一般不妊治療

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卵子の質を上げるには?質が落ちる原因や質の良い卵子の特徴を解説

卵子の質を上げるには?質が落ちる原因や質の良い卵子の特徴を解説

妊娠にとって卵子の質は重要な要素ですが、一度低下すると元に戻すことはできません。しかし、生活習慣を整えれば、今ある卵子の質は保てる可能性があります。

この記事では、質の良い卵子の特徴や、卵子の質が落ちる原因、そして卵子の質を保つための方法について解説します。不妊に悩んでいる方や妊娠を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

卵子の質とは?

卵子の質とは、卵子の発育状態や染色体の状態を示すものです。具体的には、卵子がしっかりと成熟しており染色体が正常であれば、「質が良い卵子」といえるでしょう。

近年は晩婚化や晩産化が進み、卵子の質への関心が高まっています。なぜなら、妊娠において卵子の質は非常に重要な要素であり、卵子の質は年齢が上がるにつれて低下するからです。卵子は女性の体内に、胎児のときから存在しており、排卵が始まるとともに数が減少し、加齢とともに質も低下していきます。そのため、妊娠を希望する場合、今ある卵子の質をできるだけ保つことが大切です。

卵巣内の卵子の様子

卵巣内の卵子の様子

質の良い卵子の特徴

質の良い卵子とは、妊娠が成立しやすい状態にある卵子のことを指します。具体的には、下記の3つの特徴が挙げられます。

排卵に向けて成長できる

質の良い卵子は、排卵に向けて卵巣内の卵胞で十分に成長し、正常に排卵できます。一方で、未成熟な卵子は排卵できたとしても受精が難しく、妊娠につながりにくいとされています。そのため、卵胞内で卵子が成長できる力があることは、質の良い卵子の特徴といえるでしょう。

受精できる

質の良い卵子は、排卵後に卵管で精子と出会ったときに、受精する可能性が高いといえます。

精子と卵子は卵管内で出会えたとしても、必ず受精するわけではありません。卵子の質が低い場合は、精子と出会えても受精できない場合があります。質の良い精子と卵子が出会うことは、受精やその後の妊娠継続には欠かせない要素となります。

受精卵(胚)が細胞分裂できる

受精卵(胚)が正常に細胞分裂できることも、質の良い卵子の特徴です。卵子の質が低い場合は、受精できたとしても細胞分裂がうまく進まずに、着床に至らないことがあります。そのため、受精卵(胚)が正しく細胞分裂できることも、質の良い卵子の特徴といえるでしょう。

着床障害については、こちらのページをご覧ください。
着床しにくい人の特徴とは?着床障害についても解説

卵子の質はどう決まる?

卵子の質は、排卵日までの過程で決まるといわれています。卵子のもととなる原始卵胞は、生まれる前の胎児期にすでに約200万個作られ、その後、新しく作られることはありません。そのため、年齢を重ねるにつれて体と同じように卵子も老化していくのが一般的です。

毎月排卵日が近づくと卵子は減数分裂を行い、染色体を適切な数に切り離していきます。しかし、加齢により卵子が老化すると、染色体を正しく切り分けられずに、染色体の数に過不足が生じるリスクを高めるとされています。
卵子の染色体の分離は排卵直前に完了することから、卵子の質は染色体の切り離しが行われるまでの過程で決まると考えられるでしょう。

卵子の質が落ちる原因は?

卵子の質が低下する一番大きな原因は加齢です。前述のとおり、年齢を重ねるにつれて卵子の数が減り、染色体の異常頻度が高まるため、妊娠の確率が下がってしまいます。

年齢による卵子の質の違い

年齢による卵子の質の違い

生活の中では、栄養の偏った食事や睡眠不足といった生活習慣の乱れ、過度なストレスや喫煙は、体内で活性酸素を増やし、卵子の細胞にダメージを与えることで質の低下を促進させてしまう可能性があります。

卵子の質は改善できる?

残念ながら、一度低下した卵子の質を元に戻すことはできません。医療が進んだ現在でも、卵子の質を改善することは難しいとされています。
そのため、なかなか妊娠に至らないと感じている場合は、できるだけ早めに不妊治療を開始しましょう。不妊治療では、卵子の状態や体の状況に合わせて適切な治療を受けることができるため、妊娠の可能性を高める手助けになります。

また、前述した卵子の質を低下させる原因(栄養の偏り、睡眠不足、ストレス、喫煙など)をできる限り避け、卵子の質の低下を最小限に抑えることも大切です。健康的な生活習慣を意識することが、妊娠に向けた大きな一歩につながります。

卵子の質を確認する方法

現時点では、卵巣内の卵子の質を確認する方法は残念ながら存在しません。しかし、卵巣内に残っている卵子の量を推測する検査として、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査があります。質ではなく量を推測するAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査を紹介する理由は後述します。また、卵子を体外に採取し、受精を促す生殖補助医療(ART)の治療の中で、卵子の質を確かめられるケースもあります。

AMH検査では、卵子がどれくらい残っているかを調べられる

AMH検査は、血液中のAMH(抗ミュラー管ホルモン)の量を測定することで、卵巣内にどれくらい卵子が残っているかを推定する検査です。AMHの値が高いほど、卵巣に多くの卵子が残っていると考えられます。

卵巣に残っている卵子の「量」が重要な理由

通常、排卵日には成長した1個の卵子が排卵されますが、実は排卵に至らなかった多くの卵子も存在します。それらの卵子は排卵されることなく退行していくのですが、高度な生殖補助医療(ART)では、排卵誘発剤と呼ばれる薬剤を使用することによって、通常排卵されない卵子も排卵される卵子と同じように成長させることが可能です。卵子の質は改善できなくても、母数を増やすことで質の良い卵子をピックアップする可能性を高めることができます。

発育卵胞数とAMH値の年齢分布

発育卵胞数とAMH値の年齢分布

AHM検査については、こちらのページをご覧ください。
AMH検査とは?わかることや費用、検査を受けるメリットを解説

不妊治療の一環で卵子の質がわかることもある

卵巣内に残っている卵子の質を直接確認することはできませんが、不妊治療の過程で間接的に判断できる場合があります。
例えば、顕微授精(ICSI/イクシー)や体外受精(IVF/ふりかけ法)の際に、採卵した卵子の形態・成熟度を確認したり、受精後の受精卵(胚)の成長速度や細胞分裂の状態を確認したりすることで、卵子の状態を判断することが可能です。
ただし、これらは生殖補助医療を受けた場合に限られ、体内にある卵子の質を事前に知る方法はまだありません。

なお、にしたんARTクリニックでは、胚培養士が卵子や胚の様子を丁寧に確認した上で、患者さまへのわかりやすい説明を心掛けています。卵子の質についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

体外受精・顕微授精の流れ

体外受精・顕微授精の流れ

生殖補助医療については、こちらのページをご覧ください。
体外受精(IVF)と顕微授精(ICSI)、生殖補助医療(ART)の種類について解説

卵子の質を上げるには?

一度低下した卵子の質を元に戻すことはできませんが、卵胞内の卵子の質は保てる可能性があります。卵子の質の低下には活性酸素が大きく関わるため、できるだけ活性酸素を産生させないよう意識して生活しましょう。ただし、短期間で効果が出るものではないため、妊娠に向けて長期的な目線で続けることが重要です。
また、妊活は女性だけが頑張るものではありません。男性もいっしょに取り組むことで、より良い結果が期待できます。
ここからは、今ある卵子の質を保つ方法や、ご夫婦(カップル)で取り組むべきことについて解説します。

バランスの良い食事を心掛ける

卵子の質を保つためには、栄養バランスの取れた食事が重要です。特に、抗酸化作用のある栄養素を積極的に摂取しましょう。
ビタミンA・C・Eは、体内の活性酸素を抑えて、卵子の老化を防ぐ働きがあります。ビタミンAはレバーやニンジン、カボチャなどに含まれ、ビタミンCは赤パプリカやキャベツ、キウイなどに多く含まれます。ビタミンEはアボカドやナッツ類に多く含まれるため、意識的にとるように心掛けることをおすすめします。また、タンパク質や鉄分は、卵子の成長を促し、血流を改善するために必要不可欠な栄養素ですので、併せて摂取してください。
一方で、糖質を過剰に摂取すると、体内で酸化ストレスが増え、卵子の老化を早める原因になります。お菓子やジュースなど糖分の多い食品は控えめにし、健康的な食生活を心掛けることをおすすめします。

適度に運動をする

適度な運動は、活性酸素の産生を抑える効果に期待できます。また、健康的な体重(BMI18.5~25)を維持することで、妊娠しやすい体づくりにもつながります。
ただし、マラソンやハードな筋トレなどの過度な運動は、活性酸素を増やす原因になるため逆効果です。ウォーキングやジョギング、ヨガなど、適度な運動を心掛けましょう。

ストレスを溜め込まない

過度なストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、活性酸素を増加させる原因になります。また、ストレスによって血管が収縮し血流が悪化すると、活性酸素の産生がさらに加速するおそれもあります。
そのため、適度に休息をとり、自分に合ったリラックス方法を見つけることが大切です。深呼吸や瞑想、趣味の時間を設けるなど、心身をリフレッシュする習慣を意識しましょう。

喫煙や過度な飲酒をしない

喫煙や過度な飲酒は、体内で活性酸素を増やし、卵子の質を低下させる原因となります。タバコに含まれる成分は卵巣を含む体内の細胞にダメージを与え、喫煙者の卵子は非喫煙者と比べて卵子の質が低いと明らかになっています。
さらに、頻繁な飲酒は肝機能を低下させ、女性ホルモンの分泌を妨げる可能性があります。卵子の質を維持するためにも、禁煙を心掛け、飲酒は適量に抑えることが大切です。

卵子の質を意識しつつ、不妊治療も検討しましょう

卵子の質は、妊娠の成立を大きく左右する重要な要素です。しかし、生活習慣を見直して卵子の質を保つ努力をしても、必ずしも妊娠につながるとは限りません。年齢や体の状態によっては、自然妊娠が難しいケースもあるため、不妊治療を検討することも選択肢のひとつです。

にしたんARTクリニックでは、不妊に悩む方をサポートするための不妊治療を提供しています。医師による検査や問診を通して、卵子の状態や体の状態を確認し、個々人に合った治療方針を提案します。
不妊治療は早めに取り組むことで、妊娠の可能性を高めることができるため、妊娠を望んでいるけれどなかなか結果が出ない方は、ぜひ一度医師に相談してみてください。

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