保険適用
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不妊治療をしたくても「費用が高そうで勇気が出ない」という声は以前からあります。しかし、2022年4月以降は不妊治療の保険適用範囲が拡大し、多くの治療が保険診療となったため、金額面の負担は以前よりも大幅に軽減されました。とはいえ、どれくらいの金額がかかるのかわからなくて不安な人もいるでしょう。
そこで、本記事では不妊治療の費用について、保険診療と自費診療ではどれくらいの金額になるのか、不妊治療のステップとともに解説します。
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不妊の定義とは?不妊治療のステップ不妊治療の経験カップルは4.4組に1組保険適用内の不妊治療と費用の目安保険適用外の不妊治療生殖補助医療(ART)が保険適用になる際の条件地方自治体によっては不妊治療の助成金制度がある高額療養費制度について経済的な負担を減らし、安心して不妊治療に向き合おう不妊とは、妊娠を望んだ男女が避妊をせずに性交渉を行っているにもかかわらず、1年間妊娠しない状態のことを指します。かつてこの年数は、2年間とされていました。しかし、WHO(世界保健機関)では、2009年から不妊症を「1年以上の不妊期間を持つもの」と定義しており、米国生殖医学会でも「不妊症と定義できるのは1年間の不妊期間を持つもの」と考えられています。日本では近年、結婚年齢が高くなったこともあり、「1年以上妊娠できないときは不妊症である」と診断しています。
ただし、男女ともに35歳以上など年齢が比較的高い場合、もしくは女性側に排卵がない、基礎体温をつけても排卵日の予測ができない、婦人科疾患などの既往歴がある、男性側に性機能障害などがあるといった場合は、1年を待たずに不妊治療を開始したほうが良い場合もあります。

不妊治療の最初のステップは、不妊の原因を探るための不妊検査からスタートします。女性側の検査は内診・経腟超音波検査や血液検査のほか、ヒューナー検査(性交後検査)、X線を用いての子宮卵管造影検査などがあります。
男性側は、精液の量や精子の濃度、運動率などを調べる精液検査や、症状により泌尿器科での触診や超音波検査などを受けます。特殊な検査として、MRI検査や腹腔鏡検査、子宮頸検査を行うこともあります。
不妊要因が特定できた場合はその治療を行いながら、医師と相談して不妊治療も進めます。何らかの病気や異常が見つかった場合は、不妊治療よりも先にその病気等の治療をすることもあります。一方、これらの検査をしても要因が特定できない場合は、不妊治療のステップに進みます。
不妊治療のステップには、「タイミング法(タイミング指導)」「人工授精(AIH)」「体外受精(IVF/ふりかけ法)」「顕微授精(ICSI)」の4つがあります。
どのタイミングでステップアップするかは年齢や状態にもよりますが、年齢が高い、不妊歴が長い、婦人科系疾患の既往歴があるなどの場合は、早めのステップアップをご検討ください。

日本では、不妊の心配をしたことのある夫婦は年々増えており、2022年には39.2%となりました。また、実際に不妊検査や治療を受けたことのある(受けている)夫婦は、22.7%となっています。つまり、不妊検査や治療を行っているカップルは、4.4組に1組もいる計算になります。
一方、「仕事を休みづらい」などの理由で、仕事との両立への不安を抱えているケースも少なくありません。厚生労働省の調査によると、2019年には不妊治療をしたことがある(または予定している)労働者は、「仕事との両立ができなかった(または両立できない)」と回答した人が26.1%いました。
また、不妊治療への支援制度を行っている企業は26.5%あり、不妊治療への理解が進んでいる企業もあることがわかります。
※出典:厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」

以前から、不妊の原因を探るための検査費用や不妊の原因となっている疾患の治療費用については、保険が適用されていましたが、不妊治療そのものは保険適用の対象外でした。
しかし、2022年4月から、下記のように不妊治療の多くが保険適用対象となり、治療費用の負担が軽減されています。

※出典:厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」
2022年3月以前から、一部の不妊検査や不妊治療について保険が適用されていました。保険が適用されていた検査は、不妊の原因を明らかにするための、下記のような検査です。
また、保険が適用される治療については、不妊の原因となっている下記のような疾患のために行う手術療法や薬物療法などの治療が対象となります。
2022年4月以降は、上記の検査や治療に加え、不妊治療そのものについても健康保険が適用されるようになりました。つまり、健康保険が適用できる範囲が拡大されたのです。保険適用される不妊治療の種類と、それぞれでかかるおおまかな費用は下記のとおりです。
妊娠に導くため、医師がさまざまな検査を利用して女性の排卵期から妊娠しやすい日を予測し、性交のタイミングを指導します。費用は1周期あたり数千円~20,000円程度です。
※診察・検査・薬剤内容により総額は変わります。
精液を洗浄・濃縮して取り出した元気な精子を、排卵期から妊娠する可能性の高い日に、医師がカテーテルを使って子宮に注入する不妊治療を人工授精(AIH)といいます。費用は1周期あたり数千円~30,000円程度です。
※診察・検査・薬剤内容により総額は変わります
体外受精(IVF/ふりかけ法)とは、女性側から得た卵子に男性側から得た精子をふりかけ、シャーレ上で受精させて子宮内に戻し、妊娠を成立させる不妊治療です。患者さまの状態により係る費用は異なるため、概算になりますが、診察費や検査費・薬剤費を含めると保険診療では65,000~164,000円ほど、自費診療では390,000~900,000円ほどです。
男性側から採取した精液から元気な精子を1匹だけ選定し、女性側から採取した卵子にガラスの管を使って直接注入し、受精させたのちに受精卵を女性の子宮に戻す不妊治療を顕微授精といいます。患者さまの状態により係る費用は異なるため、概算になりますが、診察費や検査費・薬剤費を含めると保険診療だと78,000~200,000円ほど、自費診療では525,000~980,000円ほどになります。
不妊治療の保険適用範囲は拡大したものの、保険適用外となる治療もまだあることに注意が必要です。先進医療は自由診療に該当しますが、ある程度の実績を積んで確立されている治療であると認められた治療については、保険診療との併用が認められています。
また、不妊治療に関する費用の保険適用には、一定の治療回数の制限や年齢の制限があります。これらの保険適用の制限回数・年齢制限を超えた場合は、自費診療の金額で治療を受けなければなりません。

生殖補助医療(ART)を行う場合、治療費用が保険適用になるには、年齢と回数という2つの要件を満たすことが必要です。
まず年齢については、治療開始時の女性の年齢が43歳未満であるときに保険が適用されます。ただし、例えば42歳で治療を始めて、治療の途中で43歳になった場合は、43歳になった後もその周期の胚移植までは保険診療が使えます。
また、回数にも上限があります。初めて治療を開始するときの女性の年齢が40歳未満の場合は1子につき通算6回まで、40歳以上43歳未満の場合は1子につき通算3回までとなります。この回数は出産ごとにリセットされるので、例えば35歳から不妊治療を3回行い、第1子を授かって出産した後、38歳で第2子の妊娠に向けて再び不妊治療を行いたい場合、残り3回しか使えないというわけではなく、出産により回数がリセットされるので6回使えることとなります。
なお、一般不妊治療のタイミング法(タイミング指導)や人工授精(AIH)には、年齢・回数制限はありません。制限があるのは、あくまで生殖補助医療(ART)のみです。
| 初めての治療開始時の女性の年齢 | 回数上限 |
| 40歳未満 | 通算6回まで(1子ごと) |
| 40歳以上43歳未満 | 通算3回まで(1子ごと) |
地方自治体によっては、独自で不妊治療費用への助成金を出しているところもあります。各自治体で助成金制度の対象となる条件が異なるため、お住まいの自治体にご確認ください。
詳しくは「不妊治療・生殖補助医療(ART)の助成金について」のページをご覧ください。
不妊治療にかかる費用負担を軽減させる方法として、保険診療や助成金以外にも「高額療養費制度」があります。入院や手術の経験がある方は利用されたことがあるかもしれませんが、医療機関に縁遠かった方にはあまり馴染みがないもかもしれません。せっかくの制度なので必要な時に申請できるよう、下記にて詳しく解説します。
詳しくは「高額療養費制度について」のページをご覧ください。
不妊治療費用の多くが保険適用となってからは、体外受精(IVF)や顕微授精といった高度な治療にも保険が使えるようになりました。以前は何百万とかかることもあった不妊治療の費用ですが、現在では経済的な負担はだいぶ軽減され、不妊治療へのハードルも下がったといえます。とはいえ、まだ保険適用となっても高額な治療も多いので、自治体の助成金も活用しながら不妊治療にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
にしたんARTクリニックでは、治療前に無料のカウンセリングを行っています。「治療費にどれくらいの金額がかかるのか心配」という方は、カウンセリングの際にお気軽にお尋ねください。患者さまの費用面の不安や心配ごとを軽減できるよう、お話を伺いながら治療を進めていきましょう。
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