精子凍結保存

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精子凍結保存とは?Sperm Freezing

不妊治療では、限られた期間を有効に使うために、さまざまな工夫が必要です。そのひとつが、精子をあらかじめ採取して凍結し、備蓄しておく「精子凍結保存」です。

精子凍結保存では、採取した精子を生きたまま-196℃の液体窒素で凍結。半永久的に保存することができます。遺伝子凍結は医学的に安全性が立証されており、凍結保存した精子が遺伝子変化をしたり、融解後に体外受精(IVF)などに使用して妊娠に至った場合も、胎児に何らかの影響が出たりした報告はありません。

ただし、凍結した精子は少なからずダメージを受け、運動率が低下します。そのため、元々数が少ない場合や運動率が低い場合は、体外受精(IVF)や人工授精(AIH)に移行できない場合もあるため注意してください。

精子凍結はどんなときに利用する?

精子凍結は、体外受精(IVF)や人工授精(AIH)の当日、何らかの事情で夫(パートナー)が採精できない場合や、必要な数の精子を採取できない可能性が高い場合に選択する方法です。大きく分けると、下記のケースがあります。

採卵当日、夫(パートナー)の都合がつかない

女性の患者さまが採卵や人工授精(AIH)などの治療をする当日に精子が必要となりますが、単身赴任や出張でその日に夫(パートナー)が精子を提出することができず、新鮮な精子を使った治療が難しいケースもあるでしょう。あらかじめ精子を採取して凍結しておき、治療の時間に合わせて融解することで、生きた精子を使って受精させることができます。

精子の数が少ない、動きが良くない

元々精子の数が少なかったり、数はあっても動きが悪かったりすると、治療当日に質の良い精子を準備できないことがあります。そのため、あらかじめできるだけ多くの精子を採取して凍結保存し、治療当日に融解して必要な精子の数をそろえ、治療に使用します。

悪性腫瘍などで妊孕性が落ちる可能性がある

悪性腫瘍、いわゆるがんの治療は飛躍的に進歩していますが、抗がん剤や放射線治療、手術などの治療を行うと妊孕性(にんようせい:赤ちゃんを作るための機能)が失われることがあります。家庭を持つこと、あるいは子どもを持つことがライフプランに組み込まれている場合、がん治療前に精子を凍結しておくことで、治療が終了して仮に妊孕性が失われたとしても、不妊治療に凍結精子を使用することが可能です。
なお、がんなどの疾患に伴う精子保存については、専門的な医療判断を伴うため当院では実施していません。

精子凍結を行うメリット

精子凍結は、不妊治療においてさまざまなメリットがあります。精子凍結の3つメリットについて見ていきましょう。

夫(パートナー)不在でも治療ができる

体外受精(IVF)や人工授精(AIH)の際、夫(パートナー)が出張などで長期不在の場合でも、精子を凍結しておけば不妊治療を実施することができます。夫(パートナー)のスケジュールにかかわらず、事前に決めたスケジュールのまま治療を実行できるため、適切なタイミングを逃しません。

精子の動きや濃度を補うことができる

精子の凍結保存によって良好な所見時の精子を使用することで、不足している精子の量や動きを補える可能性があります。乏精子症や精子無力症などでお悩みの男性の患者さまの選択肢としておすすめすることがあります。

精子にダメージが加わる前に保存できる

抗がん剤や放射線治療を行うと、精巣に直接ダメージが加わるため、精子が正常に発育しなくなり、乏精子症や精子無力症を引き起こします。影響の大きさは、薬の種類や量、放射線の照射量、照射部位などによって異なります。

精子凍結を行うデメリット

精子凍結にはデメリットもあります。精子凍結のデメリットは大きく2つです。

精子の運動量が低下する

精子を凍結すると運動率は元の精子よりも低下し、運動率が半分以下になってしまうこともあります。融解する際にダメージを受ける精子もあるため全体量が減りますが、残った精子の運動率が保たれていれば受精には問題ありません。

凍結精子は顕微授精(ICSI)にしか使えない場合がある

凍結した精子は運動量が低下するため、体外受精(IVF)や人工授精(AIH)では妊娠に至らないと評価されることがあります。
にしたんARTクリニックでは、凍結時の所見によって顕微授精(ICSI)、人工授精(AIH)、体外受精(IVF)のいずれかから適切な治療に使用されます。

精子凍結にかかる費用

にしたんARTクリニックで精子凍結にかかる費用は、自費診療のみで専用の凍結容器1つにつき2万7,500円です。保険適用はありません。
なお、1年ごとに更新料が専用の凍結容器1つにつき22,000円かかります。

精子凍結の流れ

精子凍結は、4つのステップで完結します。精子凍結の流れについてご紹介しましょう。

1. 精子を採取する

凍結当日に、院内、または自宅で凍結する精子を採取します。院内での採精をご希望の患者さまは、事前にご予約ください。採精したら、お渡しするカップに入れて胚培養士に渡します。

各院の採精室は落ち着いた雰囲気です。
2. 精液検査をする

精子を受け取った胚培養士が検査を実施し、精子の濃度、精子の運動率、精液量などを調べます。

3. 選別・濃縮し、保管する

質の良い精子を選別・濃縮し、液体窒素に入れて-196℃で凍結保存します。

4. 使用する日に融解し、受精を行う

治療当日、あらかじめ凍結していた凍結精子を取り出し、体温程度のお湯につけて融解。精子の状態を確認し、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)に進みます。

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