工授精のイメージ

カテーテルは非常に細くやわらかい樹脂製の管状の器具です。しかし、子宮の入り口が狭いと子宮の壁にふれて痛みの原因になることがあります。また、精子洗浄液が刺激を与え、下腹部痛が出ることもあります。

排卵誘発剤による卵巣の腫れからくる腹痛

卵誘発剤をきっかけに起きる心配な症状の1つが、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。OHSSが生じると、卵巣の腫れや腹水・胸水の貯留、血栓などが起き、腹痛につながります。

通常、女性の体内では毎月1個の卵子が排卵されていて、人工授精ではその排卵された1つを大切に育てて妊娠を目指します。排卵障害や生理不順がある患者さまの場合、排卵を誘発する薬を使う卵巣刺激法を行うことで排卵時期を安定させ、受精能力の高い卵子を育てることが可能です。

排卵誘発剤は妊娠率の向上に効果的ですが、卵巣を過剰に刺激した場合、女性ホルモンのレベルが非常に高くなり、OHSSが生じて腹痛につながります。OHSSは妊娠率を下げるだけでなく、悪化すると肺梗塞や脳梗塞といった生命に関わる病気を引き起こすことがあるため、まずはOHSSを治療してから不妊治療を再開することになります。

ホルモンの影響で生じる腹痛

排卵前後にホルモンバランスが大幅に変化することも、腹痛の原因です。

排卵は、エストロゲン(卵胞ホルモン)が卵胞の発育によって増え、その作用でLH(黄体形成ホルモン)が急激に放出されることで起こります。このホルモンの影響で骨盤内の血流が活発になり、腹痛が起きることがあるのです。

また、人工授精で注入する精子には、子宮に強い刺激を与えるプロスタグランディンというホルモンが含まれています。プロスタグランディンが血管を収縮させたり、腸の収縮を促進させたりするため、痛みの原因になり得ます。

排卵後の子宮収縮による腹痛

排卵後のほか、性交渉、激しい運動など、刺激が加わることによって子宮が収縮することも腹痛の原因の1つです。排卵後の子宮収縮の場合は、収束するまで安静にするほかありませんが、要因がはっきりしているなら、運動などは避けることをおすすめします。特に子宮筋腫や子宮腺筋症などがある場合、子宮が収縮しやすいため注意が必要です。

このように、人工受精後の腹痛にはさまざまな原因が考えられます。痛みが生理痛程度の場合、その痛みが原因で妊娠しなかったり、妊娠の継続が妨げられたりすることはほぼありません。おなかや足元を暖かくし、ゆっくりと過ごすようにしてください。

不妊治療中のノセボ効果による体調不良

不妊治療中は、副作用に過剰な不安を感じたり、実際に副作用が起きたりするノセボ効果が生じがちです。ノセボ効果とは、医療行為や薬に対する心配が強すぎると、本来起きるはずがない副作用が表れたり、体調不良になったりすることをいいます。有効成分が含まれていない薬に精神的に期待することで、症状が改善するプラセボ効果とは、逆の意味といえます。

不妊治療でこれまで良い結果が得られず落ち込んでいたり、不安に感じたりしている人は、特にノセボ効果による体調不良が出やすいかもしれません。先回りして不安がるのではなく、「いつか妊娠できるかも」という前向きな気持ちをもって治療に取り組むことが大切です。

どうしても不安が強く、腹痛や体調不良が起こる頻度が高いときは、治療中のクリニックに相談してみることをおすすめします。

妊娠の週数の数え方

人工授精によって無事受精した場合、人工授精を実施した日から6~12日で着床、つまり妊娠が成立しますが、妊娠週数は前回の生理が開始した日を0日として数えます。

なお、排卵日は生理が始まってから約2週間後です。排卵のタイミングによってスケジュールは異なり、個人差もあるため、実際に妊娠が成立する日ははっきりとはわかりません。この時点でもちろん妊娠は成立しませんが、前回の生理が開始した日を0日とすると、排卵日は妊娠2週目と数えます。

妊娠の週数の数え方は下記の表を参考にしてください。

妊娠の週数の数え方

妊娠が成立した場合、着床は3週目にあたり、妊娠初期症状が表れ始めるのは妊娠4週目頃と考えられます。この流れは、自然妊娠と同じです。

妊娠超初期に表れる体の変化

妊娠超初期とは、妊娠は成立したものの、まだ確定できない妊娠3~4週の時期をいいます。妊娠成立した際、体にさまざまな変化が現われることがあります。医学的に、妊娠したときに起きる大きな変化として認められる変化や症状は、下記のとおりです。

生理が止まる

次の生理の開始予定日から1週間を過ぎても生理が来ない場合、妊娠している可能性が高いでしょう。この時期になれば、市販の妊娠検査薬を使えば、妊娠の有無を判定することが可能です。
ただし、生理不順がある方は生理が遅れている可能性もあるため、次で解説するように基礎体温を計測し、体温の変化を併せて確認することをおすすめします。

基礎体温の高温期が続く

妊娠しているときの基礎体温は、通常の生理周期と異なり、高温期が持続することが特徴です。基礎体温を毎日計測し、高温期が2週間続いても体温が下がらない場合、妊娠している可能性が高いといえます。

妊娠が成立するとプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌され続け、基礎体温は高温のまま安定します。妊娠が成立せずに次の生理が来る場合は基礎体温が下がるため、基礎体温は妊娠したかどうかを確認する1つの指標とすることが可能です。

妊娠超初期に表れることがある妊娠サイン

妊娠超初期は、妊娠が成立してすぐの時期なので明確な妊娠の兆候は乏しく、妊娠超初期という概念も医学的に正式に定義されているものではありません。

ここでは、一般的に妊娠超初期に表れることが多いとされているサインを紹介します。なお、紹介するサインはすべての方に起こるわけではないので、参考の1つにしてください。

着床出血が起こる

受精卵(胚)が着床したときに子宮内膜が傷つき、微量の出血である着床出血がみられることがあります。次の生理予定日前後に微量の出血がある場合は、妊娠している可能性があります。

着床出血の様子

出血はごく少量で、生理と同じような鮮血の場合もあれば、おりものに混じって薄いピンク色に見える場合もあり、見逃してしまうことも少なくありません。
また、着床出血はすべての方に必ずしも起こるとは限らないため、着床出血がないからといって妊娠していないとも言えないので、気にしすぎないようにしてください。

着床痛や腰痛、腹痛が生じる

医学的な根拠やデータはありませんが、着床する頃におなかや胸の張り、腹痛、腰痛などを感じ、結果として妊娠していたという方も多いようです。「生理痛のような痛み」「着床痛」と表現することもあり、着床によって子宮が変化することによるものと考えられます。

おりものが変化する

エストロゲン(卵胞ホルモン)はおりものの量や性質に影響を与えるため、これまでとは違うさらさらしたおりものが出たり、濃いピンクや茶色のおりものが出たりといった変化が起こることがあります。受精卵が着床すると、エストロゲンの分泌量が増えることが影響しています。

頭痛や体のだるさなどの体調不良が生じる

妊娠するとさまざまなホルモンが急激に分泌されるため、体調に変化を感じる方もいます。風邪の初期症状に似ただるさ、頭痛、胸の張り、肌トラブル、頻尿、便秘、下痢などがある場合は、妊娠の可能性を視野に入れて行動することをおすすめします。

情緒が不安定になる

着床すると、些細なことにイライラしたり、突然激しい不安感や焦燥感に襲われたりすることがあるかもしれません。女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンが増加し、体内のホルモンバランスが大きく変調することが原因です。妊娠の可能性がある時期は特にゆったりと過ごし、ノンストレスな生活を心掛けましょう。

人工授精後に気をつけたいこと

人工授精を実施した後は、妊娠している可能性を考慮して過ごすことが大切です。体調不良が妊娠に直結するとは限りませんが、人工授精で少なからず体に負担がかかっていることも踏まえて、できるだけ無理をせず、ゆったりとリラックスして過ごしましょう。

妊娠の可能性がある時期に気をつけたいこと

不妊治療中で、妊娠をしているかもしれない時期に気をつけたいことを下記で解説します。

飲酒や喫煙は厳禁

妊娠中の飲酒や喫煙は、胎児の発育に影響を与えることがわかっています。流産や早産、低出生体重児などのリスクを高めるため、不妊治療を始める段階で飲酒や喫煙は早めにやめましょう。副流煙の心配もあるため、夫(パートナー)も禁煙することをおすすめします。

コーヒーなどのカフェインの摂取は控える

厚生労働省は妊娠中の1日あたりのカフェイン摂取量を200mgに抑えるよう求めています。
流産や新生児の低体重のリスクを避けるために、コーヒーを飲む量は1日2カップ程度に 抑えましょう。

激しい運動や普段の動作を見直す

激しい運動や、重い物を持ち上げる動作も控えたほうが無難です。ランニングなどの心拍数が上がるスポーツも控えてください。気分転換をしたいときは、ウォーキングやマタニティヨガなどの軽い運動がおすすめです。

薬やサプリメントの服用は医師に相談する

妊娠の可能性がある場合、これまで服用していた薬やサプリメントの安易な継続はおすすめできないため、必ず医師に相談してから服用しましょう。また、レントゲン撮影などの医療行為をする際も、妊娠の可能性があることを医師に必ず伝えるようにしてください。

生活習慣を見直し、感染症対策を徹底する

不妊治療中は、バランスの良い食事を取り、良質な睡眠を十分にとりましょう。体を冷やさないことを意識し、感染症にかからないように乾燥対策なども実践してください。

人工授精(AIH)は妊娠成立までしっかり寄り添う、
にしたんARTクリニックがおすすめ

人工授精後は、妊娠への期待や不安、体内の変化などによって体調に影響が出ることがあり、心配や不安を感じやすい時期です。妊娠の判定ができる時期までは、あまりマイナス思考になりすぎず、生活を整えてできるだけゆったりと過ごしましょう。

にしたんARTクリニックでは、人工授精から妊娠成立まで、患者さまの気持ちに寄り添ってサポートしています。全国すべての院でカウンセリングを実施しているので、不安がある方はぜひご相談ください。

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