リスク・デメリット

更新日:

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)のリスクとは?治療の流れに沿って解説

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)のリスクとは?治療の流れに沿って解説

体外受精(IVF/ふりかけ法)や顕微授精(ICSI)は生殖補助医療(ART)と呼ばれ、女性から卵子を得て体外で精子と受精させ、培養したのち、子宮に移植する高度不妊治療です。一般不妊治療を行っている方の中には、生殖補助医療を検討しているけれど、なんとなく怖くてステップアップできないという方も多いのではないでしょうか。そのような場合は、生殖補助医療のリスクをしっかり理解することで、ステップアップへの決心が固まるかもしれません。
体外受精や顕微授精は、多くの方が安全に受けている治療ですが、排卵誘発や採卵、胚移植など、それぞれの過程で注意すべきリスクがあります。本記事では、治療に伴う身体的な負担や副作用、治療中に注意したいポイントを解説します。

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)の治療の流れ

生殖補助医療のリスクへの理解を深めるために、まずは治療の流れを詳しく見ていきましょう。生殖補助医療は、下記のステップで進められます。

1.初期検査

男女ともに不妊の原因を探ったり、排卵の様子を確認したりするために、初期検査を行います。にしたんARTクリニックで行っているのは、下記の検査です。

初期検査の種類

女性超音波検査、感染症検査、甲状腺機能検査、血液検査、ホルモン検査、
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査 など
男性精液検査、感染症検査

なお、生殖補助医療と呼ばれる体外受精や顕微授精を受ける方には、採卵周期に入る前に必ず術前血液検査(採血)を受けていただきます。

2.卵巣刺激(排卵誘発)

採卵に向けて、卵子の発育と正常な排卵を促すため、薬剤を使って卵巣を刺激します。卵巣刺激法にはさまざまな方法があり、どの卵巣刺激法を行うかは体の状態を見て医師が判断します。
卵巣刺激法について詳しくは「卵巣刺激法(排卵誘発法)」のページをご覧ください。

リスク

排卵誘発剤の使用により、まれに卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起こることがあります。体調に変化がある場合は医師へ相談しましょう。

3.採卵

採卵が行われるのは月経12~13日目です。採卵針を使って、成熟した卵子を卵巣内の卵胞から採取します。採卵後は採卵について詳しくは「採卵について」のページをご覧ください。

リスク

軽い腹痛や少量の出血がみられることがあります。症状が強い場合は医療機関へ相談しましょう。

4.受精(媒精)

胚培養士が、卵子と精子を受精させる媒精を行います。体外受精の場合に行われるのは、卵子に精子をふりかける、ふりかけ法です。媒精の方法には、ほかに顕微鏡を用い卵子に直接精子を注入する顕微授精があります。

5.胚培養

受精卵(胚)を培養器に入れて培養します。にしたんARTクリニックで使用している培養器は、子宮内の環境を再現したタイムラプスインキュベーターです。内部に高性能カメラと顕微鏡が備えられているので、受精卵(胚)にとって居心地の良い環境を維持しながら観察することができます。
タイムラプスインキュベーターについて詳しくは「タイムラプスインキュベーター」のページをご覧ください。

6.胚移植

着床しやすい胚盤胞まで育った受精卵(胚)を、カテーテルを用いて子宮内に戻します。胚移植の方法には2種類あり、1つは採卵周期と同じ周期に移植する新鮮胚移植、もう1つは受精卵(胚)を凍結保存し、別の周期に移植する凍結融解胚移植です。
胚移植について詳しくは「胚移植」のページをご覧ください。

リスク

胚移植そのものによる大きな身体的負担は少ないとされていますが、移植後の過ごし方については医師の指示に従うことが大切です。

7.妊娠判定

妊娠判定は、胚移植から約12日後を目安として、血液検査と超音波検査によって行われます。

体外受精や顕微授精は赤ちゃんに影響ある?

現在のところ、体外受精や顕微授精で生まれた子どもの多くは自然妊娠と同様に成長すると報告されており、胎児に異常が生じる確率は自然妊娠と差がないと考えられています。しかし、医学的には明確な結論が出ていないというのが現状です。
なお、顕微授精は男性不妊症の場合に行うケースが多いことから、顕微授精を実施した場合でも染色体や造精機能関連遺伝子の異常が発生する可能性はゼロではないといえます。
もし、妊娠が分かったら母体や胎児の状態を含め、通常どおり定期的な妊婦健診を受けることが大切です。

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)の検査によるリスク

生殖補助医療と呼ばれる体外受精や顕微授精の検査では、不妊の原因を探ったり、排卵状況を確認したりするために、さまざまな検査が行われます。どの検査を実施するかは人それぞれですが、検査によって生じるリスクは、下記のとおりです。

痛みを感じることがある

生殖補助医療の治療を行う中で、腟に器具を挿入する検査を実施する場合、卵巣の位置や既往症によって痛みを伴うリスクがあります。経腟超音波検査や卵管通水検査などがその例です。ただし、経腟超音波検査で使用するプロープという医療器具は親指ほどの太さで、通常はほとんど痛みを感じません。
卵管通水検査は、不妊の原因として卵管の異常が考えられた場合に実施します。子宮内に液体を注入するため、子宮や卵管に圧力がかかり、軽い月経痛のような痛みを感じることがあります。

出血することがある

生殖補助医療で行われる経腟超音波や卵管通水検査、子宮内膜炎組織検査といった腟に器具を挿入する検査では、腟や子宮から出血するリスクがあります。出血をしたとしても量は少なく、短時間で止まることがほとんどです。出血の量が多いと感じるなど不安な場合は、医師に相談しましょう。

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)の卵巣刺激によるリスク

生殖補助医療と呼ばれる体外受精や顕微授精では、質の良い卵子を一定数確保するために、排卵誘発剤を使って卵巣を刺激します。卵巣刺激を行う際に考えられるリスクは、下記のとおりです。

OHSS(卵巣過剰刺激症候群)になる可能性がある

生殖補助医療で排卵誘発剤を使用するリスクの1つに、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)があります。OHSSは、卵巣が過剰に反応し、卵巣の腫れや腹水・胸水の貯留、血栓などを引き起こす疾患です。卵胞内に2~9mmの小さな卵胞がいくつも存在するPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の方や、卵胞数・採卵数が多くなりがちな35歳以下の方は、リスクが高まる傾向があります。OHSSのリスクが高いと判断された場合は、卵巣への刺激が弱い薬剤で治療を進めることも可能です。

太ったりむくんだりする

生殖補助医療の治療過程で卵巣刺激を行うと、太ったりむくんだりする可能性があります。これは、排卵誘発剤の影響で女性ホルモンのバランスが乱れ、一時的に食欲が出て食べすぎてしまったり、体に水分が溜まりやすくなったりするためです。

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)の採卵手術によるリスク

生殖補助医療の採卵時に行われる採卵手術では、経腟超音波プローブにつけた細い針を卵巣に刺して、卵子が含まれた卵胞液を採取します。採卵にかかる所要時間は5~20分と長くはありませんが、手術中に発生するリスクとして挙げられるのは下記のとおりです。

体に負担がかかる可能性がある

生殖補助医療の採卵手術は、少なからず体に負担がかかる可能性があります。手術では卵巣に直接細い針を刺すため、痛みを感じたり、腟壁や卵巣から出血したりするかもしれません。手術前には静脈麻酔または局所麻酔を打つのが一般的ですが、痛みが心配な方は、眠っているあいだに採卵が完了する静脈麻酔もご用意しています。また、出血については少量であれば自然に止まるため、過度に心配する必要はありません。

麻酔でアレルギーや合併症を引き起こす可能性がある

生殖補助医療の採卵手術は、静脈麻酔または局所麻酔のいずれかの麻酔を打ってから行われるため、麻酔によるアレルギー反応や呼吸抑制などのリスクがあります。患者さま自身が麻酔を希望されない場合は麻酔を使用せずに行うことも可能です。

感染症になる可能性がある

生殖補助医療の採卵手術では、卵巣に針を刺す過程で腟内の細菌が体内へ移動し、感染症を引き起こすことがあります。子宮内膜症、腹膜炎の既往歴がある方は注意が必要です。一般的には、手術前後に十分な消毒を行い、抗生剤を投与することで防ぐことができます。

他臓器損傷のおそれがある

採卵手術では、卵巣の周囲にある子宮や腸、膀胱、尿管などを傷つける可能性があります。ただし、極めてまれなケースで、リスクは低いとされています。

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)の妊娠率に関するリスク

生殖補助医療と呼ばれる体外受精や顕微授精を選択して治療を行っても、必ず妊娠に至るわけではありません。生殖補助医療を行った場合の妊娠率については下記のようなリスクがあることを押さえておきましょう。

精子の状態によっては受精が成立しない

生殖補助医療は卵子に精子をふりかける方法で受精を促すため、質の良い卵子を得ても、精子の状態によっては妊娠率が上がりません。受精に至るには、精子に自力で卵子までたどり着く力、卵子を覆っている殻を通過する力が必要です。

女性の年齢とともに妊娠率が低下する

生殖補助医療を行った場合でも、妊娠率は女性の年齢とともに低下します。不妊の原因はさまざまですが、加齢による不妊の原因としては、卵子の数や質が下がることが大きいと考えられています。

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)による妊娠の継続に関するリスク

生殖補助医療と呼ばれる体外受精や顕微授精によって無事に着床・妊娠しても、妊娠の継続にあたってはリスクがあることを理解しておきましょう。妊娠が確認できた後のリスクは、下記のとおりです。

異所性妊娠(子宮外妊娠)の可能性がある

生殖補助医療による妊娠のリスクの1つに、異所性妊娠(子宮外妊娠)があります。異所性妊娠とは子宮以外の卵管などに受精卵(胚)が着床してしまう現象です。胚移植の過程では、子宮内膜の最も着床しやすい場所を選んで受精卵(胚)を置きますが、採卵周期に行う新鮮胚移植では子宮収縮が起こりやすく、受精卵(胚)が卵管へ移動してしまうことがあります。そのまま卵管で受精卵(胚)が着床し、子宮外妊娠した場合、妊娠を継続することは困難です。適切な治療を行い、再び妊娠を目指すことになります。

周産期合併症のリスクが上昇する

生殖補助医療による妊娠は、自然妊娠と比べて、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、前置胎盤、常位胎盤早期剝離、帝王切開、早産、低出生児分娩のリスクが上昇するとされています。これらは高齢出産のリスクと重なるところがあり、生殖補助医療による不妊治療を開始する年齢が高い傾向があることも、原因の1つといえるでしょう。

多胎妊娠の可能性がある

生殖補助医療のリスクとして挙げられるのが、多胎妊娠の可能性です。生殖補助医療では、複数個の受精卵(胚)を子宮内に戻すこともあるため、双子や三つ子など、2人以上を同時に妊娠する可能性があります。多胎妊娠は早産や合併症のリスクが高いことを考慮して、にしたんARTクリニックでは基本的に1個の受精卵(胚)のみを移植しています。

胎児への影響が心配される

生殖補助医療による妊娠は、胎児に影響があるのではないかと不安になる方が少なくありません。しかし、生殖補助医療による妊娠と自然妊娠とでは、生まれてくる胎児の先天異常リスクに大きな違いはないとされています。

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)のリスクに関してよくある質問

Q. 体外受精は体に負担がありますか?

採卵や排卵誘発剤の使用による身体的負担はありますが、多くは一時的です。症状には個人差があるため、気になる症状があれば医師へ相談しましょう。

Q. 顕微授精は赤ちゃんに影響がありますか?

現在のところ、顕微授精そのものが子どもの成長に大きな影響を与えることを示す明確な証拠はありません。不安がある場合は治療前に医師へ相談しましょう。

Q. 体外受精と顕微授精はどちらが安全ですか?

どちらも安全性に配慮して行われる治療ですが、適した治療法は不妊の原因や精子・卵子の状態によって異なります。医師が検査結果をもとに最適な方法を提案します。

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)を検討されている方は、にしたんARTクリニックにご相談ください

生殖補助医療と呼ばれる体外受精や顕微授精ではさまざまな治療が行われるため、一般的な病気の治療と同じようにリスクを伴います。しかし、リスクが必ず現実に起こるわけではないため、過度に心配する必要はありません。まずは、生殖補助医療のどの段階でどのようなリスクが考えられるのかを理解し、不妊治療の専門クリニックで相談してみましょう。
にしたんARTクリニックでは、患者さま一人ひとりに寄り添い、お体の状態に合わせた適切な治療方法をご提案します。全国にあるすべての院で無料カウンセリングを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

にしたんARTクリニックでの
治療をお考えの方へ

患者さまに寄り添った治療を行い、より良い結果が得られるよう、まずは無料カウンセリングにてお話をお聞かせください。下記の「初回予約」ボタンからご予約いただけます。

初回予約