高濃度ヒアルロン酸含有培養液について

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高濃度ヒアルロン酸含有培養液とは?Hyaluronic

生殖補助医療(ART)とは、採取した卵子を体外で受精させ、できた受精卵を子宮内に戻す治療法です。体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)を終えた後の受精卵(胚)は、移植までお母さんのおなかの中を模した培養液の中で育ちます。高濃度ヒアルロン酸含有培養液とは、このとき使用される培養液の一種で、ヒアルロン酸が従来の培養液よりも豊富に含まれている培養液のことです。胚移植用の培養液に含まれるヒアルロン酸の濃度が与える影響を調査した結果によれば、高濃度ヒアルロン酸含有培養液を使用した胚移植では、妊娠率・胎児心拍率の向上が期待できることがわかっています。
出典:健やか次世代育成総合研究事業「患者さまのための生殖医療ガイドライン

ヒアルロン酸と高濃度ヒアルロン酸の特徴

先進医療とは、厚生労働大臣が認める高度な医療技術を用いた治療法のうち、有効性・安全性を一定基準満たすものの、まだ保険適用の対象となっていないもののことです。先進医療は、一般的な保険診療の過程で患者が希望し、医師が必要性を認めた場合に実施されます。

先進医療はすべて自費診療になるため、通常は保険診療と併用することはできません。しかし、承認を受けた一部の先進医療については、保険診療と同時並行で行うことができるようになりました。

にしたんARTクリニックで行っている体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)については、採卵から胚移植までの基本的な診療は条件を満たせばすべて保険適用となり、オプションとしてご用意しているさまざまな先進医療との組み合わせが可能です。
妊娠の可能性を高める先進医療の種類や費用負担について解説します。

高濃度ヒアルロン酸は、通常の低分子ヒアルロン酸に比べて粒子が大きく、保水力が高いのが特徴です。これを、体外受精や顕微授精で得られた受精卵を子宮に移植する際の培養液として使用しているのが高濃度ヒアルロン酸含有培養液なのです。

高濃度ヒアルロン酸含有培養液のメリット

受精卵を培養する際の培養液は、通常の受精の場である卵管の環境に近い状態を作り、胚の発育を促す役割を果たしています。この培養液を高濃度ヒアルロン酸含有培養液にすることで、さまざまなメリットが期待できます。
受精卵を培養する際に高濃度ヒアルロン酸含有培養液を使用するメリットは、下記のとおりです。

受精卵が子宮内にくっつきやすくなる

受精卵と子宮内膜には、ヒアルロン酸に結合するヒアルロン酸受容体が存在しています。高濃度ヒアルロン酸含有培養液を介することで、受精卵と子宮内膜は結合しやすくなり、結合した後もはがれにくくなります。そのため、着床率の向上が期待できるのです。

初めて胚移植をする際に高濃度ヒアルロン酸含有培養液を使用した場合、低濃度ヒアルロン酸培養液、あるいはヒアルロン酸を含まない培養液を使用した場合と比べて副作用や流産率などは変わらず、出生率が上がったという報告もあります。
出典:健やか次世代育成総合研究事業「患者さまのための生殖医療ガイドライン

胎児心拍率が向上する

反復着床不全(良好な胚を4個以上かつ3回以上移植しても妊娠に至らない場合)の患者さまを対象とした研究では、高濃度ヒアルロン酸含有培養液を使用することによって、妊娠率・出生率ともに向上することが報告されています。
出典:健やか次世代育成総合研究事業「患者さまのための生殖医療ガイドライン

患者さまへの負担が少ない

高濃度ヒアルロン酸含有培養液の使用に大きなデメリットはなく、とても安全な方法です。胚を培養する際に胚培養士が高濃度ヒアルロン酸含有培養液を使用し、胚移植の際には同培養液を子宮内に注入します。患者さま自身への負担を極力押さえた方法といえるでしょう。

高濃度ヒアルロン酸含有培養液の適用

高濃度ヒアルロン酸含有培養液を用いた胚移植は、2022年から保険適用になっています。ただし、保険適用の対象となるのは、過去の胚移植で複数回にわたって妊娠不成功だった患者さまのみで、医師が必要と認めた場合に限られます。自費で行う場合は、初回の胚移植であっても制限はありません。にしたんARTクリニックでも、オプションとして高濃度ヒアルロン酸含有培養液の選択が可能です。

新鮮胚移植、凍結胚移植のどちらでも高濃度ヒアルロン酸含有培養液での培養が可能ですが、培養室での準備が必要なため、2回目以降の胚移植で使用したい際には、早めにご相談ください。

Doctor's Message

にしたんARTクリニックでは、一組でも多くの患者さまの願いが叶うよう、「科学的根拠」にもとづいたより良い治療の提供に努めています。高濃度ヒアルロン酸含有培養液もそのひとつ。胚移植専用培養液で、通常のヒアルロン酸より粘度が高く、保水性に優れたヒアルロン酸を使用しており、受精卵と子宮内膜との接着を強力にサポートしてくれます。受精卵の着床を助け、結果として妊娠率、出生率を高める効果が期待できる手法だといえるでしょう。

高濃度ヒアルロン酸含有培養液は胚移植の際に使用されるものなので、患者さまご自身への負担は極力押さえられているのが特徴です。過去の胚移植で複数回にわたって妊娠不成功だった患者さまに、高濃度ヒアルロン酸含有培養液を保険適用でお選びいただけます。自費診療であれば、初回の胚移植でも対応できるのでぜひご相談ください。

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