卵子凍結

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卵子凍結にリスクはある?知っておきたいメリットや注意点を解説

卵子凍結とは、将来妊娠を考えたときに備えて、若いうちに卵子を凍結保存することです。1986年に凍結融解未受精卵を使用しての妊娠出産の成功例が報告されてから30年以上が経過した現在では、卵子凍結は確立した不妊治療の手段のひとつとなっています。

卵子凍結は、高い技術力を用いた治療ではあるものの、リスクがないわけではありません。本記事では、卵子凍結のメリットを紹介した上で、卵子凍結を検討するときに知っておきたい注意点を解説します。

卵子凍結は妊娠・出産の可能性を広げるが、100%妊娠できるわけではない

卵子凍結とは、若いときに卵巣から得た卵子を-196℃の液体窒素を使って凍結保存する、不妊治療に用いられる手段のことをいいます。卵子を凍結保存しておけば、凍結したときの質を保つことが可能といわれています。

つまり、将来「パートナーが見つかり、仕事も落ち着いたので妊娠したい」と考えたときに、卵子凍結したときの卵子の質で妊娠にトライできるのです。とはいえ、妊娠・出産には年齢の限界があり、特に35歳を過ぎると妊娠率が下がり、40歳を超えると流産率が上昇します。
そのため、若いときに凍結した卵子を使っても、100%妊娠できるとは限らないことを認識しておく必要があります。

一般的な年齢による妊娠率

卵子凍結のプロセス

卵子凍結は、採卵前の検査から卵子を凍結し、溶解した後に受精卵にして子宮に移植するまでさまざまなハードルがあります。卵子凍結の一般的なプロセスは下記のとおりです。

1. 卵子を採取

まず採卵手術の前に、内診や血液検査を行い、複数個の卵子を採取できるように排卵促進などの準備を行います。排卵促進には、内服薬や注射などの排卵誘発剤を使用しますが、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)などの副作用が出ることもあるので、主治医が適切な方針を決定します。

採卵後はクリニック内の部屋でしばらく安静にした後に診察を受け、異常がないことが確認できたら帰宅可能です。

2. 卵子を液体窒素タンクで凍結保存

採取できた卵子は培養室に運ばれ、状態の良いものを選定した上で液体窒素を使って、ガラス化保存法で凍結されます。ガラス化保存法とは、卵子の細胞内液を凍結保護剤に置き換え、細胞が壊れないように細胞内の水分をガラス状に凍結させる保存方法です。

凍結後は、専用タンクで-196℃の超低温で凍結保存に入ります。保管のための契約は、一般的に採卵日から1年間となりますので、1年以上保管したい場合は1年ごとに更新料が必要になります。

3. 将来、妊娠を望むタイミングで顕微授精(ICSI)

将来パートナーができ、妊娠を望むタイミングになったものの、不妊治療が必要になった場合に、卵子凍結をしたクリニックを受診します。

まず、凍結していた卵子を融解し、同じタイミングでパートナーの精液から精子を取り出し、顕微授精(ICSI)で受精卵にします。次の段階である胚移植に備え、子宮を厚くするための卵胞ホルモン剤を服用するといった 、子宮を万全な状態にする準備も行います。

4. 受精卵ができたら子宮に移植

顕微授精後、受精卵は子宮と同じ環境の培養器に入れられて、順調に細胞分裂ができるかを観察しながら数日間大切に育てられます。
順調に成長した後に、超音波で子宮内を観察しながらカテーテルを使って子宮の着床しやすい位置に胚(受精卵)を移植します。胚移植にかかる時間は10分程度。胚がうまく着床すれば、妊娠が成立します。

卵子凍結なら質を保った卵子で将来治療に使える

卵子凍結のメリットは、卵子を採取した年齢での質を長期にわたりキープできることです。
卵子の元は胎児のときから女性の体内で作られ、その後新たに作られることはありません。卵子は毎月の月経のたびに1,000個程のペースで減り続ける上、残った卵子は年齢を重ねるにつれて老化し、質が下がってしまうため、妊娠率はその分低下します。

しかし、例えば28歳で卵子凍結をしておけば、38歳で妊娠を望んで不妊治療を開始したときに、凍結した卵子を使うことで28歳時点の卵子の質における妊娠が期待できます。
とはいえ、特に35歳をすぎると、自然妊娠のみならず、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)といった不妊治療を行っても受精しづらくなったり、胚が生育しなかったりすることも珍しくない上、流産率も上がります。そのため、高齢になるほど妊娠しづらくなることは知っておいてください。

卵子凍結の注意点

卵子凍結は将来の妊娠の可能性を広げてくれるものですが、注意すべき点もあります。卵子凍結の知っておきたい注意点について見ていきましょう。

必ず妊娠につながるとは限らない

将来の妊娠の確率を高めるために卵子凍結をしても、将来必ず妊娠できるとは限りません。前述したとおり、年齢を重ねるほど着床しづらくなったり、胚が育ちにくくなったりして、流産率も上がります。
また、将来できるパートナーの精子の状態に問題があり、受精が成立しないこともありえます。そのため、確実な妊娠を保障できるものではありません。

凍結・融解することによる卵子へのリスクがある

卵子凍結の医療技術は30年以上にわたって確立されてきたとはいえ、卵子にとっては凍結・溶解はダメージとなり、質の低下につながりやすくなります。
卵子を融解する過程で破損してしまうこともありますし、融解できても変質してしまって使えなくなる可能性は5~20%程度あります。

そのため、卵子の質への影響は避けられませんが、できるだけ多く卵子を凍結保存することで、一定はリスクを抑えることが可能です。

妊娠・出産には年齢の限界がある

妊娠・出産には適齢期があり、加齢によってリスクが増えます。卵子も加齢により老化するため、卵子凍結は一般的に、39歳以下の女性が対象となります。
なお、にしたんARTクリニックでは年齢制限を設けていないため、採卵できない可能性などに関するリスクの説明を受けた上でどうしても希望される40歳以上の方には、卵巣の機能を知るためのAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査を行い、卵子凍結ができるかどうかを判断した上で実施しています。

受精方法は顕微授精(ICSI)となり、費用もかかる

卵子凍結を使った受精を行うときは、原則として顕微授精(ICSI)のみとなります。体外受精(IVF/ふりかけ式)はできません。そのため、人工授精(AIH)や体外受精などの方法よりも費用が高額になります。

2022年4月から不妊治療の保険適用範囲が広がりましたが、卵子凍結は自費診療のままです。また、卵子凍結を行うと、凍結自体にかかる費用のほかに、毎年数万円の保管料も発生します。
ちなみに、にしたんARTクリニックの場合、保管料は卵子の個数に関係なく1年で4万9,500円です。

体に負担がかかる

採卵の前には、排卵を促進するために排卵誘発剤を使いますが、この薬剤により卵巣が過度に刺激されるとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)が生じる可能性もあります。OHSSとは、卵巣が腫れ、おなかや胸に水が溜まって腹部の張りや痛み、吐き気、喉の渇きなどの症状が現れるものです。

また、採卵時は膣から卵巣に針を刺すため、麻酔をしても麻酔が効きづらい体質の人は採卵中に痛みを感じたり、採卵後麻酔が切れてから痛みを感じたりする人もいます。 しかし、痛みは日が経つにつれて治まってくるので、過度に不安になることはないでしょう。また、採卵時には感染症を引き起こしたり、少量の出血を伴ったりすることもあります。

保管時のリスクがある

凍結した後の卵子を保管する液体窒素タンクは、理論上は永久に凍結保存が可能です。しかし、保管期間中に地震や火事、津波、風水害などに遭うリスクや、人的ミスや停電などによって低温が保たれずに融解してしまうリスクなどがあります。

また、保管しているクリニックが、経営難により倒産する可能性もゼロではありません。そのため、セキュリティ対策やバックアップ体制が整っているかどうか、万一のときの返金規定があるかどうかについても事前に確認しておいてください。

気になる卵子凍結のリスクQ&A

卵子凍結による赤ちゃんへの影響や、保存期間の長期化への懸念といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。ここでは、卵子凍結を希望する患者さまからよくいただく質問にお答えします。

卵子凍結から生まれた赤ちゃんは障害などのリスクはありますか?

アメリカ生殖医科学会が2013年に発表した「成熟卵子の凍結保存に関するガイドライン」によれば、卵子凍結後の顕微授精(ICSI)によって生まれた子供と、新鮮胚移植によって生まれた子供のあいだに、出生体重や先天的異常などの明らかな差はないとされています。

凍結保存期間が長くなると、卵子の質に影響はありますか?

凍結保存期間の長さと卵子の質には関係ありません。液体窒素によるガラス化保存法は、卵子を半永久的に保存できて、変質も劣化もほぼしないのが特徴です。
凍結・融解による卵子へのストレスや影響はどうしても生じるものですが、保管期間の長さが質に影響することはありません。

卵子凍結をしたことで、妊娠に何か影響はありますか?

卵子凍結をしたかどうかよりも、妊娠する年齢が上がるにつれてリスクが高くなります。卵子凍結をする女性は妊娠する年齢が比較的高くなることが予想されるため、高齢出産になる可能性があります。
そのため、高年齢による妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、子宮内胎児発育遅延、早産のリスクが高まる可能性があるのです。

卵子凍結を希望してもできないこともありますか?

卵子凍結を希望している人でも、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査や経腟超音波検査をした結果、卵巣機能が低く卵胞が育たない可能性があることや、卵子の数が少ないことがわかると、卵子凍結が難しくなります。また、ホルモン異常やそのほかの婦人科系疾患により妊娠が難しい場合も、卵子凍結ができません。
卵子凍結ができるかどうかは、あくまでそれぞれの健康状態、卵巣の状態によるため、検査によって判断します。

既婚ですが卵子凍結はできますか?

卵子凍結を希望されるのは、パートナーが見つかっていない人や、まだ結婚・出産の環境が整っていない人がほとんどです。ただし、パートナーがいる場合は、未受精卵子凍結よりも受精卵凍結のほうが、高い妊娠率が期待できるので、受精卵凍結のほうが向いています。
「今はまだ子供はいらないけれど、将来的には考えたい」など、事情がある場合は一度医師やスタッフに相談することをおすすめします。

卵子凍結する際のクリニックの選び方

卵子凍結はメリットだけでなく、リスクが多いこともあり、不妊治療専門の症例数の多いクリニックを選ぶと安心です。クリニックを選ぶ際のポイントは下記のとおりです。

不妊治療の専門医がいるクリニックを選ぶ

凍結した卵子を使って妊娠を考えたときに、卵子を受精させるためには顕微授精(ICSI)を行う必要があります。そのため、不妊治療の専門医が在籍しているクリニックを選ぶのがおすすめです。
にしたんARTクリニックは東京・大阪など全国に7院あり、すべての院で不妊治療専門医が高度な治療を行っています。

通院しやすいクリニックを選ぶ

仕事をしている場合は特に、通勤途中にある、自宅と同じ沿線にあるといったように、自宅や職場から通いやすいクリニックを選ぶようにしましょう。平日夜間や土日にも受診できるなど、忙しい人ほど、スケジュールにも配慮しているクリニックを選ぶのもポイントです。

にしたんARTクリニックは、全国にあるすべての院が主要駅のすぐ近くにあり、アクセスは良好です。平日は22時まで、土日も診療をしているため、通院しやすくストレス軽減にもつながります。 なお、品川院では、休みが取りづらい方のために夜間採卵にも対応しています。

セキュリティなどの安全性の高いクリニックを選ぶ

将来に向けて長期にわたって大切な卵子を預かってもらうため、自然災害や盗難対策もされ、安全性も確保されたクリニックを選ぶことが必要不可欠です。事前に安全策をどのようにとっているかを確認するようにしてください。

にしたんARTクリニックでは、培養室は常時施錠。液体窒素タンクは施錠をした上で地震による転倒防止のため、チェーンで固定しています。培養中のインキュベーターには、災害時の停電に備えて非常用バックアップ電源が常時接続されているなど、安全策は万全です。

安全・安心な卵子凍結を行うなら、にしたんARTクリニックへご相談ください

卵子凍結は、将来に備えて若い状態の卵子を保存できるというメリットが大きい一方で、注意すべき点もあります。とはいえ、キャリアを求めて働く女性にとっては、将来の妊娠の可能性を広げる有効な手段のひとつといえるのではないでしょうか。
将来的なリスクを回避するためには、なるべく早いタイミングで妊娠出産を検討することが重要ですが、安心して通えるクリニックを選ぶことも大切です。

にしたんARTクリニックでは、採卵まで数回通院が必要となりますが、平日夜間や土日も診療を行っているため通院しやすく、ストレスを最小限に抑えながら治療に臨める体制が整っています。不妊治療への不安に寄り添いながら、患者さまファーストの卵子凍結を行っておりますので、どんな小さなことでもお気軽に当院の医師やスタッフにご相談ください。

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