不妊治療

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卵巣を休ませるカウフマン療法とは?効果や副作用について解説

卵巣を休ませるカウフマン療法とは?効果や副作用について解説

カウフマン療法とは、不妊治療のひとつで、ホルモン剤を投与して擬似的に月経周期を作ることで排卵させずに卵巣を休め、この治療をやめたときのリバウンド効果を期待する治療法です。排卵を抑制することで自然な月経を促し、妊娠しやすい環境を整えていきます。無月経や無排卵などの排卵障害に悩んでいる人が、正常な月経周期を整えるための治療法です。
ここでは、カウフマン療法の仕組みや治療方法のほか、効果や副作用について解説します。併せて、知っておきたいデメリットや妊娠への影響などについても見ていきましょう。

カウフマン療法とは薬剤を使って擬似的に月経周期を作ること

カウフマン療法とは、女性の体内で起こる月経周期を擬似的に作ることで、排卵を止めて卵巣を休ませ、この治療をやめたときのリバウンド効果を期待する療法です。カウフマン療法におけるリバウンド効果とは、それまで働きを停止していた脳の下垂体が、薬剤による治療をやめた後に、治療していたときと同じようにホルモンを出す必要があると錯覚して正常に働くようになるというものです。

カウフマン療法は、正常な月経周期や女性ホルモンの環境を人工的に作り出すホルモン療法でもあります。女性の体内で起こる自然なホルモンの変化を、薬剤を用いて擬似的に作っていくのです。

カウフマン療法の効果

カウフマン療法は排卵障害に対して有効的な不妊治療とされています。カウフマン治療を3~6ヵ月程度継続することで女性の体内は正常な月経周期を覚え、その後はホルモン剤を投与しなくても自然に排卵が起こせるようになる効果が期待できるでしょう。

具体的には、女性の体内で不足している卵巣ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)をホルモン剤で投与して、擬似的に月経周期を作ることで、規則的な月経周期を覚えさせていきます。

カウフマン療法中は下垂体機能が抑制されますが、カウフマン療法をやめた後には視床下部から下垂体の機能が活性化して、卵胞発育とそれに引き続いて排卵が誘発されると推測されています。つまり、一定期間継続して擬似的に月経周期を作ることで正常な月経周期を整え、やめたときのリバウンドで自然排卵を促すのです。

その反面、カウフマン療法は一定期間継続して行うため、時間がかかる割には必ずしも排卵が誘発されるとも限らないところが欠点ともいえます。また、カウフマン療法を行っているときは排卵しないため、理論的には妊娠することはありません。

しかし、まれなケースではありますが、擬似的に月経周期を作ることで排卵機能が回復し、カウフマン療法中に排卵して妊娠することもあります。

カウフマン療法の流れ

カウフマン療法を始める前に、超音波検査や血液検査で月経不順や無月経の原因を調べます。治療は内服薬または注射剤で行っていきますが、最も一般的なのは錠剤の内服薬による治療です。

具体的には、下記のような手順で行われます。

内服薬によるカウフマン療法の流れ

1. 月経周期の前半

 エストロゲン製剤を約10日間内服

2. 月経周期の後半

 エストロゲン製剤およびプロゲステロン製剤を約11日間併用で内服

3. 開始から21日目

 薬の内服終了日、1週間程休薬期間

4. 薬の内服終了2~3日後

 月経に似た出血(消退出血)が起こるのを確認

カウフマン療法は、28日間(4週間)を1周期とするのが基本です。このサイクルを何周期(3~6ヵ月程度)か継続します。

療法期間中は下垂体機能が抑制されていますが、療法中止後には視床下部と下垂体の機能が活性化し、卵胞発育とそれに引き続いて排卵が誘発されると推測されます。このリバウンド効果によって、その後の自然排卵周期を期待します。

使用する薬剤とその作用について

カウフマン療法で使用する薬剤は、卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)と同じ作用を持っています。

正常な月経周期が起こるには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンの働きが重要です。月経が始まるとエストロゲンの分泌量が増えて卵胞が成熟し、排卵後にはエストロゲンに代わってプロゲステロンの分泌量が増えて子宮内膜にやわらかさと厚みを持たせて、受精卵が着床しやすいように子宮内環境を整えます。子宮内膜は受精が成立しなければはがれ落ちますが、その際に生じる出血が月経です。

カウフマン療法は、月経周期の前半にエストロゲン製剤を約10日間投与することで卵胞の増殖期を誘導し、後半にエストロゲン製剤+プロゲステロン製剤を約11日間投与することで消退出血(月経)を引き起こさせます。このサイクルを何周期か繰り返すことで正常な月経周期の状態にしていきます。薬剤の投与方法は、年齢や症状など個人差があるため、医師と相談しましょう。

カウフマン療法のデメリット

カウフマン療法は、擬似的に月経周期を作ることで正常な月経周期を整え、リバウンド効果で自然排卵を起こさせるため、排卵障害の改善のほか、卵巣のコンディションを整えることも期待できます。一方で、次のようなデメリットがあるので注意が必要です。

必ずしも排卵があるとは限らない

カウフマン療法では、数ヵ月にわたり排卵抑制をしてリバウンド効果による排卵を誘発しますが、必ずしも排卵が誘発されるとは限りません。時間をかけて治療に取り組んでも、必ず自然な月経が起こるわけではないということも理解しておく必要があります。

副作用が出ることがある

カウフマン療法は人工的にホルモンバランスへ影響を与えることとなるため、副作用が出る可能性があります。軽い副作用としては、胸の痛みや頭痛、吐き気、めまいなどが挙げられます。症状が重い場合は医師に相談しましょう。

また、カウフマン療法の最も重い副作用が血栓症です。極めてまれではありますが、体のどこかに血栓ができて血管を詰まらせるおそれがあります。体調に異変を感じたらすぐに薬の服用を中止して、医師に相談してください。

むくんだり太ったりすることがある

カウフマン療法では、使用するホルモン剤が体内に余分な水分や体液を溜め込ませ、むくみや体重の増加を引き起こすことがあります。これは、カウフマン療法で用いられるホルモン剤が、体内の電解質代謝に影響を与えることが原因と考えられています。

電解質はナトリウムやカリウムなど、体液に含まれる物質です。この電解質代謝が正常に働かなければ、余分な体液が体内に溜まってしまい、むくみや体重増加の原因となります。

カウフマン療法が電解質代謝にどのくらいの頻度や程度で影響を及ぼすのかは不明ですが、むくみや体重増加はあくまでも一時的な変化と考えていいでしょう。こうした体の変化が気になる場合は、医師に相談することをおすすめします。

薬を飲み忘れると治療の効果が十分に得られない

カウフマン療法は基本的に内服薬の服用によって治療を進めていきますが、うっかり薬を飲み忘れてしまう可能性があります。飲み忘れが続くと治療の効果が得られないこともあるので、飲み忘れには注意しましょう。

もし、薬の服用を忘れてしまった場合は、気づいた時点で服用する、もしくはその日の分はスキップして翌日忘れずに服用するなど、飲み忘れてしまったときの対応を医師や薬剤師に確認しておくと安心です。

カウフマン療法で妊娠しやすくなる?

カウフマン療法を行っているあいだは排卵が抑制されるため、基本的に妊娠することはありません。しかし、何周期か治療を続けて正常な月経周期に整えることができ、自然排卵が起これば、カウフマン療法をやめた後に妊娠できる可能性は高まると考えられるでしょう。

カウフマン療法を続ける期間や、その後の不妊治療の進め方は人によって異なりますが、カウフマン療法を2~3周期継続した後に排卵誘発を行い、自然妊娠や体外受精(IVF)で妊娠できたというケースもあります。

妊娠をするためには、正常な排卵や月経周期で妊娠環境を整えることは必要不可欠です。カウフマン療法はこうした環境を整えるための準備ができる治療と考えて、長期的に捉えていく必要があります。

カウフマン療法とピルの違い

ピルは、カウフマン療法と似たような働きをします。どちらも、脳に妊娠したと思い込ませて排卵を抑制し、卵巣と子宮を休ませる働きがあります。

この偽妊娠の効果が強いのはカウフマン療法で、滅多に排卵が起こらない状態にすることが可能です。ピルの場合は完全に排卵を止めることは難しく、たまに卵巣が働いて排卵してしまうことがあります。

また、カウフマン療法によってしっかりと休んでいた卵巣の中にある卵胞は、大きさにばらつきがありません。どの卵胞も小さい状態で、そこから発育していきます。

このように、しっかりと卵巣と子宮を休めて妊娠しやすい環境を整えるカウフマン療法のほうが、ピルよりも高い治療効果が期待できると考えられます。

カウフマン療法を行い、妊娠環境を整えよう

カウフマン療法は女性ホルモンと同じ作用のある薬剤によって自然な月経周期となるよう促し、女性の体を妊娠しやすい環境に整える効果が期待できます。月経不順や不妊に悩む人、今後の妊娠を望む人は、カウフマン療法によって妊娠率を高められるかもしれません。

ただし、カウフマン療法には副作用やデメリットもあります。それらを考慮しながら医師やパートナーと相談した上で治療を受けるか検討するようにしましょう。

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