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ヒューナー検査とは?検査の目的や方法、判定基準を詳しく解説

ヒューナー検査とは?検査の目的や方法、判定基準を詳しく解説

昨今では妊娠・出産を望む年齢が高齢化していることもあり、妊娠を望んでいてもなかなか授からないケースがあります。この場合、不妊要因があることが考えられるため、早めに産婦人科を受診することが大切です。
不妊治療を始める際には、不妊の原因を突き止めるためにいくつかの検査を受ける必要があります。そのうちのひとつに「ヒューナー検査」があります。
本記事では、ヒューナー検査(性交後検査)の目的をはじめ、検査方法や結果の判定基準値のほか、注意事項について詳しく解説していきましょう。

ヒューナー検査(性交後検査)の目的

ヒューナー検査(性交後検査)とは、女性の頸管粘液(おりもの)と男性の精子の適合性を調べるための検査です。1868年にシムス(Sims)が提唱して1913年にヒューナー(Huhner)が実用化した不妊検査方法 で、「性交後試験」「PCT」「フーナーテスト」とも呼ばれます。
ヒューナー検査(性交後検査)を行うのに適した時期は、排卵期の頸管粘液(おりもの)の分泌が増えているときです。検査前にはあらかじめ医師に排卵期を予測してもらい、排卵数日前から排卵日頃の間で検査日を設定します。その上で、検査当日早朝か前夜に性交渉を行い、クリニックを受診しましょう。
検査では、性交渉後12時間以内に頸管粘液(おりもの)中の射精された精子を採取し、顕微鏡で調べます。精子が子宮内に進入できているか、精子がどれくらいの数いるか、精子がどのくらい元気に運動しているか(泳いでいるか)を確認するのが目的です。
精子が元気に動いていれば心配ありませんが、女性側の頸管粘液(おりもの)の状態によって、あるいは男性側の体調などによって精子の動きが鈍かったり、そもそも動いていなかったりすることも少なくありません。

ヒューナー検査(性交後検査)結果後の不妊治療の進め方

ヒューナー検査(性交後検査)の結果によって、タイミング法で様子を見るのか、人工授精(AIH)や体外授精(IVF)を行うのかを判断します。
検査結果が良好の場合はタイミング法を選択し、一般的には3ヵ月~1年程続けてみても妊娠が成立しない場合は体外受精に移行します。
検査結果が不良の場合は、抗精子抗体の有無を調べる抗精子抗体検査を行い、陽性となった場合は体外受精に、陰性となった場合は平均3~6回程人工授精を行い、それでも妊娠が成立しない場合は体外受精に踏み切る可能性が高くなります。

ヒューナー検査(性交後検査)結果を踏まえた不妊治療フロー

ヒューナー検査(性交後検査)の方法

ヒューナー検査(性交後検査)の具体的な方法は、性交渉後、12時間以内にクリニックを受診することからスタートします。性交渉から受診まで時間が空きすぎると正確な結果が出ないため、性交渉は検査日の前夜もしくは当日早朝に行うのがおすすめです。
検査2~4日前から性交渉やマスターベーションは控える、性交渉には潤滑ゼリーなどを使用しない、受診まで腟内を洗浄したり、湯船につかったりしない などの注意点があるため、医師の指示を守るようにしましょう。

ヒューナー検査(性交後検査)の一般的な判定基準値

ヒューナー検査(性交後検査)では精子の判断基準に一定の見解がまだありませんが、概ね下記の基準値を参照します。

精子の数と運動の判断基準値

ヒューナー検査(性交後検査)は、タイミング指導や人工授精が有効かどうかを見極める重要な検査です。

ヒューナー検査(性交後検査)の結果が不良となる要因

排卵期のタイミングを狙ってヒューナー検査(性交後検査)を繰り返し行っても、結果が良好にならないこともあります。結果が不良になる要因は女性にも男性にも考えられます。考えられる要因は下記のとおりです。

頸管粘液(おりもの)の状態が良くない

女性側の要因のひとつに、排卵期になっても、頸管粘液(おりもの)が固まっている状態から卵の白身のような糸を引く状態に変化しないことが挙げられます。
卵の白身のような粘性のある状態が精子にとって運動するのに快適な条件となるため、頸管粘液(おりもの)の粘度が強く固まっていると精子が動きにくくなってしまい、腟から子宮に入っていけなくなるのです。
そのほか、頸管粘液(おりもの)のpHも関係しています。頸管粘液(おりもの)は通常、精子と同じ弱アルカリ性になっていて、精子が活動しやすい環境です。しかし、元々子宮内は強い酸性の性質があるため、頸管粘液(おりもの)が酸性に傾いていることもあります。この場合、精子は勢いをなくし、子宮頸管を通過できなくなります。
このように、頸管粘液(おりもの)の状態不良により、検査結果も不良となるケースがあるのです。

抗精子抗体が邪魔をしている可能性がある

女性の体内に抗精子抗体と呼ばれる抗体があるために、検査結果が不良になることもあります。抗精子抗体とは精子を異物と認識し排除する抗体のことで、女性の場合は、頸管粘液(おりもの)や腟、卵管に存在することがあります。精子が子宮に進入しようとしても、通り道に抗精子抗体があると動きが止められてしまうため、自然妊娠が難しくなってしまうのです。
意外なことに、抗精子抗体は男性にできる場合もあります。普段は血液と精液は体内で接触しない仕組みになっているものの、精巣や精巣上体、精管に炎症が起きて血液と精液が接触することがあります。このときに、自己免疫として抗体ができてしまうのです。
男性に抗精子抗体があると、精子は凝集してしまいます。ただし、凝集しているだけのことも多く、この塊の中で活発に動く精子がたくさんいれば、自然妊娠あるいは人工授精(AIH)での妊娠が成功する可能性もあります。
ヒューナー検査(性交後検査)の結果が不良の場合は、男女共に抗精子抗体の有無を確認してみることをおすすめします。

精子の数が少ない、または運動率が低い

男性側に要因があるケースは、精子の数と運動率が考えられます。腟内に射精された精液中の精子の数が少ない、もしくはゼロの場合は結果が不良になりやすくなります。
また、正常な精子がいても運動率が低く、精子が卵管部分に到達できないと考えられる場合も、結果が不良となる可能性があります。

ヒューナー検査(性交後検査)をする際のよくある疑問

ヒューナー検査(性交後検査)で良好な結果を得るためには、性交渉や受診のタイミングを図る必要があります。このタイミングをはじめ、費用や痛みの有無などの疑問について回答します。

Q. ヒューナー検査(性交後検査)はいつ受けるのがいい?

ヒューナー検査(性交後検査)は不妊治療の初期に行います。ヒューナー検査(性交後検査)の結果で、タイミング法でいくのが良いのか、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)を検討すべきなのか、治療の方針が決められるためです。
ヒューナー検査(性交後検査)の前には、一般的な不妊の原因を探るために超音波検査、卵管造影検査、感染症検査、ホルモン検査といった検査を一通り受けます。これらの検査結果も踏まえて、正確な排卵日と排卵状態を医師に予測してもらい、排卵期にヒューナー検査(性交後検査)を実施します。
排卵期に合わせて性交渉と受診のタイミングを指示されるので、指示された期間に性交渉を行った後、12時間以内に受診するのが一般的です。

Q. ヒューナー検査(性交後検査)では何がわかる?

ヒューナー検査(性交後検査)で運動能力の高い精子が観察できれば、良好と判断して良いと考えられます。良好な結果が得られて、なおかつ月経周期や卵管に問題がなければ不妊の心配はほとんどなく、自然妊娠を目指すことができます。ヒューナー検査(性交後検査)自体がタイミング法も兼ねているため、検査を受けて間もなく妊娠できるケースもあります。
繰り返し検査をしても良い結果が得られない場合でも、次のステップへの移行も考慮に入れながら、医師と治療計画を相談しましょう。

Q. ヒューナー検査(性交後検査)の費用は?

ヒューナー検査(性交後検査)は保険が適用となるため、自己負担3割で受けることができます。多くのクリニックでは1,000円前後で受けられるようです。
にしたんARTクリニックでは保険適用の場合は450円、保険適用外の場合でも1,100円で検査可能となっています。(別途再診料かかります)

Q. ヒューナー検査(性交後検査)に痛みはある?

ヒューナー検査(性交後検査)は内診台に上がって子宮口の入り口や子宮頸管内の頸管粘液(おりもの)を採取する検査なので、「痛いのではないか」と心配になる方も少なくありません。
しかし、採取する際の痛みはありませんので、ぜひリラックスしてお受けください。

ヒューナー検査(性交後検査)の結果によって不妊治療の方針が変わることもある

ヒューナー検査(性交後検査)は、頸管粘液(おりもの)内の精子の進入状態や運動状態を検査する方法です。この検査は妊娠の成立のしやすさを測る、今後の不妊治療の方針を決める上で重要な検査となっています。
性交を伴う検査なので、特に初めて受ける人にとってはハードルが高いと感じられる検査ともいえますが、結果によっては治療方針が変わることもあるため、できるだけ受けておくといいでしょう。
ただし、体調や腟内の精子の数などのコンディションにも左右されるほか、コンディションに問題がなくても、検査のタイミングと排卵時期が合わなければ結果が不良となることもあります。
判断の正確性を高めるためには、複数回検査をしなければならない可能性もありますので、ご夫婦(パートナー)とよく話し合い、医師とも相談してみてください。

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