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着床しにくい人の特徴とは?着床障害についても解説

着床しにくい人の特徴とは?着床障害についても解説

不妊治療を受けている方の中には、体外受精(C-IVF)や顕微授精(ICSI)にステップアップしたけれど、なかなか妊娠できないというケースが少なからずあります。
その場合、何らかの原因で着床しにくい状態、すなわち着床障害が生じている可能性があるため、一度クリニックを受診して検査を受けることをおすすめします。

本記事では、着床しにくい人の特徴や、着床障害を調べるための検査方法について解説します。

着床とは、受精卵が子宮内膜内に潜り込むこと

着床とは、卵子と精子が出合って受精が成立した受精卵が、細胞分裂を繰り返しながら4~6日かけて卵管から子宮へ移動し、受精から7日目前後に子宮内膜にくっつくことをいいます。
最終月経日から2週間程で排卵が起こりますが、排卵日が近くなると、受精卵を着床させやすくするために子宮内膜がふかふかのベッドのように分厚くなります。そのベッドに受精卵がもぐり込むわけです。

着床の完了、すなわち妊娠が成立するのは受精が成立してからおよそ12日後です。なお、妊娠検査薬で反応が出るようになるのは、着床から10日程経過してからといわれています。

着床時に女性の体に起きる変化

着床後から、女性の体にはさまざまな変化が起こり始めます。変化の感じ方は個人差があるので、まったく気づかないこともありますし、気にもとめない方もいるかもしれません。では、受精卵が着床すると、女性の体にどのような変化が起きるのか見ていきましょう。

着床痛や腹痛、腰痛が起きる

着床によって子宮内膜の状態が変化するため、「着床痛」と呼ばれるものが起こることがあります。着床痛は医学的に証明されているものではありませんが、おなかや腰回りに月経痛のような痛みがあったり、月経痛とは少し異なるチクチク、ズキンとした痛みが生じたりすることがあります。

着床出血が起こる

受精卵が着床するときに、子宮内膜に傷がついて出血する「着床出血」が起こることがあります。 出血といっても量は少ないことが多く、おりものにうっすらと血が混じる程度であることが一般的です。期間はおよそ1~2日、長くても3~4日程度です。

おりものが変化する

受精が成立するとエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンの分泌量が増えるため、おりものの量も多くなります。さらに、着床するといつもよりサラサラになったり、反対にネバネバしたり と、おりものの性状も変化します。
また、おりものの色も白く濁ったり、薄茶色になったり、ごく少量の血が混じってピンク色になったりすることがあるのも着床時の特徴です。

基礎体温が変わる

通常、月経が始まる少し前には、基礎体温が低温期に比べて0.3~0.5℃程高くなる高温期になり、月経日直前になると急激に体温が下がります。
しかし、着床して妊娠が成立すると、体温は下がらずに高体温の状態が17日以上続きます。

月経が止まる

着床が完了したサインとして一番わかりやすいのが、月経が止まることです。月経開始予定日を1週間前後過ぎても月経が来ない場合は、妊娠(着床)している可能性が高いといえます。

着床しにくい人の特徴

妊娠が成立するには、受精卵が子宮内に着床することが必要です。妊娠しやすい人の傾向としては、月経が規則正しい間隔で来ていること、経血の量が多すぎたり少なすぎたりしないことなどが挙げられます。
その一方で、着床が難しい方もいます。着床しづらい人の特徴について見ていきましょう。

子宮内膜に異常がある

子宮筋腫やポリープ、帝王切開の既往があるなどで、子宮の形や子宮内膜の異常があると着床しづらくなることがあります。そのほか、ホルモン不足や子宮内膜症、血流不足などが原因で、子宮内膜が正常に成長しなければ、着床が難しくなり妊娠も成立しづらくなります。

卵管に問題がある

性感染症や子宮内膜症などの既往歴があり、卵管が詰まったり(卵管閉塞)、狭くなっていたり(卵管狭窄)すると、受精そのものが妨げられたり、受精に成功しても着床が難しくなったりするケースがあります。
また、卵管が通りづらい状態になっているため卵管の途中で着床してしまい、異所性妊娠を引き起こすこともあります。

月経に異常がある

経の間隔が長すぎたり、反対に短すぎたりする月経不順の場合は、うまく排卵できていない可能性があります。そもそも排卵が起きないと受精することができないため、妊娠成立は難しいでしょう。
また、月経の日数が長すぎる・短すぎる、強い月経痛がある、経血の量が極端に多い・少ないといった場合は、子宮の病気にかかっている可能性もあるため、一度クリニックを受診することをおすすめします。

35歳を過ぎている

年齢を重ねると、妊孕性(妊娠できる力)が徐々に低下します。妊孕性は男女ともに関係あるものですが、女性の場合は30歳を過ぎた頃から徐々に低下し始め、35歳を過ぎるとその傾向が顕著になります。

太りすぎ・やせすぎなど、身体的な特徴がある

太りすぎ・やせすぎも、ホルモンバランスの崩れの原因になるので注意が必要です。
太りすぎの場合は糖代謝異常や脂質代謝異常が起こりやすくなり、やせすぎの場合は脳が「栄養不足だ」と判断して生命維持を優先するため、排卵を止めてしまう 可能性があります。

喫煙やアルコールを過度に摂取する習慣がある

女性の喫煙や受動喫煙は卵巣機能や妊孕性が低下し、流産のリスクが上昇する原因になります。また、飲酒も排卵障害の原因になる可能性がありますし、睡眠薬や精神安定剤などの薬物の過度な服用も月経異常の原因になることがあります。
なお、男性の場合も過度の飲酒による精子数の減少や、ED(勃起不全)などに陥る可能性があるため、注意が必要です。

性感染症にかかったことがある

クラミジアや淋菌などの性感染症の既往歴があると、卵管閉塞や卵管狭窄が起こり、受精卵や卵子が卵管を通りにくくなったり、精子が子宮内に入りづらくなったりする場合があります。

なかなか妊娠できないと思ったときはどうする?

公益社団法人日本産婦人科学会によれば、一般的に健康な男女が避妊をせずに性交渉をしているにもかかわらず、1年程度妊娠しない場合は不妊の可能性がある とされています。「不妊かもしれない」と思ったら、まずはご夫婦(カップル)でお近くの産婦人科クリニックや専門施設で不妊検査を受けてみることをおすすめします。
検査で不妊の原因となっている疾患や異常が見つかれば、早めに治療を始めることで妊娠の可能性を高めることにもつながります。検査結果によっては不妊治療に移る必要も出てくるでしょう。

不妊治療には、一般不妊治療と生殖補助医療(ART)があります。一般不妊治療を一定期間行い、妊娠に至らない場合は、ご夫婦(カップル)の年齢やライフスタイルなどを考慮しながら体外受精(C-IVF)や顕微授精(ICSI)といった生殖補助医療(ART)に移ることがあります。

不妊治療の種類や治療の流れについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
不妊治療とは?種類や治療の流れ、保険適用の範囲を解説

体外受精(C-IVF)や顕微授精(ICSI)でも着床しない場合は
着床障害の可能性がある

生殖補助医療(ART)である体外受精(Conventional-IVF/ふりかけ法)や顕微授精(ICSI)を行ったとしても、着床しないケースもあります。何度か胚移植を行っても着床しにくい場合は、「着床障害」の可能性があります。

着床障害とは、体外受精(C-IVF)や顕微授精(ICSI)を行って培養した良質な胚を、3回以上移植しても妊娠しないことをいいます。 着床障害が起きる原因は、大きく分けて2つあります。

胚に原因がある場合

卵子の質により胚がうまく成長しない、もしくは胚の染色体異常があるといった原因で着床しないことがあります。しかし、胚の染色体異常を治す治療は存在しません。

にしたんARTクリニックでは、慢性子宮内膜炎の診断を行うための子宮内膜炎組織検査+CD138検査や、着床しやすい適切な胚移植の日を明らかにするためのERA(子宮内膜着床能検査)などの検査を行っています。
そのほかにも、子宮が胚移植に適した環境であるかどうかを知るためのEMMA(子宮内膜マイクロバイオーム検査)、慢性子宮内膜炎の原因菌を調べるためのALICE(感染性慢性子宮内膜炎検査)などもあります。

母体に原因がある場合

子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、卵管水腫、子宮内膜症などの母体側の病気が原因で、子宮の環境に何らかの異常が生じて着床障害になることがあります。そのため、これらの病気や異常に応じた手術や薬物治療を行うと、着床障害が改善することもあります。

母体側が原因で着床できない場合の主な要因

  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮筋腫
  • 卵管留水腫
  • 慢性子宮内膜炎
  • 子宮内膜症
  • 子宮内腔癒着
  • 子宮形態異常
  • 抗リン脂質抗体症候群
  • 凝固能異常
  • 自己免疫抗体異常
  • ホルモン異常
  • 子宮内膜と胚のクロストークの問題

着床障害の検査の種類

着床障害の疑いがある場合、まずは子宮の環境や異常、病気の有無を調べる検査を受けられることをおすすめします。一口に子宮を調べる検査といっても、次の7種類があります。
それぞれ検査によって目的や方法が異なるため、主治医に相談の上、どの検査を受けるかを決めましょう。

超音波検査

超音波検査は不妊治療の基本的な検査のひとつで、プローフと呼ばれる超音波を発生させる棒状の機器を腟内に挿入し、子宮の様子を観察するものです。
子宮の形状や子宮内膜の厚さ、子宮内膜症の有無、子宮筋腫といった異常の有無など、 さまざま症状を調べることができます。

子宮鏡検査

子宮鏡検査とは、超音波検査と同じように子宮の奇形や子宮筋腫、子宮内膜ポリープなどを発見するための検査です。細いカメラを用いて子宮の内部を観察したり、内視鏡検査のように検査の最中に子宮内の組織を採取したりすることもできます。

子宮内膜着床能検査(ERA)

子宮内膜着床能検査(ERA)は先進医療のひとつで、体外受精(C-IVF)で得られた良質な胚の移植を複数回行っても着床しない方を対象に行う検査です。子宮内膜組織を採取し、遺伝子を調べることによって、子宮内膜に受精卵が着床できる適切な時期を知ることができます。

子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)、子宮内フローラ検査

子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)と子宮内フローラ検査は、いずれも子宮内膜に存在する細菌を採取して、その種類やバランス、量などを調べるための検査です。
EMMA検査は子宮内膜の乳酸桿菌の種類や割合バランスを調べるための検査、ALICE検査は慢性子宮内膜炎の原因菌を調べる検査です。子宮内フローラ検査は、ラクトバチルス属乳酸菌のバランスを調べられます。

子宮内膜炎組織検査+CD138検査

子宮内膜炎組織検査+CD138検査は、慢性子宮内膜炎の診断をするための検査です。子宮内膜基底層の細胞の一部を子宮内膜採取用の器具で採取し、細胞を染色してCD138陽性細胞という細胞の数を顕微鏡下で調べ、内膜炎の有無を診断します。

免疫の検査

免疫の検査は、何らかの原因で免疫が機能して、受精卵を異物として排除していないかを調べる検査です。検査では、免疫に関わる白血球の一種のヘルパーT1細胞と、ヘルパーT2細胞の比率や異常の有無を調べます。

PGT-A

PGT-Aは、胚の問題の有無を調べる検査です。胚の胎盤になる細胞の一部を採取し、染色体異常の有無を調べることによって、着床しにくい胚や流産するリスクのある胚をあらかじめ把握することができます。

着床障害だと診断されたら?

上記のいずれかの検査で着床障害と診断されたら、症状に応じた治療を受けましょう。着床障害は、胚側の問題が原因になっていることもあれば、母体側の問題が原因になっていることもあります。どのような異常や病気が見つかったかによって選ぶべき治療は異なるため、まずは早めにクリニックを受診してください。

不妊にかかる検査や治療は保険診療で受けられる範囲が拡大したものの、自費診療のものもあります。なお、保険診療と自費診療を同時に行う「混合診療」を一般の医療機関で受けると、保険診療の部分まで自費になってしまいます。
ただし、厚生労働省の承認を受けている医療機関では、自費診療である「先進医療A」を混合治療で受けても、保険診療分の保険が適用されます。そのため、不妊治療を行う際は、事前に厚生労働省の承認を受けている医療機関かどうかを調べた上で治療を行いましょう。

着床しにくいと感じたら、早めの検査がおすすめ

今回は、着床しにくい人の特徴や、着床しにくい場合の対応方法、検査方法、着床障害と診断されたときのことについて解説しました。胚移植を繰り返し行っても妊娠できないと不安になると思いますが、その場合は早めにクリニックを受診することをおすすめします。

にしたんARTクリニックでは、平日は22時まで受診でき、土日祝も診療を行っています。妊活中の方や不妊治療を検討されている方には、初診前にカウンセラーによる無料のカウンセリングも可能です。
カウンセリングでは患者さまのご希望を伺い、それぞれのライフスタイルに合わせた治療方針のご案内を行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

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