妊活
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子宮の内側にある子宮内膜は、受精卵(胚)の着床に備えてふかふかのベッドのように厚くなり、着床する大切な場所です。妊娠成立後も赤ちゃんを育てるため、子宮内膜に十分な厚さと柔らかさがあることは非常に重要であるといわれています。
子宮内膜の厚さや柔軟性は人によって異なりますが、実際にどれくらいの厚みがあれば妊娠しやすくなるのでしょうか。この記事では、子宮内膜の厚さと妊娠の関係のほか、薄くなる理由と改善方法を含めて、詳しく解説します。妊活中の方は、ぜひ参考にしてください。
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子宮内膜とは子宮の内側の組織で、厚さはホルモンの分泌によって変わる妊娠率が高まる子宮内膜の厚さは8mm以上子宮内膜が薄くなる理由と対応妊娠に向けて子宮内膜を厚くする方法子宮内膜の厚さが気になったら、にしたんARTクリニックにご相談ください子宮内膜とは、子宮の内側を覆っている組織です。子宮内膜の外側にあるのが子宮筋層、さらにその外側にあるのが子宮漿膜(しょうまく)です。
子宮内膜は、子宮の内側を覆う機能層と、その外側で子宮筋層に接する基底層に分かれ、機能層が毎月の月経周期に合わせて変化します。
月経周期が正常であれば、排卵に向けてエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌され、子宮内膜は少しずつ厚くなって受精卵(胚)の着床に備えます。排卵後は同じくプロゲステロン(黄体化ホルモン)の分泌量が増え、子宮内膜がさらに厚くなると、受精卵(胚)の着床と妊娠の維持を助けることが可能です。
排卵された卵子が受精しない、あるいは受精卵(胚)が着床に至らない場合、排卵から約2週間で子宮内膜は血液とともに子宮の外に排出されます。これが月経です。月経後は、また新たに子宮内膜が作られます。
受精卵(胚)が子宮内膜に無事に着床し、妊娠が成立した場合は子宮内膜が成長を続けるため、次の月経は起こりません。
子宮内膜が厚くなるには2種類の女性ホルモンがしっかり分泌されていることが必要です。しかし、女性ホルモンの分泌量は個人差があるため、子宮内膜の厚さも人それぞれで、毎月一定ではありません。月経前と月経後、月経の周期などによっても変化します。
子宮内膜の厚みは、婦人科や不妊治療専門クリニックであれば経腟超音波検査ですぐに調べることが可能です。不妊治療の過程でも、妊娠に適した子宮内環境かどうか、妊娠後には妊娠が維持されているかを確認するために、子宮内膜の検査があります。
子宮内膜の「薄い」「厚い」の定義には諸説ありますが、一般的に不妊治療専門クリニックでは子宮内膜が7mmまたは8mm未満の場合、「薄い」と定義しています。不妊治療の胚移植では、子宮内膜が7mmに満たない場合に妊娠率は低下し、流産率が上昇するとのデータがあり、7mmを目安に胚移植をキャンセルするクリニックもあることから、できるだけ厚めの8~10mmであることが望ましいといえるでしょう。
ただし、妊娠の成立には子宮内膜の厚さ以外の要素も複雑に関わっており、子宮内膜の厚さが4〜6mmと薄くても、妊娠するケースは少なくありません。一方で、子宮内膜に十分な厚さがあっても妊娠に至らないケースもあります。すべての方にあてはまるわけではありませんが、8mm以上あれば着床しやすい、と覚えておきましょう。
例外はあるものの、現在の医療では、子宮内膜が薄い場合には着床にしにくく、着床しても妊娠を継続できない可能性が高くなると考えられています。では、子宮内膜が薄くなるのはなぜなのでしょうか。ここでは、子宮内膜が薄くなる理由と、一般的な治療や対処法について解説します。
子宮内膜が薄くなる理由と、それぞれの治療法は下記のとおりです。
子宮内膜が厚くなるためには、エストロゲンの分泌が欠かせません。エストロゲンは卵巣から分泌されるホルモンで、月経サイクルにあわせて子宮内を妊娠しやすい環境を整え、子宮内膜を厚くします。また、栄養と水分をため込んで、妊娠を維持する働きもあります。よって、エストロゲンの分泌量が少ないと、子宮内膜は妊娠に向けた準備ができず、薄くなってしまうのです。
エストロゲンが減少する原因は、加齢に伴う卵巣機能の低下、ストレス、急激なダイエットによる体重減少などが挙げられます。また、プロゲステロンは、黄体ホルモンの分泌が不十分で長く存続できず、子宮内膜を妊娠に適した状態に保てない「黄体機能不全」と呼ばれる場合も減少します。
妊娠に向けて子宮内膜の環境を改善したい場合は、生活習慣を整え、無理なダイエットはやめてバランスの良い食生活を心掛けましょう。黄体機能不全の治療については、下記の記事もご覧ください。
黄体機能不全とは?症状を自分でチェックする方法や改善策を解説
過去に、流産や中絶の際に掻爬(そうは)手術を行っていると、子宮内膜の厚さに影響を及ぼすといわれています。掻爬手術の経験が多いほど、妊娠に悪影響が出ることもわかっています。
閉経に近づくにつれて卵巣機能は徐々に低下し、個人差はありますが子宮内膜に影響を及ぼす女性ホルモンの分泌も少しずつ減少します。年齢を重ねると、排卵前の卵胞期に増加して子宮内膜を厚く柔らかくするエストロゲン、排卵後に子宮内膜の状態をさらに良くするプロゲステロンの分泌が減るため、子宮内膜は厚くなりにくいでしょう。
加齢で減る女性ホルモンの分泌を増やすことはできませんが、更年期障害の治療法として、飲み薬や貼り薬、塗り薬などで女性ホルモンを物理的に補う「ホルモン補充療法(HRT)」があります。ホルモン補充療法は、更年期症状が重く日常生活に支障がある場合に適応されますが、妊活中に何らかの症状を伴う場合は産婦人科で相談することをおすすめします。
子宮内膜が薄くなる原因として、血流不足も挙げられます。子宮内膜は、女性ホルモンの働きで分泌が増えた栄養が血液に乗って運ばれ、蓄えられることによって充実します。何らかの理由で血流が悪化すると、子宮内膜に十分な栄養が行き届かず、子宮内膜が薄くなるかもしれません。
血流不足は、運動不足のほか喫煙、ストレス、冷え性などが引き金となることが多いため、まずは生活習慣の改善を心掛けましょう。高血圧や子宮筋腫などの疾患によって血流不足が起きている場合は、原因疾患の治療を進めることが大切です。
子宮内膜に十分な厚さがあれば、妊娠率の向上が期待できます。そのため不妊治療では、経腟超音波検査で子宮内膜の状態を調べ、厚さが足りなければ胚移植までに黄体ホルモンを補う投薬が一般的です。不足するホルモンを補うことで子宮内膜が厚くなるのを助け、妊娠に適した子宮環境をつくることができます。
子宮内膜を根本的に改善する治療法はまだありませんが前述のホルモン療法のほか、「PFC-FD療法」と呼ばれる特殊な治療法や、生活習慣の見直しは効果的です。ホルモン療法、PFC‐FD療法と、実践したい生活習慣について紹介します。
ホルモン療法は、子宮内膜の厚さを適切に保ち、妊娠しやすい状態を整えるための治療法のひとつです。特に、子宮内膜が薄い場合やホルモンバランスが乱れている場合に用いられます。ホルモン療法は医師の指導のもとで適切に行うことが重要です。過剰なホルモン補充は副作用を引き起こす可能性があり、不正出血や頭痛、むくみなどの症状が現れることもあります。治療中は定期的な診察を受け、ホルモン値や子宮内膜の状態を確認しながら進めることが推奨されます。
主なホルモン療法は、エストロゲン補充療法と黄体ホルモン療法の2種類です。
エストロゲンは子宮内膜を厚くする働きを持つホルモンです。経口薬や貼り薬、注射などの形で投与され、内膜を十分に成長させることを目的とします。
排卵後に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン/P4)は、厚くなった内膜を維持し、着床しやすい環境を作ります。不足している場合は、黄体ホルモンを補うことで妊娠しやすい状態をサポートします。
PFC-FD療法(Platelet-derived Factor Concentrate Freeze Dry)は、本人の血小板に含まれる成長因子を抽出して活性化させ、修復したい細胞に注入することで、損傷した部位を修復する治療法です。
不妊治療においては、活性化させた成長因子を子宮内に注入すると、子宮内膜に厚みをもたせることが期待できます。にしたんARTクリニックでは、凍結融解胚移植を予定していてPFC-FD療法を希望する方、または、何度か胚移植を行っても妊娠が成立しない方を対象にPFC‐FD療法を行っており、成果を挙げています。自費診療になりますが、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
PFC-FD療法については、こちらのページをご覧ください。
PFC-FD療法
子宮内膜の厚さを出すには、ホルモンの適切な分泌が不可欠です。食事のバランスに気を配り、体の状態を整えましょう。ただし、「これをとればホルモンの状態が良くなる」といえる栄養素はありません。多様な食材からさまざまな栄養素をとり、太り過ぎや痩せすぎを避けましょう。
血流を改善したり、良質な睡眠をとったりすることも、子宮内膜にプラスの影響を与えます。日中にほどよく運動すると、体がほぐれ、夜はよく眠れます。継続が重要なので、ウォーキングやストレッチなど、軽めの運動を毎日の習慣にするとよいでしょう。
ストレスや不安、緊張などで精神的に不安定な状態は、妊活に良い影響を与えません。ホルモンバランスが崩れれば、子宮内膜の成長も停滞する場合があります。
趣味を見つけたり、友人やパートナーに話を聞いてもらったりしながら、上手に発散することを心掛けましょう。
子宮内膜の厚さは、妊娠の成立や維持と深く関わっています。不妊治療の際、胚移植前に行う経腟超音波検査で子宮内膜が薄いことがわかった場合は、胚移植のタイミングを検討し直す場合もあります。
妊活中の方や不妊治療中の方は、ふかふかで柔らかく、厚みのある子宮内膜を目指しましょう。胚移植に何度かトライして良好な結果が得られていない方は、ホルモン療法やPFC-FD療法で子宮内膜の改善を図るのも一案です。
にしたんARTクリニックでは、患者さま一人ひとりに合った治療法をご提案しています。妊活中で子宮内膜の厚さが気になる方、現在不妊治療中で新しい方法を試してみたい方はお気軽にご相談ください。にしたんARTクリニックでは、すべての患者さまに寄り添いながら治療を行っています。
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